2006年4月10日(月)
参議院行政監視委員会
○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。発言の機会をいただきまして。
最近、個人情報の流出というのが頻繁に事件となって出てきております。情報技術の進展とともに新たな手口で情報が流出する、その情報の内容も様々であります。それに対応するために、住民基本台帳法の改正だとか、あるいは個人情報の保護法のありようだとか、様々対応に追われているところだと思いますが、その中で、今年の二月に起きました刑務所の情報流出事件、あるいはその他の個人情報を含む情報の流出事案につきまして幾つか、その経過なり考え方、そして法務大臣のお考えも聞かせていただきたいというふうに思っております。
まず最初に、今年の二月の八日に発覚をいたしましたいわゆる矯正局の行刑施設に係る情報がウィニーによって流出したということが発覚をいたしました。そのときは、その流出した情報は一万ファイル、約一万ファイルに上ると。そして、その中で、個人情報としても被収容者三千三百八十人分、及び職員の分が二千二百八十三人分含まれているということで、流出されました。
その後、法務省は直ちにいろいろと対応をされたと思いますが、先日の法務委員会でも、杉浦大臣は、二月の十七日に事務次官をトップにした情報管理の在り方についての検討、点検とか徹底がされているというふうに言われていました。そして、政府機関の統一基準に基づくセキュリティー基準を今策定中だということの幾つか取組がされているという答弁もございました。
それで、その後の状況について、簡単にまずはお聞かせください。
○政府参考人(小貫芳信君) 御指摘のように、一般規定の策定等に今取り組んでいるところであります。また、一方、刑務所等の行刑施設につきましては、種々の対策を検討し、なおかつできるところから実施に移しているところでございます。
具体的に対策状況について申し上げましてよろしいでしょうか。
○松岡徹君 簡単にね。
○政府参考人(小貫芳信君) はい。
まずは、今回最も問題である点は情報をみだりに施設外に持ち出したというところにございますので、この持ち出しを徹底的に厳禁すること、さらに、その事案を踏まえた、速やかに個々のやはり職員の意識を変えなくてはいけないということで、研修等を徹底しておるところであります。
さらに、抜本的な対策としては、三つほど説明さしていただきますが、矯正施設等のすべてのパソコンにつきまして、保存データを外部記録媒体に許可なく複写することを防止するための情報漏えいソフトを追加すること、さらにパソコン本体を施設外に持ち出せないようにするためのセキュリティーワイヤによる固定を行ったほか、最新の情報セキュリティー対策に関して作成した資料を各矯正施設に配付して職員に徹底することといたしました。
その他、種々の細かいところでございますが、いろいろ対策を講じているところでございます。
○松岡徹君 私も、質問主意書を提出いたしまして幾つか聞いておりました。そして、大臣の法務委員会での答弁もございました。当然、なぜこのような情報が漏れたのかという意味では、情報管理者たる矯正局で漏れた原因を調べて、二度と漏れないような体制をしくというのは当然のことであります。情報の管理責任者であります。
ただ、その中で問題なのは、職員がそのデータを持ち出しておるんですね。そして、自分のパソコンから通じて情報漏れているんです。この情報はどんな情報かといったら、一万ファイルに上るんですが、個人情報だけ見ても、被収容者は、氏名、生年月日、呼称番号、罪名、事件名、刑名、刑期、刑の起算日、刑の終了日、入所回数、病状など入っているんですね。矯正局の職員は、氏名、官職、住所、自家用自動車の登録番号とか、そういった非常に細かな個人情報が入っている。しかも、三千八百八十人の被収容者のうち約八割の方はもう既に刑期を終えて出所されている方だと。この情報が、いとも簡単に個人の職員が持ち出すことができるのかどうか。これが不思議でならないんです。これね、職員の守秘義務というのはないんですか。
○政府参考人(小貫芳信君) 職員には、一般的な公務員法上の秘密を守る義務というのはございますし、また、個人情報保護法に基づいて規定された内部規定においても、そういったことが起こらないようないろんな外部持ち出し禁止等の規定も設けているところでございます。
○松岡徹君 守秘義務はあると思うんですね。これは完全な守秘義務違反でしょう。じゃないですか。この情報流出にかかわる職員は、個人だけじゃない、約十二名ぐらいかかわっているというふうに聞いているんですね。しかも、一つの刑務所ではなくて、いろんな行刑施設、様々、幾つかの行刑施設の資料なんですね。
そういう意味では、この職員たちは、守秘義務違反になりませんか、端的に答えてください。
○政府参考人(小貫芳信君) 実際にウイルスに侵された、流出した情報の管理をした職員については、まあ法的に言えば、故意がないということで刑罰には当たらないかなというふうに考えているところでございます。
○松岡徹君 私は、故意犯か過失かを聞いているんじゃないんですよ。故意犯だったらもっと問題ですよ。でしょうが。そんなこと関係なしに、職員は守秘義務を課せられているんでしょうが。こんな情報をいとも簡単に自宅へ持ち帰る、自分のパソコンに保管することができる、データを入力することができるというこれ自身が流出じゃないんですか。守秘義務違反じゃないんですか。
○政府参考人(小貫芳信君) 法的にということじゃなくて、その情報を扱う者として不適正であったという意味では、正にそのように理解できるというふうに思っております。
○松岡徹君 不適正、すなわちそれが守秘義務違反だというふうに思うんですね。
私は、何もこの職員を罰してくれとは言ってないですよ。なぜ彼がこの情報を家へ持ち帰ったのかということも聞いています。自らの矯正局職員としての技量を高める資料として、あるいはそういう勉強のためというのも聞いています。しかし、だからといって、こんな情報が、どんな理由であれ、個人の自宅に、個人専用のパソコンに持ち出されるということ自身はこれは公私混同だと思うんです。私は、何もこの職員の人を罰してくれとは言っていませんよ。矯正局自身が非常にその責任の在り方とかいうのが非常に無責任というか、はっきりしていないですね。そのことを私は指摘したいと思うんですけれどもね。
それともう一つは、流出した情報なんですが、三千八百八十あるいは二千人を超える職員の人、まあ言うところの六千人を超える人たちの個人情報が流出しているんですね。問題は、このときの流出した情報によって、当然考えるのは、流出しないようにということで管理者のシステムとかそういうことを考えるのは当たり前のことです。一方で、この情報が漏れることによってどんなことが起きるのか、どんなことが考えられるのかということなんですね。そっちにちょっと視点がないんではないかと思うんですが、この情報が流れたことによって、もしそれが一般に流れたことによってどういうふうなことが起きるとお考えですか。
○政府参考人(小貫芳信君) これは重大なプライバシーの侵害でございます。特に私ども心を痛めておりますのは、刑を終えて出所されて社会復帰をされている方々がこのことによっていろんな被害を被り得る可能性があるということ、これが最も心を痛めて、今後どうすべきかを考えているところでございます。
○松岡徹君 私もそう思います。
私も、法務委員会で様々、刑法の問題とかやり取りしてきました。再犯を防止していくには自立更生の道をしっかりとつくっていかなくてはならない。自立更生を阻むのは、刑を終えて出所した人がなかなか就職に就けないとか様々あります。そういった障害にこの情報がならないかどうかということを心配します。
そういう意味では、それだけではありませんが、すなわち個人のお名前から様々な病歴までデータとして載っているわけですから、プライバシーの侵害だけではなくて、その人の人権を侵害していくという結果に、道具に使われてしまうという危険性もあるということをしっかりと踏まえていただきたい。改めてその辺の課題についてはじっくりと検討をいただきたい、後ほどの議論にも生かしていきたいというふうに思っております。
それで、もう一つ、個人情報の流出のところでは、実は個人情報を取得する場合、本人に許可なく個人の情報を取得する特別職務といいますか、ありますね、八業種と言われている人です。
昨年に、もっと言えば一昨年の十二月、まあ大体去年の一月に入ってからだと思うんですが、兵庫、大阪を中心に行政書士による戸籍の不正入手の事件がございました。もう一々細かなことは申し上げるつもりはありませんが、事件発覚が二〇〇四年の、平成十六年十二月、そして二〇〇五年から本格的にその全容が分かってきたわけですが、内容は、最初に分かったのは、兵庫の行政書士が興信所、探偵社六社と結託をして、興信所、探偵社からの要望に応じてその戸籍謄抄本を取って、それを一通三千円から一万円で売り渡していたということが分かりました。この中で、二〇〇一年、平成十三年からこの事件が発覚するまで六百五十三件に上る他人の戸籍謄抄本を取っていた。そして、あわせて、宝塚の、兵庫の宝塚の方の行政書士は、その職務上請求用紙を興信所に売っていたと、束のまま売っていた。その数は二千二百枚に上ると。この行政書士がそういう、もう一つは大阪の行政書士でありますが、この方も同じように千八百六十枚の用紙を興信所に売っていた。そして、この売られたそれぞれの職務上請求用紙は、当然宝塚のその行政書士の名前、大阪の行政書士の名前で請求されています。そういったことが発覚をいたしました。
この事件の内容について、大臣は御存じですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生のおっしゃったように、昨年、兵庫県や大阪府等の行政書士が戸籍謄本等を不正に取得した事件が発覚しておることについては、関係法務局、地方法務局を通じて把握いたしております。
○松岡徹君 これは大阪、兵庫中心でありますが、そのころと時期を同じくして京都の方でも同じように人の戸籍謄抄本を取った事件がありました。それは行政書士ではなくて司法書士の方ですね。これは明らかに身元調査のためということであります。これも当然、大臣は御存じだというふうに思っています。
それ以外にも、昨年から次々とこういったことが明るみになっています。愛知県の興信所、ある興信所が本人に成り済まして戸籍謄抄本を不正に入手していたということがあります。新聞にも載っておりますが、この興信所は事務所に約千五百個の判こを、千五百種類の判こを保管して本人に成り済まして取っていたということが発覚をいたしています。あるいは東京の練馬区でも行政書士による戸籍の不正入手、同じような手口であります。あるいは台東区でも起きています。その他にもいろいろ様々な事件が、こういった附属する、まあ類する事件が続発をしています。
この事件は、去年始まったんではなくて、発覚したのが去年でありまして、こういった不正取得は大阪や兵庫の事件だけ見ても少なくとも五年ほど前から不正に取得されていたということであります。ただ、それ以前のことがなかなか分からないのは、それを保管している資料はもう消去、消却しているというのもあります。
だから、五年ほど前のことしかなかなか分からないわけですが、そこで、総務省にも来ていただいていますが、総務省はこの事件を知って四月の二十六日に三百八十三号通達といいますかね、通知を出しています。それで、そのときに統一応募用紙による請求用紙の変更を求めていますね。当然、行政書士の連合会はその要請に応じて、その請求する際のガイドラインを新たに作成をしました。これについて、以前と今回の、このガイドラインが作成されました、当然総務省も通達を出しました、それについて、この違い、どこを力点に置いて変えようとしたのか、そしてどういう問題意識でこの通達が出て、変えることを通達として指示したのか、そのことをお聞かせいただきたい。
○政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。
総務省では、事件の発覚後直ちに日本行政書士会連合会に対しまして遺憾の意を伝えますとともに、再発防止策の検討を求めたところでございます。あわせまして、職務上の請求の特例が認められております八士業の団体に対しまして、統一請求用紙の適正な使用管理を依頼したところでございます。これが今先生御指摘いただきました通知でございます。
行政書士会の方でございますが、行政書士会といたしましては、発覚いたしました兵庫県等におきます行政書士の一連の事件は、不利益を被った方に多大な迷惑をお掛けいたしますとともに、行政書士制度等に対する国民の信頼を失墜させた遺憾の行為だという認識の下に、その再発を防止するため、統一請求用紙の様式の厳格化等の対応を決定したということでございます。
具体的に申し上げますと、従来の統一請求用紙の在り方、統一請求用紙を廃止、回収いたしまして、使用目的、提出先に加えまして、依頼者の名前の欄を追加いたしました新たな統一請求用紙を作成いたすことにしております。それから、使用の際には行政書士会に誓約書を提出させるなど、この統一請求用紙につきまして厳格に管理をするといったことがもう一つでございます。それから、新たな倫理規則の制定等の対応も行っているといったものが主な内容かと存じているところでございます。
○松岡徹君 今までは依頼者の名前はなかったんですね。先ほどの事件を見ましても、宝塚、大阪の行政書士は、その請求用紙そのものを興信所に売り渡していた。それを買った興信所の職員は、その行政書士の代理人に成り済まして請求していたということが考えられますね、まあ事実そうだったと思うんです。
その中で、例えば宝塚の行政書士は、この事件発覚する以前からそうですが、京都の女性から、無断で戸籍を取られて、この行政書士に取られて、そして縁談が壊されたということで訴えられたんですね、訴訟されたという事実があるんですね、これ。それ以外、大阪の行政書士もそうですが、大阪豊中のこの行政書士も、兵庫県の加古川の在住の人ですけれども、この大阪の行政書士によって自分の戸籍謄抄本を取られたと。自分は依頼もしていないのに、そして依頼者の名前を見ても全然知らないのに勝手に取られたということで、この兵庫県加古川の人も届け出ているんですね。
そういう意味では、そのことから分かりますように、総務省は、すなわち情報の本元である情報管理者なんですね、市区町村それぞれ。それが、職務上請求用紙によってその情報を出すんですね。ところが、その情報は全く目的外の使用でありまして、これ、今ガイドラインを変えたと言っていますけれども、それでこういった事件は防止できると思います。
○政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。
士業につきましては、その資格による調査ということで、通常の場合よりも請求の在り方が緩和されているといったところでございます。そういう意味では、そういう資格をお持ちの方々に強い職業倫理意識を持っていただく必要がまずあろうかというふうに思うわけでございます。
今回の取扱いの改正の中で、一つは、そもそも、ある程度その請求の仕方を士業だからということで変えた部分について改めるということで、その辺の確認を市町村の方の窓口でやっていただくということで一つのチェックができるかと思いますし、もう一つは、やはり先生御指摘いただいた件は件数も大変多うございますが、これは統一請求用紙の管理そのものが、ある意味ではちょっと甘かった面があるということで、それだけたくさんの者ができたということでございますので、この種の対応をすることによりましてかなり対応策が取られるものではないかというふうには思っているところでございます。
ただし、そもそも、先ほど来申しておりますように、資格を持った方の請求ということで認めているところでございますので、こういう方がそもそもの、何といいますか、法律を犯すということでやるというようなことはそもそも予定して制度を組むというのは大変難しいことでございますので、先生の御質問の一〇〇%防げるかということになりますと、逸脱する方が一切ないということはなかなか申し上げにくいことかなというふうに思っているところでございます。
○松岡徹君 一〇〇%は私も無理だと思いますね。
要するに、その八業種の人たちはそういう職権を認められているんですよ。それを守るというのは、倫理という意味では当然だと思うんですね。しかし、今回の場合はそれが興信所の要望、あるいは最初に言いました兵庫の行政書士なんかは、自らが新聞の広告を見て興信所にダイレクトメールみたいにやって、戸籍謄抄本取りますよと言ってセールスやった。そうすると興信所や探偵社が来て、依頼に来たと。今分かっているやつでも、二〇〇一年からそれで、興信所からの依頼で戸籍謄抄本を取って、それを三千円から一万円で興信所に横流ししたと。その人の証言の私はあれも持っておるんですが。
要するに、倫理というのはそのとおりであります。それは一般の社会の中にも当てはまることであって、法律があって刑法があって民法があって、当然守るべき、これは国民の規範としても倫理として当然あるんです。しかし、守られないというのがこれ犯罪になっていくんですね。ところが、これを守らなくてこういうことが起きた場合は、この行政書士はどういうふうな処罰になるんですか。
○政府参考人(高部正男君) 御指摘ございました事例の中で、兵庫県宝塚市の行政書士の例で申し上げますと、先生御指摘ございましたように、統一請求用紙を使用して他人の戸籍謄本でありますとか住民票の写しを不正に取得して報酬を得たという事案でございますが、この行政書士に対しましては平成十七年六月に兵庫県知事より業務禁止処分が行われておりまして、また兵庫県とか神戸法務局の通知を端緒といたしまして、平成十八年三月に伊丹簡易裁判所により過料の決定がなされていると承知しているところでございます。
○松岡徹君 そうなんです。過料なんですね。罪ではないんですよ。これは、職務上権限が与えられている人は当然それを守っていくべき責任は、一般の人よりもその部分においては重いというのは当たり前なんですね。だから過料というのはあるかもしれませんが、私はそうではないと思うんですね。その行為そのものをどう見るかなんです。
そこで、この事件が起きてから、兵庫県の井戸知事から法務大臣とか総務大臣、竹中総務大臣あてに平成十七年十二月にこういう提言書が出ていますね、当然知っていると思いますが。「単なる行政上の秩序罰に過ぎない過料のみでは不十分ではないかとの議論もあるところであるので、刑罰化することについても検討されることを提言する。」と、平成十七年十二月十五日、総務大臣竹中平蔵様、兵庫県知事井戸敏三と。これ、提言来ていると思うんですが、この考え方についてはいかがですか。
○政府参考人(高部正男君) 御指摘をいただきました兵庫県知事からの提言書については、私どもも受け取っておりますし、認識しているところでございまして、御指摘ございましたように、刑罰化することにつきましても検討をしたらどうかというような御提言をいただいたというふうに思っておるところでございます。
私どもといたしましては、いろんな、先生から御指摘いただきました御意見もいろいろあろうかと思いますけれども、私どもといたしまして、今回の事案にかんがみますと、先ほど来申し上げておりますような、まずは士業としての対応といったことで手続を明確化する、あるいは市町村の窓口において例えば本人確認をしっかりするといったようなことの対応の中で適正な運用が図られるように確保していくことが重要ではないかというふうに認識しているところでございます。
○松岡徹君 質問した相手が悪かったですね。なかなか答えられへんというのは、それはよう分かります。
同じように法務大臣あてにも提言が出ていますね。大臣、どう思われます。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生が申された内容の提言が十二月、昨年の十二月十五日付けで法務大臣のところにも参っております。承知しております。
現在、法制審議会におきまして戸籍法の見直しの審議が始まっております。戸籍謄本等の不正取得に関する罰則は、御案内のとおり、行政罰だけでございますが、罰金とか刑事罰を科するかどうかについても適切な審議がなされるものと思っております。
○松岡徹君 戸籍法の改正の議論のところで刑罰の議論がされているんですか、されるんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 戸籍法の見直しの審議を行っておりますので、全般について検討されるものと考えております。
○松岡徹君 刑罰化というこの提言なんですね。その刑罰化も、その戸籍法の改正議論といいますか、その中で議論されるんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 刑罰化を導入するについては総務省とか関係省庁の協議が要ると思いますが、法制審としても御検討されるものと考えております。
○松岡徹君 私は法務大臣の考え方を聞きたいんです。
私、もう一つ不思議なのは、今、総務省からありましたように、この事件でかかわった行政書士は一応、廃業届を出したり、あるいは過料を受けておるんです。ところが、その行政書士と結託した興信所はですよ、探偵社は何の罪にも問われていないんです。何の罪もないんです。何のおとがめもできないんですよ。これはどう考えます、大臣。
○国務大臣(杉浦正健君) 戸籍法上の過料の制裁規定に該当するものは、偽りその他の不正の手段により戸籍謄本等の交付を受けた者でございますので、依頼した興信所に対し直ちに戸籍法上の過料の責任を問うことは困難だというふうに考えております。
○松岡徹君 この依頼した兵庫の行政書士の興信所、探偵社は、(HP編集注:神戸市の実際の興信所・調査会社名を挙げる)、これみんな分かっているんです、名前。そこが何通、この行政書士から要請して何通不正に取ったかというのは分かっておるんですよ。そこまで分かっているのに、なぜこの、行政書士は廃業届、廃業になったですよ、過料含めてね。なぜこの探偵社、何にもないんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 戸籍法上は過料の制裁規定しかございませんので、罰金を科するわけにはまいりません。
○松岡徹君 そこなんですよ。だから、刑罰化というものを考えるべきではないですかというこの兵庫県知事のやっぱり提言だと思うんです。すなわち、それをやる人間と同時に、それをやってくれという需要があるんですよ。でしょう。もしそういう、確かに行政書士の倫理の問題もありますけれども、同時にそういうふらちな要求をする探偵社とか興信所は、ここをやっぱりどう止めるかということも考えなあきませんね。だから、私は、兵庫県知事の提言は正にそういったところも含めて刑罰化を提言されていると思うんです。
法務大臣として、その提案について、大臣としてどうお考えですか。
○国務大臣(杉浦正健君) こういうことはあってはならぬことですし、私も士と名の付く職業に加わっておるんですが、信じられないことですが、実際には、例えば建築士さんにもついせんだってございましたし、様々あるところだと思います。
総務省が、まず行政書士会が自主的に努力しろということでやっておられるのも分かります。刑罰を導入するかどうかは様々な業種と申しますか、士もいろいろございます、そういうところとの調整と申しますか、これだけ導入してほかは導入しないとかいうことございますから、様々なところとの調整も要すると思いますし、多角的に検討する必要があると思います。
法務大臣といえども余り個人的な意見を言わない方がよろしいかと思う次第でございます。あってはならないことであることは間違いございません。
○松岡徹君 ほんま、ここをずっと追及していきたいんですけれども、聞いていきたいところなんですが、時間の関係もありますけれども、是非、個人的な意見ではなくて、杉浦大臣は今、法務大臣なんです。法務大臣がこういった出来事といいますか事件について、けしからぬと先ほど言ったでしょう、それを興信所、探偵社を罰するような、あるいは過料を科すようなものは整備されていないんです。それ自身も、これ盲点といいますか、問題だと思いませんか。だからこそ、そのことは何らかの手だてを打つべきだというふうな立場を、せめて考え方を示すべきではないですか。その上で法制審に、その意向を大臣として法制審にお願いしに行くということになるんじゃないですか。もう一度、その辺。
○国務大臣(杉浦正健君) 法制審は専門家がそろっておられますので、過去様々な法律の改正等を手掛けておられますので、そういう立場で適切に議論されるものと思っております。
法務大臣、個人、個人としてとおっしゃっても法務大臣でございますので、余り軽率なことは申し上げない方がよろしいと思っている次第でございます。
○松岡徹君 個人的なことじゃないと思うんです。担当大臣として、この部分は正に盲点になっているというふうに思うんです。先ほど大臣もお答えになったでしょう。今のところそれは何ら適用するものがないと言っているんですから。一方で、行政書士は廃業まであるいは過料までされた、一応社会的な制裁を受けるんですよ。ところが、そこに依頼して結託してやった、金まで払ってそれを買った興信所、探偵社は何の過料も刑罰もないんですよ。
すなわち、さっき言ったけれども、犯罪は必ずしも、こういったものは行政書士がすべて起こすんじゃないんですよ。行政書士の権限を悪用しようとして需要があるんですよ。そこも含めてやらなかったらこの問題解決しないでしょうということなんです。その部分が今の法律の中では盲点とするならば、その辺は何らかの手だてを打つべきだという、せめて担当大臣としてそういう見解は、これは個人的なこと聞いているんじゃないんです、大臣として聞いているんですよ。
○国務大臣(杉浦正健君) 一般論で申し上げるわけですが、仮に罰金の制度がこれに導入されるといたしますと、いたしますと、教唆した、興信所が教唆したわけですから教唆、あるいは共謀共同正犯としての適用もあるだろうと思います。ですから、まずは罰則の導入が是か非かという点が検討されることとなると思いますが、その点については法制審で適切に議論がされるものと考えております。
○松岡徹君 そうですよ。私もこれ見ただけで共謀共同正犯が成立するんちゃうかと、刑罰であればね、我々そう思うんですよ。
そういう意味では、やっぱり今確かにそれを罰するような、刑罰化するようなものは規定はないですからあれなんですが、しかしこの行政書士の連合会は自ら行政書士としての職権を与えられていますから、与えられているからこそ自らの中でそういう刑罰とか、あるいは刑罰というか規律、規範とかいうものを強めようとして努力しておるんですよ。努力しているからこそ、こういうところの盲点はやっぱりしっかりと課題として審議してほしいというふうに思います。具体的にどうするべきかというのは、是非また、私そんな聞いているわけじゃないですから、そういう視点が一つ大事だと思います。
それと、今回の事件が、事案がはっきりしたときに、実は法務省は、去年の平成十七年七月五日に大阪府がこの事件を知りまして、当該法務局のところに情報交換とか協力要請をしています。そのときに法務局は、守秘義務があって情報は提供できないとか、なかなか対応が遅いんですよ、法務局。
今日はそんなことをもう時間がありませんから申し上げませんが、法務局、法務省の考え方なんですが、私は、人の戸籍謄抄本を取るときに、その戸籍謄抄本を取る本人の承諾なしに理解もなしに勝手に取って、それを一通三千円から一万円で売るということは、その取られた本人は、自分の情報が自己の利益につながるような使われ方しているかどうか考えたら、必ずしてないですよ。本当にその人の利益につながるんだったら、その人に知らせますよ。何でその人に知らせないで勝手に取るんですか、それが売買されるんですか。
この情報の本元である戸籍謄抄本を取られた個人は、必ず不利益を被るような結果になるというふうに私は考えます。もし、その人の生活やその人にプラスになることであれば堂々とその人の了解を得て取ったらいい話ですから、なぜそれがやみからやみにこういう形で人の戸籍謄抄本、戸籍が、戸籍情報が売買されるということが今なおまかり通っているのか、どんな利益がその個人に行くというのか。
先ほど京都の例を言いました。この女性の戸籍謄抄本が取られて、この女性の縁談が破談になったといって訴えられています。この行政書士が取ったこの京都の女性の戸籍謄抄本は、何のために使われたと思われますか、大臣。
○国務大臣(杉浦正健君) ちょっと私には分かりません。
○松岡徹君 今言っているじゃないですか。京都の女性が、自らの戸籍を兵庫の宝塚のK行政書士から取られて、それが理由で縁談が壊されたといって訴えられておるんです、このK行政書士は。明らかに結婚のときの身元調査に使われたというのが想像付くじゃないですか。
それと、この事件で、昨年の四月にこういう幾つか新聞がずっと出ています。この事件、二〇〇五年の四月十一日、これ地元の神戸新聞ですが、行政書士の不正行為の記事が大きく載っています、連日のように載っています。法務局、被害を放置、ここで、行政書士らによる戸籍謄本などの不正取得問題で、人権侵害の調査権限を持つ神戸地方法務局が今年二月、昨年ですよ、戸籍謄本を無断で取られた被害者側から通報を受けながら、調査をせずに放置していたことが十日、分かった。同様の通報を受けた兵庫県の担当課からも人権侵害のおそれがあるとして資料の提出があったが、法務局が動き出したのは、四月に入って問題が報道され、被害者側が再び調査を要請してからだった。その後も、去年の十二月十四日の毎日新聞、発覚後も十一件交付。
法務省のこの事件の対応は十分だったと思いますか。
○国務大臣(杉浦正健君) そのようなケースの場合には、法務省としては人権擁護機関が対応することだと思うんでございますが、法務省の人権擁護機関では、結婚とか就職に際しまして身元調査が行われた疑いがある場合には、事実を詳細に調査した上で、その結果を総合的に判断して、身元調査が差別を意識した場合はもとよりのことでございますが、差別を意識しないものであってもその調査事項や方法から見て差別につながるおそれのある身元調査は許されないとの立場から、再発防止や基本的人権の尊重について正しい理解を深めるよう勧告等を行うなどの措置を講じてまいっております。
なお、人権擁護機関は、就職、結婚差別等の人権侵犯事件を未然に防止する観点から、そのような身元調査を行わないように企業及び興信業者に対しまして度々啓発してまいったところでございます。
○松岡徹君 事務方のペーパーを読んで、大臣ね、今までの法務省の人権擁護局の対応は、去年のこの行政監視委員会でも私質問しているんですね。非常に、当時の人権擁護局長がここで謝りましたけれども、対応が非常に悪い、後れている、遅い。それはこの問題の重要さを理解していない。
法務省は、昨年の四月二十六日も、総務省と同じようにこの事件が起きたときに通達を出しています。その通達の内容は行政書士の連合会に対してこれ言っているんです。ところが、人権擁護局というのは、取られた個人ですね、その人の人権を守らなあかんのです。その立場にまず立つべきなのに立っていない。これが大臣、やっぱりその感覚が弱いと思うんです。
私はその中で、実は部落地名総鑑というものがこの行政書士の中で出てきました。御存じだと思いますが、昨年の十二月と今年の一月の二十日に新たな部落地名総鑑が現れました。これは実は今からいいますと三十一年前に、部落地名総鑑というのが実はひそかに一冊四万円から五万円で全国の企業や大学や個人に売られていた。その作った本人は、結婚やあるいは就職の際に部落出身者、同和地区出身者を排除するための材料として使っていたということが明らかになりました。
その当時、国も挙げてこの問題に取り組みました。ところが、その後それらの事件、地名総鑑というのは八種類にわたって出回っていたというのが分かります。同和地区を、全国の同和地区を記載したものと同時に、それ以外に宗教だとかあるいは思想的なものとか、そういったものも記載した資料が、地名総鑑が発覚しました。それが、実は平成元年に法務省はもうこれで地名総鑑事件は終わったと、その当時集めるだけ集めた地名総鑑を焼却処分にして法務省は終結宣言を出しました。
しかし、今回この事件で地名総鑑が発覚をいたしました。私、現物、これ持ってきました。まあこれは古いやつですけれども、ここに入っているのが昨年の十二月に回収したものです。これは今年の一月の二十日に回収したんです。これはそれぞれ全国の同和地区の名前が記載されています。これを持っていたのはそれぞれ興信所でございます。興信所の本人から回収したものです。
いろいろな種類が出ていますが、それぞれこれ二冊とも種類が違います。しかし、大筋において全国の被差別部落を記入したものであります。これを興信所が保管して使っていました。そのことが分かっています。しかも、この行政書士の戸籍不正取得入手の事件でこの事件が分かってきたんです。
部落地名総鑑は平成元年に、十八年前に法務省は終結したとしていますが、しかし最後のところで、新たに見付かれば全力を挙げて取り組むということを申し上げていますが、法務大臣、このことについてどう思われますか。
○国務大臣(杉浦正健君) そのお答えする前に、先ほど申し落としましたですけれども、法務省の人権擁護機関は現在、先ほど御指摘になった大阪府、兵庫県の事案に関係すると思われる興信所数社からの事情聴取を行うなどの調査をいたしているところでございます。
御指摘の部落地名総鑑でございますが、新聞報道は承知しておりますし、部落地名総鑑が今なお存在しているとすれば大変遺憾なことでございますので、地方自治体等の関係機関と連携を図りながら調査を行っているところでございます。調査の結果を踏まえまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
なお、先生、終結宣言というふうなお言葉を使われましたが、ここにそのときの記者発表の資料ございますが、処理が終結したと。文章を一々読み上げませんが、処理を終了したと。しかし、法務省としては、今後ともこのような、啓発に努めるけれども、今後ともこのような悪質な差別事件が発生しないように同和問題についての啓発に努めるとともに、この種の差別図書の発行、販売等の事実が新たに判明したときは積極的に取り組む所存であるということもその記者会見において申し上げているところでございまして、今回そのようなことが判明いたしましたので、取り組んでまいる所存でございます。
○松岡徹君 大臣が今、地名総鑑事件が判明したということをおっしゃっていただきました。確かに、十八年前のあの法務省の通達でも、あの事件の処理は一応終わったということですが、事件が起きれば是非ともまた積極的に取り組んでいきたいということが入っています。
今回、少なくとも私どもは、私自身はこの二冊を入手たまたますることができました。今大臣がおっしゃったように、法務省としてはまだその地名総鑑を回収しているとか、そういうようなことは今ないんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 法務省として回収していることは聞いておりません。今後とも地方自治体等との連携を深めまして、調査を進めてまいりたいと思っております。
○松岡徹君 この地名総鑑事件については、今こういう紙、ペーパー物でありますけれども、実はこれを入手するときに、これを提供してくれた興信所の人はどういうふうに使っていたかということまで私たちに言ってくれています。
同時に、問題はこれではなくて、実はこれがCD化されているというふうに言われています。フロッピー化されているというふうに言われています。やっぱり情報社会ですから、三十一年前のあの地名総鑑が初めて出たときは正に大変なセンセーショナルな事件でございました。その本が一冊四万円から五万円でそれぞれの全国の企業の人事課に極秘で売られていたということがありました。
私も三十年前のその地名総鑑の実物を見たことございますけれども、真っ赤な表紙で表に極秘と書いてあるんですね。そういうものでございました。全国の被差別地域の所在地を何丁目何番地まで丁寧に書いてあるということであります。その資料、地名総鑑を買って、その当時の企業や個人たちは部落出身者、同和地区出身者を就職や結婚の際に差別を、排除していたということが明らかになりましたし、売る側も、売るそのやり方も、そういうふうなコマーシャルで売っていたというのもはっきりしています。
私はここに第八の、あの当時の第八の部落地名総鑑の最初のところに被差別部落の調べ方についてというのを事細かく書いてあるコピーを持ってきました。今ここで言うことは避けますが、今回こういった事件が新たに発覚したということについては、今大臣おっしゃっていただきましたように、取り組んでいきたいと思うということをおっしゃっていただきました。
私申し上げたように、これだけではなくて、実はフロッピーとかディスク化されているということまであります。そこも含めて真相を徹底的に追求すると、実態把握をしていくという御決意なのかどうか、お聞かせいただきたい。
○国務大臣(杉浦正健君) 御指摘の点をも踏まえまして調査を進めてまいりたいと思います。
○松岡徹君 大臣のその話をお伺いしまして、非常に私たちも安心をいたします。誠実な実行を心からお願いを申し上げたい。
このような事件が今も、このようなことが今もあるというのは大変なことだと思います。私は全体、今まで申し上げておりましたように、ウィニーによる個人情報の流出とか、あるいは行政書士による戸籍の不正入手の事件であるとか、今回発覚した部落地名総鑑も含めてそうですが、今なおそういう個人の違いによって排除をする、差別をするというような社会というものはやっぱり改善していかなくてはならないというふうに思っております。
ただ、強調しておきたいのは、情報がどんどんどんどんと様々な情報技術の進展によって流出するという可能性はいろいろの場面で考えられますが、なかなか一〇〇%それは防御できないということも十分分かります。私は、情報が流れるからといって管理を強化するというだけでは私は駄目だと思います。その流出した情報がどういうふうに使われるのかということにもっと考え方をいくべきだと思うんです。だからこそ、その流出したときの手だてとしては、その個人の情報の、個人である国民の一人一人の権利、人権を守るという手だてにいくんだというふうに思うんですね。大臣は今、この国会で議論になるべく、人権侵害救済に関する法律、政府が提出しようとしている人権擁護法案の考え方、言われました。犯罪の前提となる、今のある刑罰による犯罪の、そこまでは行っていないが、人権侵害も犯罪の言わば手前のところなんですよということをおっしゃっていただきました。そういう意味では、こういったことが人権侵害のそういう犯罪が増えていくということにつながっていくと思います。
最後に、大臣に、この個人情報、情報が流出したその被害者は一体だれなのか、その人たちを守るために大臣はどのように考えておられるのかを最後聞かしていただいて、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 一つは、もう二度とこういう事件が起こらないように万全の対応を取ることが基本的に大事だと思います。で、流出した情報については、今のところ、幸いと申しますか、今のところ外部には漏れ出ていないようであります。個人情報の流出によってその流出された方々が被害を受けることが十分考えられるわけでございまして、そういうことが万々が一起こらないことを願っておりますが、起こった場合には状況に応じて万全の対応をしていきたいと、こう思っております。
○松岡徹君 じゃ、終わります。
(この発言録は、参議院ホームページの会議録から、松岡徹の質疑の部分を抽出して掲載しています。委員会全体の会議録は、参議院ホームページの該当議事録を参照ください。)