2006年5月30日(火)
参議院法務委員会
○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。
先週に引き続き御質問をさせていただきたいと思いますが、今回の法改正は、前回も申し上げたように、百年に一度の重大な法改正だと感じていますし、代用監獄が冤罪の温床ではないのかということは古くから言われてきた課題でもあります。しかし、だからといって代用監獄制をなくせば冤罪がなくなるのかといえば、私はそうは思いません。冤罪が今でも存在をしているわけでありますから、たとえ一件でも冤罪が起きたとすれば、それをなくしていくような努力をしなくてはならない、そういう視点で質問もさせていただきたいというふうに思います。
それは私自身は、自白偏重、正に先ほど荒井先生おっしゃっていましたけれども、日本は調書主義といいますか、自白偏重が非常に偏っていたんではないかと。それを強要するあるいは増幅させるような制度として代用監獄という制度が働いていたのではないかというふうに私は考えるんです。代用監獄という制度そのものがすべての、諸悪の根源ではないというふうには思いますが、問題は、これまでの百年間改正されなかった監獄法に基づく代用監獄制度、その下で被疑者の諸権利が侵害されていく、あるいは制約されてきたという状況が一方にあるわけですから、そういったことをしっかりと整備をしていくということが今回の法改正の重要な視点だというふうに思っています。そのことが冤罪をなくしていく大きな取組につながっていくというふうに私も信じて御質問させていただきたいと思いますが。
まず最初に、被疑者が逮捕され、そして勾留される場合、だれが決定するのかというのは、当然のように、それは裁判官の専権事項だというふうに聞いておりますが、裁判官が拘置所に留置するのか、あるいは留置場にするのかという判断基準というのは、簡単に、どんなものなんですか、聞かせてください。
○国務大臣(杉浦正健君) 裁判所の決定の基準と申しますか、あくまで一般論になりますけれども、事件の性質でございますとか、被疑者の状況、それから必要と思料される捜査の内容ですとか、拘置所及び留置場の収容状況、弁護人等関係者の接見の利便など、諸般の事情が総合的に考慮されているのではないかと思われます。
○松岡徹君 裁判官が判断する場合は、そういう諸般の事情を考慮してと、特に拘置所の状況でありますとかいうことも含めて判断されるというのが最近だと思うんですが、そういう意味では、全体としては九八%を超える人たちが留置場留置という現状に今なっていると。そういう意味では、拘置所の設備といいますか、そういったものが整っていないということですから、やっぱり一方で拘置所をしっかりと整えていくと。
先日も小菅拘置所を視察させていただきました。だんだん設備が良くなっていくのは、新しいもの、良くなっていくのはよく分かりますが、十一階、十二階へ行ったら、何かアルカトラズの要塞みたいな雰囲気、感じしましたけれども、しかしいずれにしても、古いものよりも新しいのがだんだん設備が良くなっていくというのはもちろんそのとおりであります。
そういったことに努力をしていかなくてはならないと思うんですが、特に検察、捜査の側が留置場を要求するということが裁判官に対してあります。その要求する根拠は何なのか。全体としては九八%以上がほとんどもう留置場留置になっているんです。それも、検察が勾留する場合の勾留先を事前に裁判官に要求をしている、書面であるいは口頭でということが聞かれていますけれども、その要求する根拠、なぜこの人は留置場留置でなかったらいかぬのかというのはどういうことにあるんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 検察官が勾留請求に当たりまして勾留すべき場所を選定して記載していることは、先生御指摘のとおりでございます。
検察官は、事案の性質、共犯関係、捜査上の便宜、被疑者の防御上の便宜、施設の空き具合等々、諸般の事情を具体的事案に即して考慮し、勾留すべき場所を選定して記載しているものと承知しております。したがいまして、裁判所の方で、裁判所の判断、これと異なった場合には是正を求める必要があると判断することもある、準抗告するわけですが、と承知しております。
○松岡徹君 そうしたら、十一年前の事件ですが、大阪市の東住吉で起きた事件なんですね。これは、自分の子供を生命保険金目当てで放火して、自分の実の子供を火災を起こして殺してしまったと。その実行者が実は内縁の夫のBであって、それを共謀したとして実の母親が逮捕されたと。
この事件は、当初、このAという実の母親は共謀として逮捕されたんですが、今現在最高裁で争われていますけれども、このA子は、要するに留置場留置で取調べを受けるんです。受けたときに、既に首謀者のBはもう自白しているという、切り違え尋問とか偽計によっていったんはA子は自白してしまうんですね。長時間の取調べによって自白をして、あるいは切り違え尋問等々をやられて自白すると。しかし、弁護人が接見をして、違法な取調べのために虚偽の自白のおそれがあるということで裁判所に勾留を、裁判官に拘置所への留置を申請した、それが認められた。認められた途端に、今度は検察官が拘置所での勾留を不服として準抗告をして、再び、そういう意味では再び今度はA子を留置場に変えたんです。
これは、いったんA子は自白をしたと、弁護人と接見したら、自分はやっていないということで、拘置所に留置先を変えられた途端に、A子は、私はやっていないという自白をした、すなわち否認をしたために検察官がもう一度留置場に準抗告をしたと、こういうようなことを言われていますけれども、こういった実際に検察官が準抗告をして、いったん拘置所留置が決まったのに、もう一度留置場へ、準抗告して、異議申立てして戻したと、こういったことがあるんですけれども、これはどういう基準なんですかね。
○政府参考人(大林宏君) お尋ねは具体的な事件にかかわるものですので、私の方から答弁させていただいてよろしいでしょうか。
今委員御指摘のとおり、実子を殺害して保険金を保険会社からだまし取ろうとしたと、放火したという事件について、御指摘のとおり、被告人一名について勾留場所を拘置所としたことについて、検察官が準抗告し変更になったという事件があったことは承知しております。
これも御指摘のとおり、今、上告審係属中でございます。具体的事件ですので、その詳細については私どもで申し上げることはできませんけれども、一般的なこととして、検察官は、勾留請求に当たり、事案の性質等、諸般の要素を具体的事案に即して考慮し勾留をすべき場所を選定しており、裁判所の判断がこれと異なった場合には是正を求める必要があると判断することがあるものと承知しております。
○松岡徹君 はっきりしているのは、確かに検察は準抗告して拘置所から留置場留置へ、準抗告、異議申立てやって変わったんですよ。
私は、この流れを見たら、A子さんが逮捕されて、そのときに、そういう偽計も含めて謀られていったん自白すると、もうろうとなって。そしてこれではおかしいといって弁護士が拘置所に拘置に変えた、それは認められた、A子さんは自分は実はやっていないんだということを、すなわち否認したんです。否認したら、今度は同時に、検察官が留置場留置、すなわち否認をすれば留置ということがいろいろな、もろもろの諸般の事情という中に入っているんですか。
○政府参考人(大林宏君) 具体的事案によっていろいろな事情があろうと思います。
ですから、先ほど申し上げたとおり、これ、まだ事件係属中でございますので、一、二審についてはもう既に判決が出ている、有罪判決が出ているわけでございます。
ですから、それは、検察官において準抗告して勾留場所を変更するということは、それほど多いものではないんでしょうけれども、それはそれぞれの事情があってなされており、しかも、準抗告において裁判所が合議体においてその判断をしているわけですので、最終的にはその判断を尊重せざるを得ないというふうに考えております。
○松岡徹君 ちょっと、具体的にこっち言うているんやから答えてほしいと思うんですが。こればっかり長いことやっていられません、わずかですので、この辺で今日のところは終わりたいと思いますが、いずれにしても不思議なんですね。
要するに、否認したからやっぱり留置場留置、そしてそこで徹底的に調べる。一回目のときの取調べのときには偽計とか切り違え尋問とかすると。おまえの共犯者のBはもう白状しているぞというような取調べをやられたと。そして長時間にわたって調べられて、そして自白すると。弁護士が入って、拘置所へ変えたら、彼女は、いや、実はやっていないんですというふうに否認したと。また今度、留置場に切り替えされると。またそれで自白を強要されていくというふうな言われ方をしている。
何があったか分かりませんが、いずれにしても、拘置所に拘置が決まったからといって検察官は取り調べられないわけじゃないんですから、なぜそこでしないのかということなんです。すなわち、準抗告の趣旨、すなわちもろもろの条件の中に、否認をすればそういうふうに留置場留置をするんだということになってはいけないというふうに思いますね。それだけは申し上げておきたいというふうに思います。
それと、未決拘禁者の処遇でありますが、前にも申し上げましたが、第三十一条の未決者としての地位ということを考えますと、当然、受刑者との処遇の違いがございます。
そこで、この未決拘禁者の中で具体的にどんな対応をされているのかということなんですが、例えば取調べ時間、未決拘禁者ですから当然のように取調べがあります、受刑者と違うところはそこでありますけれども。取調べ時間というのは何時から何時までというのは決まっているんですか。
○政府参考人(縄田修君) 第一線の実務に係ることでございますので、私の方からお答えさせていただきます。
取調べの時間につきましては、個別の事案内容によりましてこれは異なるものであります。一律にその時間を定めるということではございません。被留置者に対する適切な処遇を行うという観点から、留置担当部門におきまして日課時限が設けられておりますけれども、捜査主任官において、原則としてこれを十分に尊重した運用がなされているものと承知をいたしております。
また、犯罪捜査規範において、やむを得ない理由がある場合には、深夜に行うことを避けなければならないと、こういうふうな規定されておりますけれども、社会通念上、その任意性の確保に疑念を生じさせるような時間は避けるべきと、こういうふうになされております。
今申し上げた原則に立ちつつ、さらにやむを得ない事情によりまして規定の就寝時間、就寝時刻に就寝を実施することができない場合には、翌日の起床時間を遅らせるなど代替措置を講じておりまして、被疑者の健康状況にも配慮をいたしております。
○松岡徹君 質問に答えなさいよ。何時から何時までと聞いているんです。何時から何時までと聞いているんや。
○政府参考人(縄田修君) 日課時限におきましては、これは各県によって若干異なるところがあろうかと思いますが、およそ午前九時以降、九時以降大体九時、午後九時ですね、九時が就寝時間となっております。基本的にはそれまでに取調べを終えるということでございます。
○松岡徹君 何時から何時までと聞いているんや。
○政府参考人(縄田修君) 大体午前九時前後だろうと思います、日課時限におきましては。
○松岡徹君 大体午前九時ごろから、就寝時間が九時になっていますからそれまで。大体いい加減なんですよ。何時から何時までと決まっていない。
第百八十四条規定に、「被留置者に告知するものとする。」という管理者の条文がありますね。すなわち、それは、食事は、あるいは就寝は、休憩は、そういったことは保障されているんでしょう。どうですか、保障されていないんですか。
○政府参考人(安藤隆春君) 日課時限を、これ、留置業務管理者が定めて、基本的にはそれに沿って処遇をするということでございますので、これは各県によって多少ばらつきがございますが、それぞれ決められております。
○松岡徹君 この法律百八十四条の規定を各県とも守るというのは、これは当たり前でしょう。それに基づいてそれぞれの、留置場留置も含めて対応するべきですよね、当然のように。
だから言うているんです。だから、取調べ時間は何時から何時までなのか。先ほど言ったように、必要あるいはやむを得ない事情の場合はその時間を超えるという、超える取調べもあると言うている。そのやむを得ない場合というのをだれが決めるんですか。これはやむを得ないというのはだれが決めるんですか。
○政府参考人(縄田修君) 先ほども申し上げましたけれども、捜査を基本的に指揮する、その事件を指揮するのは捜査主任官でございます。捜査主任官がまずは第一次的に判断するということでございます。
○松岡徹君 そうすると、捜査主任が決めると。
先ほど言ったように、要するに、管理者、業務管理者、留置業務の管理者は、当然のように、百八十四条規定にある被拘禁者、すなわち被留置者に対して食事とか睡眠とか休憩とかいうものを取らすというのが、これ業務管理者の責務でしょう、責務というか業務内容ですね。
ですから、やむを得ない場合、捜査主任が決めると言いますけれども、本来決められている、少なくとも、例えば夜の九時までに、夜の九時になったら就寝時間ですから、それまでに終わると、そして就寝時間を保障する。そしてやむを得ない、先ほどもありましたけれども、やむを得ない事情で深夜にまでなった場合、翌朝、就寝時間をずらしてでも保障する、こう言っておっしゃっていますけれども、そうすると、業務管理者は、自分の責任の権限といいますか、それはどこまで認められているんですか。
大臣、今日もせっかく来ていただいてありがとうございます。
やはり留置業務と捜査の分離というのはもう非常に大事な観点でありますし、そういう意味では、休憩時間とかがあるのか、ちゃんとあるのかということがあります。例えば食事の取り方もそうですが、よく私もテレビで見るんですが、取調べの最中に食事の、昼御飯のときにカツどん取ってとか、取調室で食べさせているということは、そんなんあるんですか。どうです、あるかないか答えてください。
○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。
これは、捜留分離が徹底しておりますので、捜査に従事している者は被留置者の……
○松岡徹君 あるかないか聞いているんや。
○政府参考人(安藤隆春君) 処遇に従事してはならないということでありますので、これは留置担当官が食事については担当するということでございます。
○松岡徹君 ちょっと、ふざけた答えをしたらいかぬよ。
私は、取調室で食事を取らせたことがあるかないかを聞いているんや。
○政府参考人(安藤隆春君) 今申し上げましたように、そういうことはございません。
○松岡徹君 そういうことはないということですね。本当にないんですね。
私は、業務管理者は、要するに百八十四条規定に、「被留置者に告知するものとする。」というふうに規定があるんです。すなわち、被留置者、未決拘禁者を留置する場合、留置業務の管理者はその人に何を告知するんですか。就寝時間は何時から何時までですよ、起床は何時ですよと。
この間、小菅へ行っても、おふろは五日に一回だ、休憩時間はこれだけですと。だから運動室も見ましたがな。それを告知するんでしょう。告知するということは、あなたにはこれだけのことはちゃんと人間的なものは保障しますということでしょう。それがもし取調べで奪われた場合、それはやむを得ないという場面もあるでしょう。しかし、奪われた場合、管理者は、いや、それは守ってくださいと言う側でしょう。管理者が要するに捜査の側に、時間を超えて、やめてください、もう時間を超えていますと、もう翌日にしてくださいというようなことはどういう段取りでまた実際にやられているんですか。
○政府参考人(縄田修君) 先ほども申し上げましたように、留置担当部門の日課時限が定められております。捜査部門といたしましては、先ほど申し上げましたように、やむを得ない事情がある場合にはそれを申し出る形になりますが、それよりも前に、通常、留置担当部門の方から取調べの打切りの要請がなされるということが大体現場では通常でございます。捜査部門としてはこれを十分尊重した運用がなされておりますが、更にどうしても必要だという場合は留置担当部門と協議をするといいますか、更に上の判断をいただくということになろうかと思います。
○松岡徹君 やはり、私はその業務をきちっと明確化すべきだというふうに思うんです。捜査は捜査で当然必要でしょう。しかし、捜査部門と管理業務はきちっと分けるべきだというふうに思います。
当然のように大臣にその辺の考え方、きっちりと分けてそれを法文に明確化すべきだというふうに思うんです。捜査の側からすればずっと取り調べたいという気持ちはあるかもしれません。先週も申し上げたように、あのウィニーで流出した愛媛県警のあの取調べマニュアルみたいなの見たら、相手を弱らせるんだというふうに書いてあるんですから、捜査のする側は手を替え品を替え人を替え何ぼでもできますけれども、調べられる側は一人ですから、それは長時間にわたったら体力も気力も弱ってくるでしょう。しかし、そんなことはあってはならないと、そんな調べ方はあってはならないと思うんです。
そういう意味では、やっぱり管理する側がしっかりと百八十四条規定を、告知するものとするということではなくて、やっぱり義務化する、しっかりと告知してそれを守りなさいという義務化するということが大事だと思います。同時に、捜査の側がそれに、管理業務にかかわってはならないということもきちっと明文化すべきだというふうに思いますけれども、大臣、沓掛大臣、お考えを。
○国務大臣(沓掛哲男君) 管理業務と捜査業務を明確に分けて分離していくということは、これはもう基本で非常に大事なことです。今委員おっしゃられたようなことについて、いわゆる管理業務者がいわゆる捜査業務はしてはいけないということになっております。では、その反対はということですが、捜査業務関係の人が管理業務をやるとすれば、それは今度は管理業務をする人は捜査業務をしてはいけないことになっていますから、それは明らかに管理業務者が捜査業務をしていけないということできちっと整理されることになるんだというふうに思います。
そこで問題は、いわゆる管理業務者と、そして、しかしここに被留置されている方は留置されていると同時にいわゆる捜査を受けている、そういう立場にもあるわけですから、やはりその管理業務と捜査業務とどちらを優先するかというぎりぎりのときというのがあると思います。基本的には、いわゆる通常の場合は当然管理業務者の主任の、したがって起居はきちっとされる。
そしてまた、整然として捜査もされるということですが、場合によってはそのぎりぎりという場合がいろいろ出てくるというふうに思います。例えば、夜遅く逮捕してきたとか、あるいはまた、いわゆるその現場検証する場合に夜であったので夜行って見てくるとか、そのほかいろいろなそういうぎりぎりの場合というのがいろいろ出てくるというふうに思います。
そのときどうするかということでございますが、それについては、捜査と留置のどちらを優先するかについては個別具体的事情に照らして警察署長が判断を行うということになっております。警察署長は捜査の責任者であるとともに、また留置業務の責任者でもあり、留置業務についても適切な判断が期待されるところであります。特に、留置業務に関して、被留置者の処遇に問題があるなどその遂行に当たって不適切な点がある場合には、当然警察署長の責任を問われることにもなるというふうに考えております。さらに、留置業務に関しては、被留置者の出入り等の被留置者の処遇状況については留置担当者が記録することになっており、警察署長の判断の厳正さ、適正さは客観的に担保されるものというふうに考えております。
また、今回の法整備においては被留置者の処遇に関しましていろいろな手続がきちっと取られて、拘置所における場合と同様な処遇が、対応ができるように留置所においてもされておりますので、そういういざというときのぎりぎりは警察署長という、最後の決め手はそこになるというふうに考えております。
○松岡徹君 要するに、それは気持ちは分かりますけども、それをどこで縛っていくのかというのが、今回法改正ですから、やっぱりそこで明確にしていかなくてはならないというふうに思うんです。
沓掛大臣がおっしゃったことについても、趣旨としては私たちも理解します。だからこそ改正時のこのときにしっかりと法の中に整備する、原則をしっかりとするということなんです。この原則をするということは、別に捜査機関の捜査の状況まで邪魔するということではないんですね。そういうことなんですよ。だからやっぱり、それを、いや、しないんだということになれば、またぞろ何か問題が残っていくんではないかというふうに思います。
時間がだんだん過ぎてきましたんで、ちょっと次に行きますが、今回、不服申立て制度が未決拘禁者にやって、制度されます。簡単に申し上げますのでお答えいただきたいと思うんですが、この不服申立ての内容なんですが、基本的には処遇内容になりますが、その処遇内容の中で、例えば長時間にわたって食事も取る時間もないとか、昼御飯をずっとずらして二時、三時ぐらいになったとか、あるいは取調べ時間が長過ぎるとか、そういったことも不服申立てとして申し立てられるのかどうか。
そして、申立て先なんですが、拘置所の場合は最後は法務大臣、そして留置所の場合は公安委員長、そして海上保安庁の場合は長官のところに行くんですね。問題は、法務大臣のところは拘置所の管理責任者ですから分かるんです。しかし、公安委員会の方は、これ捜査の側なんですね。そこでしっかりと不服申立てを受けた場合に対応をするような体制としてきちっと分けられているのかどうか。それは同時に海上保安庁の方もなると思うんですが、その辺についてそれぞれから簡単にお答えいただきたいと思います。
○委員長(弘友和夫君) どなたですか。答弁者。
○松岡徹君 特に国家公安委員会。
○国務大臣(沓掛哲男君) 国家公安委員会は、いわゆる民主的な警察運営をきちっとさせていく、また政治的な中立を、そして警察全体を管理していくという立場にあるわけでございますから、まあ、ある程度第三者的な機能も持ちつつ警察全体についてのいわゆる管理体制をきちっとやっていけるということで、警察本部長においていろいろ、十分の申請、裁決等が得られなかった場合において更に都道府県の公安委員会にそれを出すということは、私はきちっとした形での、仕分けした形でのそういう次の判断がなされるものというふうに考えております。そういうところですね。
以上です。
○政府参考人(平田憲一郎君) お答え申し上げます。
海上保安留置施設におきましては、被勾留者の代替収容を行わず、被逮捕者の四十八時間以内の短期留置を行うものでございますが、この限られた期間内でありましても、不服申立ての制度につきましては人権上当然保障されるべきでございまして、したがいまして刑事施設や警察の留置施設と同様に不服の申立て制度を設けることで被留置者の人権擁護を図っているところでございます。
具体的に申し上げますと、自弁の物品の使用又は摂取を許さないなど、処分性のある措置につきましては審査の申請、留置担当官による暴行など被留置者に対します違法な有形力の行使に対しましては事実の申告、これらの審査の申請及び事実の申告のいずれもが対象としていない措置その他の処分全般につきましても苦情の申出ということができることとなっておりまして、これらの制度によりまして海上保安留置施設におきましては適切な形で不服申立てができることとなってございます。
さらに、委員の方から御質問がございました不服申立ての手続についてでございますが……(発言する者あり)はい。失礼します。
○松岡徹君 手続なんか聞いてないです。
指摘だけしておきたいと思うんですが、要するに、不服申立ての中身、要するに処遇の内容とはどんなところまでできるのか、そしてどういう手続でできるのかということは次の問題なんです。要するに中身、その不当な長い取調べの内容まで、あるいはそこで暴行を受けたとか、そういったことも当然のようにあると思うんですよね。
問題は、そのときにだれが受けるのか。法務大臣は当然のように受刑者の処遇のところでもありますが、しかし、国家公安委員会が、その留置場に留置されている人たちがやるとき、国家公安委員会というのは元々調べる側なんですけれども、それが管理業務のところの不服、起きたときにちゃんとそういう分けて対応できるような体制になっているのかどうかというのが非常に心配なんです。その辺の整備をしっかりとやっていただきたいというふうに思っています。
次に、時間がございませんので、可視化の問題について御質問したいと思います。
今般、裁判員の制度導入に伴う可視化制度が導入されました。先週もそのことについて若干のやり取りがありましたが、そこで、私はそのときにも申し上げましたが、例えば米軍関係者が犯罪を犯した場合、日本の捜査当局としてどういうふうに対応になるのかといったときに、必ず日米地位協定に基づく合意内容が働きます。
そこで、米軍関係者の、この犯罪を犯したときに、最近なんですが、実は強姦とか殺人の重要事案については米軍関係者の取調べのときに立会いを認めるということが日米地位協定に基づく事務方の合意内容として決まって、今年の一月の事案についてそれが実施されたというふうに聞いておりますけれども、それは事実かどうかというのを簡単にお聞かせいただきたい。
○副大臣(河野太郎君) お尋ねの本年一月の事案というのは神奈川県横須賀市で発生しました米軍構成員による強盗殺人事件だと思いますが、平成七年合意に基づきまして起訴前に米軍から身柄の引渡しを受けております。そして、今御指摘ございましたように平成十六年合意に基づきまして捜査当局の取調べに捜査権限を有する米軍司令部の代表者の同席を認めております。
○松岡徹君 この日米の地位協定の、あるいはその合意の議論の中で、私は一つ、前にも申し上げましたけれども、アメリカの国内では要するに日本の捜査の仕方が非常に偏っているというような批判があって、その取調べについて日本の捜査の側に一〇〇%ゆだねるということについては抵抗があったというふうに言われているんですね。そういう背景を受けて、今回重要な事案についてはアメリカの軍関係者の立会いを取調べのときに認めるということで、今年一月にそれが実施されたということです。
私は、その被害者は日本人、日本の国民なんですね、犯したのが米軍関係者であるということでありますが、私は別にこのことは、立会いを認めたということが悪いと言っているんじゃなくて、今回の裁判員制度導入に伴う可視化、部分的可視化ということでありますけれども、私はより積極的に進めなくてはならないと思うんですね。ですから、今回の可視化制度、七月から実験されるということでありますけれども、可視化というのをどういうふうに考えているのか。例えば、ビデオとかで残すのか、テープ、音声なのか、それ以外の方法を考えられているのか、それはちょっと簡単に聞かせていただきたい。
○政府参考人(大林宏君) お答えいたします。
検察庁における取調べの録音、録画の試行につきましては、検察当局が裁判員制度における分かりやすく迅速な主張、立証の在り方を検討する一環として、自白の任意性についても効果的、効率的な立証を遂げるための方策を検討するために行うものであると承知しております。
今お尋ねの具体的にどういう形でやるかというのは、今検察庁において検討中でございまして、夏ごろから試行を考えておりますので、ある程度明確になった段階で御説明できるのじゃないかと思います。
○松岡徹君 そこで、可視化されたビデオなりテープなりが、その事案の証拠能力としてはどのように考えているのか、大臣。
○国務大臣(杉浦正健君) このいわゆる可視化、取調べの録音、録画につきましては、検察官の挙証責任を全うするという趣旨で裁判員制度が導入された場合、裁判員に対して、裁判官も含みますが、自白の任意性について効果的、効率的、分かりやすい立証を遂げるというための方策として検討を行うものでございます。ですから、裁判において被告人の供述調書の任意性が争われた場合には、供述調書の任意性を立証するための証拠、物的証拠ですね、証拠として提出されて取り調べられることになるというふうに考えております。
○松岡徹君 取調べ調書の任意性、信憑性といいますか、それを証明する証拠として採用されるんではないかというふうに言われました。
自白の調書の信憑性というものがどういうふうに今回の可視化で証明されていくのかというのを是非しっかり、私は心配するのは、確かに立証責任は当然検察の側にあるわけですからやるのは分かりますけれども、しかし、都合のええ部分だけをビデオやテープにだけ撮って、そしてその調書の信憑性を証明する証拠として出すというのは、これは一体だれのための証拠なのか、ということになれば、これはそれこそ自白調書の信憑性が疑われると思うんです。だから、部分的に例えば最後のところで、何時間掛かってでもこうやって、最後のところで署名するところをビデオで写して、さあ見てくださいとかになってはならないと思うんです。
やはり、可視化というか、そういうふうな自白調書の信憑性をいうなら、取調べ時間の最初から最後までしっかりとビデオなりテープで残すべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(杉浦正健君) もちろんどのような部分を録音、録画するかという、それが適当かという点についても試行の結果で検証されることになるかと思いますが、いわゆる検面調書、提出された検面調書についての信用性の問題ですから、先生が御指摘になったように、署名の部分だけ出してそれで任意性、信用性が実証されるとは到底思えません。検察官としては検面調書全体が裁判官、裁判員にとって信用されるという程度のものを出さない限り逆効果になると思いますね。それは十分考えた上で試行が行われるというふうに私は考えております。
○松岡徹君 これで終わりたいと思いますが、今回の可視化の取組については、我々としても評価はしていきたいというふうに思っています。
ただ、それが恣意的な使われ方をすると駄目だというふうに思っておりますので、今大臣おっしゃったように、逆のことにもなってしまいますので、しっかりとしたこの事案の事実をしっかりと映し出すようなものになるように是非とも期待をいたしておきたいというふうに思いまして、最後にそれを申し上げて終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○副大臣(河野太郎君) 申し訳ございません。一点だけ手短に、明確にしておきたいことがございますが。
先ほど、米軍の立会いの件で日本側の取調べの信頼がないから米側が取調べに立ち会っているかのような御発言がありましたので、そうではないということだけ明確にしておきたいと思います。
米軍は、日米の地位協定に基づきましてほかの国に認められていない起訴前の被疑者の引渡しを日本側に認めているわけでございまして、この米側の捜査権限を持っている者が立ち会うということは、万が一日本側が一次裁判権を放棄した場合に、二次裁判権を円滑に行使することができるように捜査権限を持っている人間が立ち会っているわけでございます。決して、日本側の取調べに疑念があってだれかが立ち会っているわけではないということを明確にさせていただきたいと思います。
参照:刑事施設・処遇法案についての質疑(一回目)(2006年5月23日 参議院法務委員会)
委員会全体の会議録(参議院ホームページ)