松岡とおる公式ウェブサイト

とことん人権。ひとを大切にする政治

松岡とおるは、この国の人権の法制度確立をめざしています。
前の記事 | トップページ | 次の記事
2006年5月16日 (火) 更新

[発言録] 入管法改定案についての質疑(二回目)

2006年5月16日(火)
参議院法務委員会

○松岡徹君 おはようございます。民主党の松岡徹でございます。
 先週に引き続きまして御質問をさせていただきたいと思います。先週質問を予定しておりましたものが積み残っておりまして、今日そこを中心に質問をしていきたいと思います。
 まず最初に、前回もちょこっと触れましたが、いわゆる指紋等の生体情報の保有期間といいますか、その期間なんです。河野副大臣は大体七十年から八十年というふうにおっしゃっていましたけれども、改めてその根拠といいますか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

○副大臣(河野太郎君) 七十年から八十年というのは、理論的に最大それぐらいになる可能性があるということでございます。
 複数のパスポートを使って複数の身分を偽って入国をしている外国人がいるわけでございます。そういう人間を発見をして、まあ中には正当に複数のパスポートを持っていらっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんが、そうでない理由で複数のパスポートで出入りをする人間がいるわけでございまして、そういう人間を入管の水際で少なくとも判別するためには、その人が過去どの名義で入ってきたか、どういうパスポートで入ってきたかということを調べなければならないわけであります。
 そのための手段として、一度入ってきた方の指紋を取っておいて、次に別なパスポートで入ってきたときにその指紋で名寄せをすると、同じパスポートで入ってくればこれは問題ございませんが、一つの指紋で名寄せをした結果、いろんなパスポートで出入りをしているということになれば、それはおかしいということになるんだろうと思います。そういうためには、一度入ってこられた方が出国してすぐ指紋を消してしまえば、次に別なパスポートで入ってきてもこれを判別する手段がございませんので、そういうことを考えると、一定の期間、指紋情報を保有していなければならないわけであります。
 どれぐらい保有をするかというのは運用を始めてからいろいろと研究をして決めたいと思っておりますが、十六歳以上の方から指紋をいただくということを考え、また今の人間の平均寿命を考えると、最大で七、八十年以上持つ必要はないだろうと、そういうことでございます。

○松岡徹君 今副大臣答弁をしていただきましたように、その根拠というのが非常に脆弱といいますか、あいまいなんですね。
 今日の新聞でも載っておりましたけれども、元入管局長が批判しているんですね。この批判の内容はどういうことかといいますと、要するに真のテロ対策にはなっていないと。水際でそれを未然防止すると言っているけれども、そういうふうにはなっていないと。それは、日本にはテロリストの指紋情報がほとんどない、どのように照合するのかと。
 元々おっしゃっていましたように、テロ対策、そして不法入国を防止することに資するというふうにおっしゃっていましたけれども、テロ対策とすれば、テロの定義はあいまいで、しかもテロリストと言われている人の情報が非常に、どこまでなのかということも未然に、つかんでいない。それで果たして本当にテロ対策になるのかどうかという点がありました。
 そして同時に、不法入国をどういうふうに防止するのかといったときに、犯罪者と言われている人たちの情報が、それ自身も非常に整っていないという状況で、年間七百万人を超える日本に訪れる外国人のすべての情報を取って照合するということが、果たして本当にそれが費用対効果から見ても適切な方法なのかということを考えると、私は大きな疑問がありますし、元入管局長の批判は正しいというふうに思っています。
 そして、リピーターといいますか、再度入るといった場合、我々自身は少なくとも百歩譲って、テロの情報を入管局が保持していて、あるいは犯罪者とか過去の退去強制者の情報を保持していて、その対象者になるということについて入国のときにチェックをする。そして、そのチェックから外れて全くそれには該当しないという人たちについては、少なくとも出国の時点ですべて消すべきである、消去すべきであるというふうに思うんですね。しかし、それでも七十年から八十年、長くて、保有する必要があるといったときに、また再度それを偽造して来るかどうかという基礎データがない。そして保有された多くの、圧倒的に多くの海外の人たちは犯罪予備軍というように見てしまうというか見られてしまうというふうな意識を持つんじゃないんですか。河野副大臣、どう思われます。

○副大臣(河野太郎君) 全くそういうことはないと思います。
 今、飛行機に乗ることを考えていただければ、前回も同じことを申し上げましたが、きちっとチェックをして、確かに手間は掛かるけれども、きちっとチェックをしてもらった方が飛行機には今乗りやすいという状況になっております。しっかりと水際で安全を確認する国というのは、そこへ旅行をしても、観光目的で旅行をしても安全であるということになるわけであります。私の事務所の人間もバリ島へ行くことになっていて、どうしようか出発直前までためらっておりましたが、危ないところにはやはり行きたくないというのが人間の感情として当然あると思います。
 むしろ、入ってきている方の安全を日本はちゃんと守っているんだ、日本は不法の入国の人は入れてませんと、入ってきている外国の人はみんな正しく入ってこられた方です、そういう国になる方が外国人との共生社会につながると思いますし、安全確保という観点からも、日本はむしろ、世界じゅうの方がどこへ行こうかと、観光に行こうかと考えたときに、来やすい国になると思っております。

○松岡徹君 今先ほど副大臣おっしゃったように、例えば自分のところの事務所の人間が海外へ行くときに、危険なところには行きたくないというのがありますね。むしろそういうふうに取れば安心だというふうに、そういう心理が働くんではないかということは、まあそれは一般的な心理はそのとおりだと思うんです。
 だから、今回の改正のときに、少なくとも、例えば自分たちが、採取された情報がどのように使われるかという利用目的とか、それがどのように保管されてどのように利用されるかということを、利用目的をちゃんと決めて、そしてその利用目的以外のことには使わないというようなことを本人に説明するからこそ安心して行くんですね。また、安心できる国だということになるんです。
 だから、前回のときにも私は質問をさせていただきました。利用目的をしっかりと特定すべきだし、その利用目的を、あるいは管理目的をちゃんと本人に明示するということがなかったら、それがどういうふうに使われているのかということが非常に不安になりますね。そういう意味では、私は、この保有期間の問題もそうですが、さきに申し上げましたけれども、アメリカのUS—VISITが導入されるときに、日本政府はアメリカの意見交換の中で、アメリカに対して、日本人がアメリカに入国して出国する段階で日本人の指紋を消去してほしいという要望をしているんではないんですかというふうに言ったら、河野副大臣は全くそれはありませんとおっしゃいました。
 しかし、私もその後いろいろ資料を手に入れましたら、二〇〇四年の六月八日付けの日米間の規制改革及び競争政策イニシアティブに関する日米両首脳への第三回報告書というのがあります。その中の四十一ページに入国地点における生体情報の取得というのがありまして、そのa、米国政府は新しい生体情報要件によって取得された日本国民の情報の保護に関する日本国政府の懸念を理解すると書いてある。要するに、指紋、生体情報の取得なんです。その後、個人情報は当該個人が米国を出国する時点で消去されるべきであるという日本国政府の立場も十分理解すると書いてある。
 こういうアメリカからの報告書は、正式な文書ですよ、これ、日米両首脳への第三回報告書なんですよ。その中の文章としてそうなっている。こういう報告書があるということは、当然日本政府はそういう要請をしているからこそこういう報告書があるんでしょう。それを一切やってないという。私は、河野副大臣がやったんですかとか法務省がやったんですかとか聞いていない、日本国政府です。そういうふうに思うんです。これ、今日外務省来ていただいていますけれども、その真意は、ちょっと聞かしていただけます。

○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました日米規制改革イニシアティブにおきまして、日本側から対米要望におきまして、これまで、一つはUS—VISITプログラムによって取得された個人情報を厳格に管理すること、それから個人情報保護のために米国政府が講じている一連の措置を明らかにすること等を要望してきておりました。
 他方、ただいま御指摘をいただきました出国時の生体情報の消去については、米国側に正式な要望を行ってはございません。ただ、御指摘いただきました記載によりますと、我が国の要望事項を踏まえた米国政府とのやり取りの中で、米国政府による生体情報管理の厳格化の具体策の一案として、日本側から出国時の情報の消去について言及があったのではないかと、かように思われる次第でございます。

○松岡徹君 私、昨日の質問取りのところで外務省の方も法務省も来られまして、私、このいろんな文書を入手して、自分なりに外務省のホームページも開いてやったんです。やっぱり私は、外務省なり、この外務省の平成十六年二月の、US—VISITプログラムに関する米国国土安全保障省暫定最終規則案に対する日本政府のコメントというのがあるんですね。その中に、いろいろ各論があるんですが、その各論の一つに、日本側として、採取される側に立てば、指紋採取を極めて侵犯的な行為と受け取る人間が少なからずいることを指摘するとともに、その点につき国土安全保障省として十分留意するよう努めるとか、いろいろ規則とかのところに意見を述べているんです。その中にあったかもしれない。
 ところが、その結果としてこういう日米両首脳の第三回報告書にこういうふうに出ているとすれば、当然しっかり米国政府はその日本側の指摘を受け止めているということなんです。十分理解すると書いてあるんですよ。私はそのときのそれについてどうなんですかと言ったら、質問取りの担当者は、それ以上は答えられませんとか言うんです。私はあなたに答えてほしいということで事前に質問取りやったんちゃう、帰れと、議員の質問権を侵害する気かと、これ以上は答えられません、大臣でも答えられません、これ以上の答えは私はできません、ふざけるなと。こんなことを法務省はやらしているんですか、質問取りで、大臣。事前に私にこれ以上は答えられませんというようなことをやらしているんですか。大臣に聞かしていただきたい。

○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 昨日、手前どもの担当の者が御質問をいただきに上がりましたときに失礼があった段、実は担当者から私も報告をいただいております。そのような、もとより質問権等についての指示を出しているということはもちろんございませんけれども、しかし、指導不行き届きによってそのようなことが、会話が、やり取りが行われてしまったと、心からおわび申し上げたいと存じます。

○松岡徹君 そんなこと聞いているんじゃない。
 大臣、どう思います。当然法務省の職員も来られて、一緒になって聞いておるし、そういう相づちを打っておるんです。そういうふうにせいという指示はされたんですか。

○国務大臣(杉浦正健君) もちろん、そんな指示はいたしておりません。

○松岡徹君 こんなことがあってはならぬと私は思うんですね。私は素直に、こういう文書がありますから、これはどういうふうに理解すればいいんかということなんです。

○国務大臣(杉浦正健君) その点につきましては、衆議院の委員会でも長時間にわたって御質問が集中をして何度もやり取りあったんですが、石川局長が申したような答弁が外務省の方からあったわけなんです。
 で、これは外交交渉ですから、外務省中心になってやっておりますから。ただ、この報告書は、先生御指摘の、アメリカ側でまとめたものでございまして、日本が作ったものではございませんので、その真意を完全に把握、日本側として把握することはできない。外務省の交渉担当者がそういうことをおっしゃっているとすれば、そうであろうということだろうというふうには思います。

○松岡徹君 大臣、当然衆議院の議論も私も記録を見て知っていますし、しかしその中で、先ほど言ったようにこの日米両首脳への報告書もありますけども、その以前に外務省がUS—VISIT導入するに際しての日本側の意見という形で文章で出ているんですね。それがこの報告書以前の、報告書も含めてそうですけども、日本政府のコメントで平成十六年十一月一日付けとかあるいはその前の十六年二月四日付けとか、それぞれUS—VISITに関する日本政府のコメントという形で懸念を述べているんですね。その中で当然のように管理のことがずっと幾つかあるんです。
 ところが、河野副大臣が前回の私の質問に対して、もう全くありませんとおっしゃいました。じゃ、全くないというのはこれは答弁はおかしいんではないですか、今外務省のことも含めてやると。どう思われますか。

○副大臣(河野太郎君) 日本側の政府としての要望は、外務省から法務省にも照会がございますし、法務省はそれに対して合意をしておりますが、御指摘のような点については全く要望の中に入っておりません。これは法務省も確認していることでございます。

○松岡徹君 いや、じゃちょっと、そんならどういうふうにこれは理解したらよろしいですか。今言うたように、政府に、アメリカからの報告書の文章で、今も申し上げましたけども、個人情報は当該個人がアメリカを出国する時点で消去されるべきであるという日本側の、日本国政府の立場も十分理解すると答えているんです。それ以前にも日本政府は様々な形で要望を出しているし、外務省の先ほどの答弁であれば、事務的なことも含めてそういった議論がされたはずだと、されたんではないかということが推測されるということなんです。全くしてないということはどういうことですか。正式な要望をしたかどうかでは、別に、このアメリカ側の報告書はどういうふうに理解すればいいんですか。

○副大臣(河野太郎君) アメリカ側の報告書は日本政府の同意を得て書いているわけではございませんので、アメリカ側がどういう意図で書いたかという正確なところは知るすべもございませんが、日本政府がアメリカ政府に対して要求をしたのは、取得した個人情報を的確に管理をしてくれということでございます。指紋を出国時に消去せよといったような要求を日本政府として出したことはございません。

○松岡徹君 ちょっと、九月の総裁選挙に立候補されるという方が、ちょっと失望しましたけども、もうちょっと、河野副大臣はその時点でこんなのは余り知識としては知らなかったかもしれませんけれども、私たちもこういった情報は余り知らなかったものですから、河野大臣がそこまで断定的におっしゃるんですから、ああそうかなと思いましたけれども。しかし、こういうことが出てくると、確かに日本政府と合意の上で報告書なんか書きませんよ。少なくともアメリカ政府は、日本の意向を、これまでのやり取りの話を聞いた上で、その件については理解できるという、まで書いてあるんですよ。少なくともやり取りの中でそんなことが俎上に上ったというふうに私は憶測するんです。それが日米で合意したかどうかということを聞いていないんです。だから、少なくともそんなやり取りがあったというふうに思うんですけども、どうです。

○国務大臣(杉浦正健君) 法務省の立場は、外務省が交渉するのに対してこういうことを政府として提案したい、関連官庁として意見を求められたのに対して、異存はないとお答えしております。お答えした内容について、ここにアメリカが書いておるような内容はなかったと、厳格に管理してほしいという趣旨の政府提案をするについて法務省としては異存はないという回答を申し上げているわけで、あとはですから外務省が交渉する中でどういうやり取りがあったか、そこまでは私ども存じ上げる立場じゃございません。
 先ほど石川局長がおっしゃったように、話合いの中で出た可能性があるようなことを衆議院の法務委員会でも答弁がございましたが、そのやり取りの一部をアメリカが記載したのではないかと、推測、推測です、する以外に確認のしようがないと、正直言って、そういうところでございます。

○松岡徹君 そうしたら、私はこう理解するんですよ。外務省が正しくそんな議論の事前のやり取りを法務省に伝えなかった、そしてあいまいな情報の下で法務省はこの法案を考えたということになるんじゃないですか。外務省はちゃんと伝えたんですか。

○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 この日米規制改革イニシアティブにおける要望に関しましては、様々な協議の場があったのではないかとただいま大臣からも御答弁ございましたが、この会合のほかに、通常業務の一環として、アメリカにございます我が方の大使館や東京にございますアメリカ大使館を通じました公式、非公式の意見交換等、様々なやり取りが行われております。大変恐縮でございますが、私どもといたしましては、そういう場において先ほどのような話が出たのではないかと、かように思われる次第でございます。
 要望書につきましては、もとより各省に合い議を図らしていただいていると、こういう状況でございます。

○松岡徹君 そうしたら、外務省は、そういった要するに保有期間とかいうことも含めてどんな議論がされたのか。公式、非公式も含めてあったでしょう。そのことは私たちは否定するわけではありません。しかし、この今回の法案改正の大事な論点の一つである生体情報の管理、保有の問題のところでどんな議論がされたのか、当然我々もそれが大事な点だと思って質問をしているんです。七十年、八十年保管する、この根拠は何なのか。当然、そのやり取りの中でこんな議論があれば、日本はその時点で、やはり犯罪該当者に当たらなかった人たちについては出国の時点で消去すべきだという考え方に立ったと、あるいはそういった考え方もあったということです。そのやり取りがアメリカとのUS—VISITのシステム導入に関して日米両政府でいろんな公式、非公式の中でも議論の論点の一つに挙がっていると。そのことが正しく法務省に伝えてなかったと。その正しくない不十分な情報で法務省は法案作成に掛かったということですか。それなら、もとよりこの法案は非常にあいまいな、不十分な情報に基づく法案改正になっているということを証明することになるんじゃないですか。

○副大臣(河野太郎君) 政府の立場はあくまでも厳格に情報を管理せよということでありまして、そこからずれてはおりません。交渉の場でだれが何を言ったか知りませんが、政府の立場としては一遍も変わったことはございません。

○松岡徹君 そんな無責任な答弁がありますか。そんな無責任な答弁、それなら何のための日米両政府の、事前のそういう事務方の、あるいは政府の事務方の協議なんですか。何の調整なんですか。そこのやり取り、問題点をしっかりと日本政府は受け止めて、日本政府が言うべきことは言うて、そこでの結論とかどういう経過になったのかということを、初めてですよ、初めて日本政府としては受け止めるべきじゃないんですか。
 そんな河野副大臣の答弁、それは無責任じゃないですか。改めておっしゃってください。

○副大臣(河野太郎君) 日本政府の取得した個人情報に関する立場は、あくまでもそれを厳格に管理をするようにアメリカ政府に求めたわけであります。我々が日本国内で同じようなことを行う場合には我々としても厳格に個人情報を管理する、この政府の立場は一遍も揺るいだことはございません。

○松岡徹君 私は、アメリカがUS—VISITを導入したときに、ブラジルで、アメリカ人がブラジルに入国したときに取られたと、それも極めて報復的にね。ブラジルの人がアメリカへ、要するにアメリカへ海外の人が行くときは取られるんです。そうしたらブラジルの政府は、逆に、そんなブラジル人を犯罪者のように扱うというか見られるというのが嫌で、どうかは知りませんよ、逆に今度はアメリカ人がブラジルに入るときアメリカ人の指紋を取ったということがあったと。
 これ、やっぱり私は河野大臣、保管、管理を正しく適切にやるということは大事なことだと思う。センシティブな情報でありますからね。だからこそ保有期間も含めて、あるいは利用目的も含めてしっかりとしなくてはならない。
 その論点の一つに、やはりなぜ犯罪対象者、対象外になった人はなぜ指紋消去しないのかという議論がまだこれできてないです。河野副大臣がリピーターとか、がありますけど、そういうふうに言ってしまうと、今現在入国の段階で、出国の段階で犯罪該当者に当たっていないとしても、七十年も八十年も保管すると、この人たちはこれから犯罪を犯す可能性があるというふうに見るんですね。すなわち、日本の国に入ってくる人たちはすべて犯罪予備群として日本政府は見てしまうことになってしまうんです。それが一つの心理的に危惧する点だということは事前に日本政府はUS—VISITのところでもアメリカ政府に意見として述べているし、あるいはパブリックコメントでもそういう声が上がってきているということは聞いています。その不安に対してどうこたえるのかということは、当然、この関係を整備するときには説明しなくてはならないし、明らかにしていかなくてはならないと思うんですね。
 だから、利用目的をはっきりするべきだし、それ以外のことには使わないということを本人に明示していくとか説明するという方法を用いるべきではないですかということを前回ずっと質問してきたんですね。
 ですから、この問題でずうっと時間を取るわけにいきませんが、私はそういう思いがありまして、七十年も八十年も保管するということについては非常におかしな点があるということを一つは指摘しておきたいというふうに思います。
 同時に、日本政府とアメリカ政府との間でやり取りされたことは極めて健全な問題意識で議論されてきているというふうに私は思います。決して秘密で不正なことをやっているんではないかというようなことを言っているんじゃないんです。この事前のやり取りは非常に健全な問題意識で議論をやり取りされたはずですから、問題はそれの処理をどうしたのかということを私たちは聞きたいんです。それが残念ながら答えていただきませんでしたけれども、次に行きたいと思います。
 この制度で問題になっておりましたアクセンチュアという会社が、これにかかわる業務の関係するところを入札をしています。そこで、平成十六年三月二十日の改定版の情報システムに係る政府調達制度の見直し、そして、同じく十一月十二日改定の業務・システム最適化計画策定指針、いわゆるガイドラインの中の留意事項の規定、そういうことからすると、実はアクセンチュアが取得した、これまでに入札したといいますか、事業のところで、平成十六年に五千八百八十万で随意契約によって出入国管理システム刷新に係る調査分析業務というのを請け負っておる。そして、十七年度に出入国管理業務及び外国人登録証明書調整業務の業務・システム最適化計画策定業務というのを九千四百三十二万円で随意契約によりアクセンチュアが入札しているんですね。
 先ほど言いましたように、平成十六年三月二十日と十一月十二日、それぞれ改定版のガイドラインやあるいは見直しについてのその留意事項とか入札に関するところでいきますと、なぜ競争入札にしなかったのか、なぜ随意契約なのか、この辺についてはどうなっていますか。

○副大臣(河野太郎君) 平成十六年度の刷新可能性調査のことだと思いますが、これは三社で企画コンペをしてレガシーシステムをどのように改革をしていくかという企画コンペの上でアクセンチュアに発注をしたということであります。

○松岡徹君 それではちょっと不十分なんですね。要するに、情報システムに係る政府調達制度の見直しというのがありまして、そこにはライフサイクルコストベースによる価格評価というのがありまして、それに基づく一般競争入札を行うこととか、そういうふうに政府調達府省連絡会議了承の下での文書があるんです。それからすると、なぜ随意契約になったのか。

○副大臣(河野太郎君) 平成十六年の刷新可能性調査でございますが、これはレガシーシステムをどのように改革をしていくか。御指摘ありましたように、政府がこれまで調達してきたコンピューターシステムというのは、ある面、そのベンダーから離れられないようなシステムになってしまった。ソフトウエアが変更できないようなものであったことが多々ございましたので、法務省のシステムにおいてもこのレガシーシステムからいかに脱却するかということが課題であったわけでございます。
 この平成十六年度に行いました刷新可能性調査というのは、いかにレガシーから新しいオープンシステムに移行するかという調査研究でございます。調査研究でございますので一般競争入札の縛りはございませんが、その中でも三社に企画を出していただいて、コンペの結果、アクセンチュアに発注することになったわけでございます。

○松岡徹君 レガシーシステムとか、そのことを言ってるんじゃないんですね。なぜアクセンチュアが随意契約でこの事業を契約になったのか、本来ならば一般競争入札にすべきではないですかということを言ってるんです。その根拠に、先ほど言いましたように、それぞれの改定版、平成十六年三月三十日の情報システムに係る政府調達制度の見直しについての事項でありますとか、そういったことからすると、随意契約ではなく入札という方法でやるべきではないですかということなんですが。

○副大臣(河野太郎君) 情報システムそのものの調達ということでありますと、おっしゃるとおり、一般競争入札にしなければいけないわけでございますが、この平成十六年に行いましたのは、どうやって今のレガシーシステムから新しいシステムに移行をするかという調査研究でございまして、機械を調達するというものではございません。その調査研究でございますから、これは一般競争入札の縛りはないわけでございますが、その中でも三社にどういう調査にするのかという企画を提出させて、そのコンペの結果、アクセンチュアが優れているということで発注をしたわけでございます。

○松岡徹君 その後に、アクセンチュアが平成十七年の九月に十万円でこれまた事業を入札しています。そのときの、政府が、十万円は適切かどうかという問題があります。この問題では、それぞれいろいろな、公取も含めて過去に、特にこの情報にかかわる事業について低価格競争という、低価格で落とすところが結構あるんですね。要するに、情報技術の独占というのがありまして、特に情報システムに関しては国内大手の四社がITゼネコンと言われて、それぞれ公取からもいろいろ注意をされている。不正な低価格競争という、低価格で入札することが公正取引委員会から指摘を受けているということがあるんです。
 そういう意味でいうと、アクセンチュアが十万円という低価格で落札したこの事業は適正かどうかということは、当然、衆議院の法務委員会でも議論ありました。そのときに、法務省の方は、今回の公正であるという理由に、その契約業者、アクセンチュアですね、十万円で本当にこれは仕事ができるのかというのを点検して、履行の可否を決めるときに、この契約業者は、①、海外機関での生体情報認証技術を利用したシステムの設計、開発、プロジェクト管理を行った際の成果及びノウハウを活用し、そして必要な最小限のカスタマイズで作業を履行することが可能なことと書いてあるんですね。すなわち、アクセンチュアは、日本がやるべき事業についてはもうノウハウをみんな知っている、それは海外の機関でそういう情報の仕事をやっているんだと、だから、もうノウハウ持っているから、改めてゼロからではないですから十分行けるという理由なんです。
 その海外の機関というのはどこかといえばアメリカだと。それはアメリカしかやってないからですね。いうところのUS—VISITなんです。これを実は、アクセンチュアは十年間で一兆円という額でこの仕事を請け負っている。このアクセンチュアが、実はこの日本の仕事を十万円で落札している。そして、その十万円は適正かというたら、日本政府は海外機関でのそういうノウハウをもう既に持っている会社だから十万円で行けるだろうと言っています。
 これはまだ本体事業ではありません、調査段階の仕事ばかりでありますからね、そうなんです。今までの随意契約、そして十万円の落札、これが本当に正しいのかどうかというふうに思うんです。これ正しいと思われます。

○副大臣(河野太郎君) アクセンチュアの入札は確かに低価格入札でございますので、法務省といたしましてもそれが適正なのかどうかという調査を行っております。その結果、調達制度の見直しの趣旨にのっとり定めたガイドラインに基づいて、低入札価格調査制度の活用、その調査結果等の公表等を行っておりますが、適正であるというふうに判断をしてございます。
 ちなみに、アクセンチュアが落札した価格は十万円でございますが、その次に低い入札価格が三十九万八千円ということでございます。これは次世代出入国に関するプロトタイプシステムに関することでございますので、これについては、日本のこういうことを請け負っているよということが対外的にいろいろ営業活動をする際にも役に立つ、そういう判断をされた企業が、一千万円という低価格にもかかわらず、かなり安い価格でこれを取りたいという姿勢で入札に臨んでいることは事実だと思います。

○松岡徹君 この辺の危険性を言うておきますけれども、過去にも、例えば電子納税申告システムについてNTTデータがこれは入札したんです。そのとき、当初の初年度の予算、実験事業は、予算は五億五千万です。それをNTTデータは一万円で落札している。一万円で。それ以後はずっと上がって、その後にはこの開発が基で六十一億を落札する、四回目のリースで二億七千万。このようなことがほかにもあるんですよ。アクセンチュアもそういうような傾向になっているんじゃないですかと、そういう危険性はないですかという思いで質問をしているんです。まあ、もう時間もありませんので、その辺の疑問を指摘をしておきたいというふうに思います。
 同時に、アクセンチュアというのはアメリカのUS—VISITを請け負っている会社であります。私たちの、国内の、日本の国民の生命、安全を守るセンシティブな情報でありますから、そのためのシステムでありますから、その情報を海外の企業にゆだねていいのか。まだ本体事業はアクセンチュアへ行っているわけじゃないですよ、ゆだねてしまうということがいいのかどうかということが私は大変心配なんですね。
 それは当然アメリカでも、アクセンチュアがその契約を受けるときにアメリカの連邦議会でも議論になっています。なぜなら、アクセンチュアはバミューダというところに本社を置いているんですね。要するに、脱税ではないけれども、法人税掛からないところですから、支店だけをアメリカに置いている。それが十年間で一兆円の金をやっている。しかも、やる仕事というのはそれぞれの、アメリカの国民の生体情報とか、海外のセンシティブ情報を扱うところなんです。
 これ、もしデータが流出するとか、万々万が一にも流出すればどうなるのかということを考えると、そういった海外企業にこのような大事な仕事というか内容を本当に落札していいのかどうかということが議論になっているんです。日本も私はそういう心配が当然あると思います。アクセンチュアは、今でもバミューダに本社を置く会社ですよ。海外企業に私たちの国民の大事なセンシティブな情報、生体情報を預けて管理させて本当にいいのかどうか、それで責任ある日本の法務省としての態度と言えるのかどうか。ただ、今アクセンチュアが本体を請けたわけではないですから、そこまでは言えないと思います。思いますけれども、その辺の状況はありますから、心配だから、この十万円という低価格の入札はどうも、どうなんですかという気がするということを指摘だけしておきたい。
 そして、最後にだけちょっと答えていただきたいんですが、この間の参考人の意見でもありましたけれども、日本はこういったやり方をする場合、センシティブ情報が流出した場合、安全のために管理をきちっとすると言っていますけれども、しかし、きちっとすると言っても、情報技術というのはこれからますますどういうふうに発展していくか分かりません。そういう意味では、流出した場合のリスク評価、あるいは影響評価というのはされているのかどうか、する気があるのかどうかということを聞かせていただきたいのと、同時に、この情報を海外にも提供する、あるいは外国にも提供するということがあります。私は、その提供する場合の範囲とか、あるいはその情報が、提供する場合に、少なくともこういうふうに使ってはならないとか、あるいはここまでだとかいうような国内の提出する際の法整備といいますか、そういう制度整備というものをしようとされているのか、考えておられるのか、それを最後にお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(杉浦正健君) 先生のおっしゃるとおり、外国人入国者からちょうだいする個人識別情報は大変重要な個人情報でございますから、当然のことながら、その悪用ですとか外部漏えいを防止するために万全の措置をとらなきゃいけないということは当然でございます。
 具体的には、民間セクターで導入されている情報管理システムを参考にしながら、電子データの暗号化ですとかアクセス権限の限定といった情報セキュリティー方策を徹底いたします。また、制度の導入に先立ちまして、参考人質疑の中でも触れられておりましたプライバシー影響評価などの監査手法を取り入れることも検討いたしまして、詳細なリスク分析や評価、影響分析を行うこととしたいというふうに考えております。
 外国へ提供する場合ですけれども、これは行政機関の個人情報保護法第八条、具体的には第八条第一項ですが、の規定によりまして、法令に基づく場合として行うこととなります。例えば、入管法第六十一条の九の規定に基づきまして、個人識別情報を外国入管当局に対し提供することは可能でございます。例えば、特定の外国人がテロリストであることが明らかになったような場合に、その者から上陸審査時に提供された指紋情報をテロ対策における国際協力の観点から外国入国管理当局に提供することはあり得ると思います。
 しかし、法務省が保有する個人識別情報の外国への提供につきましては、今申しましたとおり、行政機関個人情報保護法に基づいて適正に行われることとなりますので、そのための特に法整備が必要であるとは考えておりません。

○松岡徹君 終わります。

*この質疑録は、参議院ホームページより松岡徹の質疑部分を抜粋したものです。会議全体の議事録はこちらを参照ください。

ご連絡先
虹の連合・松岡とおる事務所
〒556-0001
大阪市港区波除4-1-37
HRCビル9階
Tel:06-6581-8734
Fax:06-6581-8735