5月20日、アイヌウタリ連絡会のメンバーが参加の下、北海道外に居住しているアイヌ民族の権利に関する関係省庁への要請が行われ、私も参加しました。アイヌウタリ連絡会が集約したアイヌ民族を先住民族と認めるよう要望した団体・個人署名と要望書が手渡され、関係省庁と意見交換が行われました。
昨年9月の国連総会で『先住民族の権利に関する国連宣言』が採択されていますが、日本政府は先住民族についての定義がないとの理由でアイヌ民族を先住民族と認めていません。また、現行のアイヌ文化振興法をベースにした諸施策や北海道在住のアイヌ民族を対象に行われている諸事業については、北海道外に在住するアイヌ民族には適用されていません。
私は、民族の文化を継承し、大事にしていきたいというアイヌの人々の思いを踏まえ、生活の実態を把握し、思いや要望をしっかり受け止めるスタートになればとあいさつしました。
アイヌウタリ連絡会から手渡された要望の要旨は、
1)アイヌ民族を先住民族と認知し、政府は歴史的・政治的責任を明らかにして謝罪すること
2)北海道外のアイヌ民族を含む全国規模の民族政策実施のための実態調査を行うこと
3)アイヌ文化振興法の政令により実施する諸施策・都道府県が北海道に限定され、道外のアイヌ民族との不平等や格差が生じていること、それらをふまえ、狭義の文化のみを対象としている振興法の根本的な見直し
4)北海道外とりわけ関東圏に居住しているアイヌ民族に対して文化伝承が可能な施設とその環境の保障、権利の回復、社会的・経済的支援を軸にした民族政策の実施と民族法の制定
5)「先住民族の権利に関する国連宣言」の国内実施を目的としたアイヌ民族法を制定するための審議会の早急な設置
連絡会の丸子美記子代表は、「北海道と北海道外のアイヌ民族のおかれている実態、諸施策に格差があること、いわれのない差別を受けているという実態をまずは認めてもらわないと憲法でいう法の下での平等にたてない」とのべられました。また、長谷川修事務局長は、「有識者懇談会報告書で、アイヌ民族が先住していたことは認めているにもかかわらず政府はなぜ認めないのか。この懇談会にアイヌ民族の代表がこれまで参加していなかったことは致命的であった」と指摘されました。
これに対し各省庁からは、アイヌ民族が北海道に先住していたことは歴史的事実であること、独自に文化を継承している民族であること等、「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」報告書でも示された内容をベースに認識しているものの、国連決議において網羅的な先住民族の定義がないため、先住民族と認めることは難しく、関係省庁連絡会を設置しながら福祉対策等、格差是正施策を実施していること、実態調査についても全国規模で実施するためには個人をどう認定していくのか、都道府県が主体となることの難しさがある等々の見解がのべられました。
連絡会メンバーからは、いわれのない差別を受けてきた実態が訴えられ、市民外交センターの上村英明さんは、「アイヌ民族は先住民族でないと日本政府は主張しているが、日本の国会では通用しても国際社会では通用しない。北海道のアイヌ民族には諸施策が適用されて道外のアイヌには適用されないという事実は大きな矛盾をはらんでいる。関東に在住するアイヌ民族が伝承文化を伝え、実行したいと考えたとき、なぜその権利が実行できないのか、具体的な問題を考えていけば、先住民族の定義にたどりつく。アイヌ民族がどのような権利を主張しているのかを考えていけば、国連宣言決議に書かれている権利に行き着くはず。定義がある、ないと議論している間は、いつまでたっても何の解決にも至らない」と強調されました。
最後にこれらの意見を受け、内閣官房から「国会決議の動きもあり、アイヌ民族の問題の歴史的な重みとその解決にむけて展望をもってやっていかなければならない。しっかり勉強して取り組んでいきたい」との答弁がありました。
*アイヌウタリ連絡会(丸子美記子代表・長谷川修事務局長)は、関東ウタリ会、東京アイヌ協会、ペウレウタリの会、レラの会等の団体・個人で構成
*当日は、超党派の「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」世話人代表の今津寛議員(衆・自民)の他、川田龍平議員(参・無所属)、福島瑞穂議員(参・社民)も出席されました。