6月16日、民主党法務部門徳島刑務所視察団の副団長として、徳島刑務所内の視察及び徳島刑務所視察委員会との意見交換会などに参加しました。
昨年11月16日、徳島刑務所の作業工場内で受刑者複数による暴動が発生しました。徳島刑務所視察委員会には、暴動が起きた当時の医務課長の医療行為(直腸指診の乱用、投薬拒否など)に関する苦情が受刑者から多く寄せられており、それら医療行為への不満が暴動の背景にあるのではないかといわれていました。
午後1時半頃から暴動が起きた工場、医務室などを中心に約一時間かけて視察した後、事件当時の前視察委員長らとの意見交換会、徳島刑務所、法務省との質疑応答を午後5時頃まで行いました。
刑務所内の視察では、事件前までは工場内、上下隣の居室で受刑者同士が安易に文書で連絡が取り合える状況にあったことや、刑務官への暴行が行われた倉庫内に、受刑者の私物が保管されていたことが報告されました。医務室では、先の尖った診察道具は外に出さない、受刑者が座るイスを固定しているなど、医師が受刑者から暴行を受けないための対策をしている旨の説明がありました。
徳島刑務所視察委員会との意見交換会では、事件当時の視察委員長から、医療関係の苦情は全て当時の医務課長に対するもので、全体の8割を超えていたことが報告されました。事態の異常さから、医務課長に対して適切な医療行為を行うよう指導し、不可能なら解雇するよう徳島刑務所への提言をしてきたが、刑務所側は一貫してそのような事実はないとの紋切り型の回答しかなかったと批判しました。前視察委員の一人からは、これまでの提言を刑務所側がもっと真摯に受けとめて処遇の改善を行っていれば、昨年の暴動は起きなかったのではないかとの意見も出ました。刑事施設視察委員会は、行刑運営の透明性確保、施設の運営改善を目的にした第三者委員会として設置されていますが、実効性の担保が課題として浮き彫りになりました。
徳島刑務所との質疑応答で、私は、C型肝炎患者に対する投薬拒否の事例を挙げ、刑務所内の医療水準、ガイドラインの有無について質問しました。
現在、高松刑務所との併任で徳島刑務所に着任している医師は、刑務所の医療レベルは極めて低く、適切な治療を行いたくても十分な予算がなく、設備環境も整っていないこと、また、半ばボランティアのような待遇で、診察も危険を感じながらやっており、当時の医務課長を弁護する訳ではないが、同情する部分はあるとのことでした。
暴動事件が起きた理由について、徳島刑務所の処遇部長からは、10年前と比べて全体的に規律が乱れていると感じていたこと、受刑者間の口談や文書での不正連絡が横行していたことが例にあげられました。また、過剰収容の状況下で、団塊世代の大量退職後に入ってきた経験の乏しい若い刑務官が多くなり、秩序回復を最優先させようという刑務所全体の意識が働いていたとの説明がありました。
その上で、医療関係の苦情と暴動との関連性は否定しました。
法務省からは、前医務課長への指導が行われた後に苦情の数が激減しているデータを見ると、やはり医療行為が暴動の背景の一因としてあったのではないかと考えられるとし、視察委員会の提言を受けて医師への指導を行っているが、刑務所側から視察委員会に対して説明がなかったことは遺憾であると、対応の悪さを認めました。
今回の視察で私は、暴動の原因や背景を真摯に探ろうとしない徳島刑務所の姿勢や、法務省との徳島刑務所との認識のズレを実感しました。医療問題との関係は否定しながら、暴動の原因についても十分な説明がなかったことで、不満が残る視察となった事は残念です。
今後は法務委員会などにおいて、刑事収容施設での医療のあり方、人間の尊厳を侵さない適切な処遇について問いかけていきたいと思います。