国連障害者権利条約の日本の批准と国内法整備をアピールするフォーラムが11月5日、大阪で行われました。31の団体で構成される実行委員会の主催で、国連障害者権利条約特別委員会に韓国政府代表で民間人として加わったイ・イクソプさん(延世大学教授)の講演や大阪の障害者団体の代表者がパネリストとなったシンポジウムが行われました。
障害者権利条約は、2006年12月に国連総会で採択、20カ国以上の批准により今年5月に発効されました。日本政府は昨年9月に同条約に署名していますが、国内法の未整備などの理由から批准にはまだ至っていません。障害者権利条約は、障害のある人もない人も含めた、誰もがあたりまえに生活し、行動し、参加できる社会をめざしています。
講演では、自らも全盲の障害者で、国連での障害者権利条約の準備過程に関わったイ・イクソプさんが、権利条約の策定までの背景やその意義、そして今後の課題について、また、日本における運動への期待についてお話をされました。
イ・イクソプさんによると、熱心な議論が交わされても実質的な拘束力を持たせることができなかったり、政府とNGO、先進国と途上国などの対立や様々な考え方の違いなどに突き当たりたびたび挫折感にとらわれた国連での議論だったが、最後には障害当事者の声が大きな力になって条約策定に向かったといいます。その結果、「人が普通に意見を表明し、地域で同等、平等に暮らしていく」あたりまえの権利、人権の概念が反映された、とふりかえっていました。
また、韓国内では民間団体も参加して権利条約についての真剣な議論が交わされたそうですが、政権が保守勢力から進歩勢力に交代した時代背景も大きかったといいます。イ・イクソプさんは、「自立生活」の理念や運動など、日本から学んだことは多いとのべながらも、韓国と比べて大きな変化がもたらされていないという印象を語り、権利条約の批准や障害者差別禁止法の実現はもとより、アジアや国際社会でのリーダーシップなど、日本への期待を寄せました。
この権利条約は、単に障害者にとどまらず、すべての人々がともに暮らしやすい社会をつくっていく、社会のしくみを変えていくことができる、大きな可能性をもっています。幅広い障害者団体や市民が、そんな意義を抱きながら、大きな世論を喚起しようと各地で取り組んでいます。
参考資料:
『みんなちがってみんな一緒! 障害者権利条約』(日本障害フォーラム)
『障害者権利条約で社会を変えたい』(福祉新聞社)