1月16日、部落解放・人権政策確立要求滋賀県実行委員会の学習会で、「人権侵害救済法の制定にむけた現状と課題」について講演しました。
人権侵害救済法については、2002年3月に「人権擁護法案」が政府与党により国会上程されてから実に丸7年にもなろうとしていますが、法は未だに実現に至っていません。小泉政権では「一日も早い法制定」が言われていましたが、安倍政権のもとでは自民党内(人権問題等調査会)での議論さえ封じ込まれてきました。その後、福田政権においては党内論議が復活し修正案が提示されたものの反対派の議員の抵抗から国会に提案されるまでには至りませんでした。
国民の信を問わないまま政権にしがみついている現麻生政権。今国会においても、来年度予算案の成否とそれに関わる解散・総選挙の含みもあって、人権侵害救済法の議論は難しい情勢となっています。
政権交代が実現すれば民主党中心の政権によって人権侵害救済法は実現にむけてより大きく前進するでしょう。現在の政治情勢に法制定が左右されているのも事実です。しかし、本来、人権に関する課題は政権に左右されることなく、党派を超えて取り組まれるべき課題です。
部落差別をはじめ、国内では差別・人権侵害の深刻な実態があります。平和を脅かす国権主義と新自由主義の経済雇用政策・格差拡大社会にあって社会不安は増大し、人権意識の希薄性も相まって、現実の差別・人権侵害に法や制度が対応しきれていません。
2001年の人権擁護推進審議会答申を踏まえる政府責任、国連規約人権委員会等からの度重なる勧告に応える国際的責任、そして度重ねて行われてきた与党協議・与野党協議の経過を尊重する政治的責任の三つの責任からも、日本における人権の法制度確立の一環として「人権侵害救済に関する法律」を早期に制定すべきです。
法システムは人の行為を変え、行為は心を変えます。差別や人権侵害がどんな被害を与えるのか。被害者に手をさしのべケアをする救済によって、差別はいけないこと、なくすべきことであるという社会規範へと高められていくと考えています。人間の関係性を壊すのが差別・人権侵害であるならば、関係を修復し豊かにしていくのが救済という考えもできます。
差別・人権侵害は皆さんの身の回りで起きています。この日も紹介しましたが、滋賀県の行政書士の方から「家系図ビジネス」での安易な戸籍の取得への問題提起や行政書士会による不正入手の処分事例の報告が私の事務所にありました。身近な問題に思いを寄せ、関わることから法の必要性を訴えていく全国各地の運動が大きなうねりをつくることを期待しています。
*昨年3月、私は、法務委員会において鳩山前法務大臣に対し、東京における連続差別はがき事件、愛知の被差別部落の所在地や動画がインターネット上で掲載された事件、行政書士による戸籍等の不正入手事件など、部落差別の事例を挙げ、人権侵害の実態把握や人権侵害救済に関する法律制定を強く迫りました。(議事録リンク)