2009年6月11日
参議院法務委員会
○松岡徹君 おはようございます。限られた時間でございますので、答弁の方も簡素で簡潔にお願いを申し上げたいと思いますが。
早速ですが、昨日の新聞に広島少年院の教官が四人逮捕されたという記事が載っておりました。我が党は、この問題は発覚したときから矯正局から事情をずっと聴取してまいりました。しかし、昨日いきなり新聞報道で逮捕の事実を知りました。たくさんの問題を含んでおりますが、これまで我が党は、名古屋刑務所から徳島刑務所を始め矯正施設内での暴行事件とか虐待事件というのが続いていたんですね。で、広島少年院の事件が今回ありました。
改めて議論をしたいと思いますが、この教官の四人逮捕の状況について簡単に御報告いただきたいと思うんですけれども。
○政府参考人(尾崎道明君) まず、告発についてでありますけれども、法務教官四人につきまして、広島少年院に収容されている少年に対して、平手やこぶしでの殴打、足げりなどの暴行や、トイレに行かせず失禁させる、小便を申し出た少年に無理やり紙おむつをはかせるなどの不適正な処遇を行った事案四件につきまして、本月九日、法務省広島矯正管区から広島地方検察庁に対しまして特別公務員暴行陵虐罪の事実により刑事告発いたしました。その法務教官四人は、告発後、広島地方検察庁により逮捕されたと承知しております。
少年院の法務教官四人が特別公務員暴行陵虐罪の事実により逮捕されるに至りましたことは、矯正行政に対する信用を著しく失墜させたもので、極めて遺憾であります。また、被害者、保護者の方々を始めといたしまして、皆様に深くおわび申し上げる次第でございます。
本件事案につきましては、発覚の翌日である本年の四月三日から広島矯正管区及び当局により調査を進めております。不適正な処遇が認められると考えられる事案のほとんどが先ほど申し上げた告発に係る四人の法務教官によるものでございまして、件数は合計でおおむね百件前後、被害少年の数はおおむね五十人前後に上っております。今回告発した事案につきましては、事案の態様等にかんがみまして告発するのが相当という判断に至ったため告発を行ったものであります。
○松岡徹君 これは大変重要な問題だと思っています。今、矯正局長からありましたように遺憾な問題だという、何が遺憾なのかということを明らかにしていかなあかんと。
矯正行政の責務とすれば、少年たちを社会復帰させるために矯正指導していくわけですね。それはやってこられなかったということになりますし、しかも、この四人を中心とした暴行によってその被害を受けた子供たちは、社会復帰どころか精神的な傷害といいますか、暴行を受けて今なおPTSDで苦しんでいる子供たちもおるというふうに聞いています。社会復帰のための矯正施設であるべきところで、むしろ人格を壊されていくとか人生を壊されていくというようなことがあっていいのかどうか、それが遺憾という言葉で済まされる問題なのか、何が問題であったのかということを明らかにすべきだと。その上でしっかりとどこを反省すべきなのかということをやっぱり明らかにしていくことが大事だと思っています。
そして、これによって生まれた被害、少なくとも新聞報道では五十人、百回にわたる暴行事件があったというように言われていますが、この子供たちの回復に向けてどういうふうな責任を取っていくべきなのかということが問われてくると思いますね。
そういう視点で、引き続き、今後、次の機会で質疑を深めていきたいというように思っていますので、是非とも矯正局にはその点、私が申し上げた遺憾という言葉で済まされるのではなくて、なぜこんなことが起きたのかということを徹底的に明らかにしていただきたいということと、それを克服するための課題は何だ、何であるのかということをしっかりと示してほしい。そして、これによって生まれた被害をどう回復するのか、その責任をどう果たしていくのかということを是非とも示していただきたいというふうに思っています。後日またこの問題については議論を深めるようにしていきたいというふうに思いますので、ひとつよろしく要請をしておきたいと思います。
それから次に、裁判員制度がいよいよ始まりまして、もう新聞報道では八月の三日ぐらいから東京で裁判員の裁判が始まるんではないかと、早くては、というふうに言われていますが、そこで、それに至ってちょっと要請なり考えを聞きたいと思いますが、最高裁の方に。
特に、この裁判員裁判で扱う事件の中での性犯罪事件ですね。この性犯罪事件について、当然、今までもそうですが、被害者の二次被害を防ぐということがあります。性犯罪であっても犯罪なわけでありまして、この被害者たちは性犯罪の被害者ということで二次被害が非常に注目されているというか問題になっています。だから、今までの裁判も法廷で証言に立つときには囲いをしたりプライバシーを守るというような工夫がされています。根本的な二次被害の解決につながるかどうかは別にしまして、そういう配慮をしているということは大事なことだと思います。
裁判員制度が始まるときに、裁判員の選定のときに、少なくとも五十人ぐらいの候補者の中で、この事件の関係する市民裁判員についてはこの事件から外れてもらうというような審査はされるというように思うんですね。そのときに、この事件にかかわるという選定のときに、性犯罪被害者の先ほど言った二次被害を防ぐ、プライバシーを守るということからしまして、どういうような配慮をすべきなのか。すなわち、裁判員候補五十人の人たちに、この性犯罪の被害はどこで起きて、被害者はだれで、たまたま知っている人がおれば当然それが二次被害につながっていくというおそれがあるんですね。ですから、事件を知らせる、あるいは事件の内容を候補者に知らせる場合どういうふうな配慮をして二次被害を防ぐような選定の仕方を考えられているのか、是非ともそれをちょっとお聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、性犯罪事件につきましては被害者のプライバシーの保護を図るという、その必要性がひときわ高いものというふうに考えております。
このような事件の裁判員の選任手続におきましては、例えば、裁判員候補者全員を対象としたオリエンテーションにおける事件概要の説明、これをするんですが、その場合に必要最小限の範囲で情報提供することにとどめまして、必要に応じて個別質問の場で裁判員候補者の側から思い当たる名前とか住所とかその他の特定事項を言ってもらうなどして、被害者と当該裁判員候補者との間に裁判員法十七条所定の一定の関係などがあるか、これを確認するといった方法を採用するということが考えられます。また、例えば裁判員候補者名簿の開示を受けた検察官において、被害者と候補者の関係の有無を判断するための手段として、裁判員候補者の氏名を被害者に伝えるということもあり得るところでございます。
このような様々な工夫によって裁判員法十七条及び十八条の不適格事由の判断の必要性を十分考慮しながら、できるだけ裁判員候補者に被害者特定事項を知らせずに被害者と裁判員候補者の関係の有無を判断するということを考えております。
今後も引き続き、性犯罪被害者のプライバシーを保護し、二次被害を防ぐための工夫について検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
○松岡徹君 どの方法が一番いいのかというのはよく分からないんですよ。すなわち、二次被害がどういう形で起きるのかというのはあくまでも想像の範囲なんですね。しかし、二次被害が起きるということはもう既に実証されていることですし、我々も経験をしているわけですから、決してそういうことがあってはいけない。
被害者は、この性犯罪事件の被害者なんですね、もうその時点で被害を受けているんですよ。その加害者を判定する裁判のときに、被害者として証言台に立つ、あるいは証言に行くということがどれぐらい本人にとってつらいことか、あるいはそのことが結果的には二次被害に遭ってしまうということは、これは白黒付けるという裁判の目的はいいですけれども、そのことが被害者の二次被害を生み出すような要因になってはならない、何のためにやっているんだというふうなことになってしまいますので、是非とも引き続きの検証をお願いを申し上げたいというふうに思います。これをやったからといって二次被害が完全に防げるかという根本的な対処法ではないと思いますが、しかし最大限の配慮をしていくべきだというふうに私は思っていますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
それでは次に、足利事件、いわゆる足利事件について大臣にお聞きをしたいというふうに思いますが、ちょうど一週間前ですね、ちょうど一週間前に、足利事件の受刑者といいますか、菅家さんが刑の執行を停止をされて釈放されました。当日の朝まで全く分からないという状態でいきなり、一週間前の今日ですね、本人に連絡があって、そして釈放されたということであります。
この釈放、刑の執行停止と釈放理由ですね、これはどういうものだったのかというのをちょっとまずお聞かせ願えますか。
○国務大臣(森英介君) 再審請求の即時抗告審におきまして、最新のDNA型鑑定であるSTR型検査法による鑑定が実施されました。その結果、被害者の着衣から得た鑑定試料と再審請求人のDNA型が不一致となりました。このことから、これが再審請求の要件である無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるものと判断し、再審請求人の刑の執行停止をしたものと承知をいたしております。
○松岡徹君 DNA鑑定が一致しなかったということが釈放の理由だと、刑の執行の停止。これは検察の方の記者会見のところでも言っているんですよね。すなわち、刑事訴訟法の第四百四十二条に、「再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。但し、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる。」と。すなわち、継続する理由がないと検察官が判断した場合、刑の執行を停止することができる、そして釈放というふうになったと思うんですね。
その釈放の理由、継続する理由がないという理由はDNA鑑定の結果だけなんですか。
○国務大臣(森英介君) 今御答弁申し上げたとおり、無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるものと判断されましたのは、その最新のDNA型鑑定であるSTR型検査法による鑑定の結果でございます。
○松岡徹君 私は、DNAの鑑定、DNAの証拠能力というのがそこで問われてくると思うんですね。すなわち十七年前、十七年半にわたって菅家さんが拘留された、あるいは刑務所に拘留されるといいますか収監されるという事態になっております。当然、大臣もあの記者会見とか見られていると思いますが、十七年半の人生返せ、間違ったでは済まされない、もう全くその気持ちはよく分かると思うんですね。その間違った理由であるすなわち釈放理由、刑の執行停止の理由が、DNA鑑定が当時のDNA鑑定と今の高度なDNA鑑定をした結果違ったということが分かったということですね。
そうすると、あの当時の、私は一つは、DNA鑑定が違ったから刑の執行を停止する、継続する理由がないと。普通はDNA鑑定も確かに有力な証拠であることは事実ですけれども、それ以外はなかったんですか、それ以外の証拠。
○国務大臣(森英介君) 再審請求の即時抗告審において係属中の事件に関する事柄でございますので、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、捜査段階において実施されたDNA型鑑定では、被害者の下着から採取されたDNA型と再審請求人のDNA型が一致し、起訴時、その出現頻度は血液型検査の結果も加味いたしますと千人中一・二人であるものと計算されたと聞き及んでおります。
検察当局においては、当時、ただいま申し上げたDNA型鑑定のほか、被害者のパンツに付着していた陰毛と再審請求人の陰毛は形態的によく類似し、両者の血液型が一致するほか、元素分析の検査を行ったところ両者の分析結果が類似しているなど、極めて高い類似性があること、再審請求人が事件現場付近に土地カンを有していたことなどの事実と再審請求人の自白などの証拠を総合的に勘案、評価し、再審請求人を起訴したものと認識しております。
しかしながら、検察当局においては、最高裁で無期懲役の判決が確定している事件につきまして、新鑑定書一通が刑訴法四百三十五条六号に定める無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する蓋然性が高いと判断し、その旨の意見書を提出いたしました。それと同時に、刑の執行停止により再審請求人を釈放するに至った次第でございます。
私も今回の事件、実は誠に遺憾なことと受け止めておりまして、あってはならないということで、検察当局においても、本件の問題点をしっかりと洗い出して、今後同じようなことが二度と起こらないようにしてもらいたいと切に願っているところであります。
○松岡徹君 最後におっしゃった大臣のその決意は私も一緒なんです、二度とこんなことが起きないように。
そしたら、なぜこんなことが起きたのかということをこの事件で読み取らなかったら駄目だと思うんですね。私はそういう立場で質問をするんです。大臣も、二度とこんなことが起きてはならない、起こしてはいけないと言うんなら、この足利事件でなぜこんな結果を招いてしまったのか、それを明らかにしなかったら駄目なんですね。遺憾だとか、あいまいな言葉で言うべきではないと、はっきりするべきだと思うんです。
ですから、私はDNAだけではなくて、ほかの証拠はどうだったんですかと。それが、今回はDNA鑑定を再鑑定した結果違ったから、刑の執行を停止して釈放したんですよ。
そしたら、DNAだけで起訴したんですか、十七年前。違うでしょう。ほかの証拠の評価はどうですかと聞いているんです。
○国務大臣(森英介君) それは今申し上げたとおりでございます。だから、例えば血液型とか自白とか、そういった様々な証拠を総合的に評価して起訴に至ったものと思いますが、今回の再鑑定によりまして真犯人でない蓋然性が高いと判断されたということでありまして、その時点においてはDNA型の鑑定だけによってということではもちろんございません。
○松岡徹君 私はもうこの事件を、是非とも大臣、最後におっしゃった、先ほどの答弁でおっしゃった、やっぱりこんなあってはならないことが起こってしまったんですよ。だから、やっぱり二度とこういうことを起こさないようにするためには何をすればいいのか。それは、すなわちこの事件が起こった原因を明らかにするということが大事になってきます。その上で対応を考えなかったら、私は、何か隠ぺいしようとしているんちゃうんかと。一体大臣はだれの権利の立場に立っているのか、この菅家さんの十七年半の人生を返せということにどうこたえようとするのかということになると思うんですね。
私は、人間のすることですから間違いもあるかもしれません。それはそれでしっかりと明らかにして、克服する課題として改善していくということが大事だと思う。だから、DNA鑑定を今回再鑑定した結果、刑の執行を停止した。しかし、ほかの証拠はどうだったんですかと。それはやったんですか、それは正しかったんですか。ほかの証拠は、自動的にその証拠も、菅家さんにとって有罪としてきた、根拠としてきた他の証拠も、実は間違っていたということではないんですか。
○国務大臣(森英介君) 今委員御指摘のことはまさにごもっともなことであると思いますが、何はともあれ、当事者である最高検においてその検証チームを早速発足させまして、この事件についてのこれまでの様々な経緯について検証する作業を早速始めるわけでございますので、その検証チームの検証結果を見守りたいというふうに思っているところでございます。
○松岡徹君 検証チームは結構ですけれども、大臣、私たちは今日の法務委員会で菅家さんと佐藤さんを参考人招致してほしいと言ったんですよ。すなわち、もう先週の木曜日、今日ですね、先週、一週間前ですけれども、ちょうどそのときに菅家さんは刑の執行を停止されて釈放されたんです。それを請求したのは検察ですよ。起訴してきた検察が菅家さんは無実だということをもう認めたんですよ、その時点で。間違っていたということを認めた。だから、刑の執行を停止して釈放したんですよ。あとは再審の手続をして、法律上もそれを是正する、すなわち無実というものをしっかりと証明するというあとは手続が残っているだけなんですよ。
私は、この法務委員会で参考人で聞いて、彼らの間違った、すなわち警察、検察が起訴してきたことが間違いだった結果、彼の十七年半年の人生は奪われてきたんですよ。やっぱり彼の意見というか声をまず聞くというのは立法府としての我々は一番大事だと思うんですけれども、まあできなかったんです、私はそれはもう非常に不満に思っていますけれども。
ですから、是非とも別の機会にしっかりと声を聞いていくということが大事だと思うんですが、大臣ね、大臣ですから、検証チームに丸投げするんではなくて、大臣がやっぱりこういうふうに思っているということを示すためにも、DNA鑑定が違ったら、この人はやっぱり無実だったということを認めたんです。ということは、DNA鑑定以外の証拠、すなわち自白とか、あるいはその他の証拠も、実は菅家さんのではなかった、あの証拠も自白もうそ、違うかったということを認めていることになるんじゃないんですか。そこからスタートしなかったら、いやいや、自白は正しくてDNAだけが無実だったんだとか、そんな矛盾はあり得ないでしょう。だから、私は、大臣の、DNA鑑定はそれぐらい大事な証拠能力を持っていると思いますけれども、しかし、それだけが菅家さんを起訴する、有罪とする根拠としてきたんじゃないでしょうが。その他の証拠も実は、菅家さんが無実だということは、違う証拠だったということでしょう。自白も違うかったということになるんじゃないんですかということを聞いている。
○国務大臣(森英介君) あくまでも再審手続開始前の現時点でございますので、法務大臣としての答弁は差し控えたいと思いますが、今申し上げましたように、最高検の検証チームにおいて本件の全記録、証拠を精査して、捜査、公判の全過程について検証して、本件のような事態となった原因や問題点等を検討する予定になっておると聞いておりまして、これやっぱり当事者たる検察においてそのような努力をすることがまず肝心ではないかというふうに私は思います。
○松岡徹君 大臣、大臣、そやけど政治家ですから、しかも大臣は法務行政の責任者ですから、その責任者がどういう姿勢でこの事件の結果を受け止めているのか。遺憾に思っていると、二度とこんなことがあってはならないと思うならば、この事件をどうとらえているんですかということを私は聞いているんですよ。
時間がありませんから私申し上げますけれども、菅家さんを有罪としてきた証拠の中には、DNAだけじゃないんですよ。そのときに残されていた陰毛の形状が似ているとか、昔から言われていましたけれども、この足利事件の菅家さんを有罪としてきた根拠の二つの大きな点は自白とDNAだと言われてきたんですよ。しかし、菅家さんは、裁判が始まってから自白を翻して、実はやってないということをずっと一貫してその後言うてきたんです。
しかし、今回は、DNAの再鑑定やったら菅家さんは無実だということを認めて検察が刑の執行を停止したんですよ。すなわち、イコールDNA鑑定に、この証拠能力に対して、DNA鑑定に対して、当時のDNA神話といいますか、昔の血液型とかあるいは指紋という証拠能力からすればはるかに格段の特定率の高いDNAというこの技術が開発されたということはそうかもしれませんが、実はその下につくられたのが周りの証拠であって、自白ではなかったのかという気がするんです。
菅家さんは、一九九一年の十二月の一日に、早朝、家に警察が来て、そしてそのまま任意で警察署へ連行されて、そしてその夜に自白しているんです、やりましたと言うている。これ、任意の間なんですよ。任意の取調べのときに夜の遅くまで帰らせてくれなくて、その間に髪の毛引っ張られたりとか、け飛ばされたりしたと言っているんです。任意の取調べのときに、もう当日に菅家さんは泣きながらやりましたという自白をした。その自白でつくられて、起訴されて、彼は十七年半、今日まで来たんですよ。
で、今DNAが違ったといったら、この自白も違ったということじゃないんですか。そういうふうに考えられませんか、大臣。
○国務大臣(森英介君) これ、再三申し上げますけれども、即時抗告審において係属中の事件でございますので、詳細についてはお答えを差し控えますが、確定審の控訴審判決においては、控訴審で再審請求人が今委員が御指摘があったような申立てをしたところ、同請求人を取り調べた捜査官らが自白を得るために同請求人に対し殊更な誘導、強制を加えた事跡は認められないとこの控訴審において判断されているものでございますので、私からはコメントを差し控えます。
○松岡徹君 これから検証していくんでしょう、検証チームを設置して、検証チームをつくって検証するんですから。今、先ほど言いましたやろ、この事件についてこんなことが二度と起きないように検証チームを設置して真相を究明すると言ったでしょう。真相を究明する場合、この事件の明らかになっているのは、この人は、菅家さんは犯人ではないということがはっきりしたんです。この人を犯人にしてきた根拠としてのDNAが違った。それ以外の証拠も違うということに必然的になるでしょう。しかし、皆さん方はそれを維持してきたんや。自白も、それは、この自白は正しいと言ってきたんでしょうが。これは違うということにならないですか。こんな違った自白をなぜ取ったのか。何でこんな違う自白が作成されたのかというところまで検証しなかったら駄目でしょうが。その前提は、この自白も菅家さんの有罪を示すものではないということにはならないですかと。DNAが違ったから菅家さんは無罪だということではないですよ。それ以外の証拠も違うということになるんじゃないですか。すなわち自白も違うということでしょうが。
そしたら、こんな違う自白をだれが作ってきたんや、どうして作られてきたんだということに検証の視点としては生まれてきませんかということですよ。だから、他の自白というか証拠も当然のように菅家さんの有罪を示すものではないということになっているんでしょう。それを聞いているんです。それをはっきりしなかったら、これから検証する言うても、すかたん検証して、訳の分からぬ検証結果しか出ませんよ。
○国務大臣(森英介君) いや、まさに今委員御指摘のあったことを、DNA鑑定の結果にとどまらず、全体的な記録、証拠を精査して検証するというのが検証チームの目的でございますから、その目的を十全に発揮してもらいたいというふうに思います。
○松岡徹君 だから、だから、DNAは当然のように専門家で、皆さんのところには科警研というのがありますから、そういう専門のところでやりますけれども、その結果菅家さんは無実だということを分かって、起訴してきた検察自身が菅家さんは無実だということで刑の執行を停止して釈放したんでしょう。しかも、昨日、検察の次長ですか、まで謝罪しているんですよ。
すなわち、菅家さんが無実だというのは、DNAだけではなくてほかの証拠も実は違ったということになりませんかと言うているんですよ、自白も。検証することについては私は何も否定しませんよ。そういうふうになりませんかということを大臣に聞いている。大臣は言っているのは、DNAが違ったから菅家さんは無実ですと言うてるだけで、ほかの証拠も違っていたということじゃないんですかと言うているんですよ。
○国務大臣(森英介君) それは、今回の新規明白な証拠というのはDNAの再鑑定結果でございまして、それをもって有罪と思われないというふうに判断したわけでございまして、現時点において、検証もしないままでその他のすべてが証拠能力を持たないということは断じられないというふうに私は思いますよ。
○松岡徹君 それはおかしいよ。そうしたら、何で釈放したんや。何で刑の執行を停止したんですか。ちょっと待ちなさいよ。おかしいやないか。そしたら、ほかの証拠だけでも維持して刑を続けておったらよろしいやがな。なぜ刑の執行を停止したんだ。しかも、検察が記者会見で言っているのは、我々としても再審を開始しても差し支えないという意味だ。無罪言い渡しに該当するのは否定し難いというふうに判断した。
いいですか。すなわち検察がもう既にこの人は無実だという、だからこそ刑の執行を停止して釈放したんでしょうが。本当に、いや、そうではないと、DNAは違うと出たけれどもほかの証拠はこれで、あるいは自白は、これは信用できるというなら、なぜ釈放したんだ。
○国務大臣(森英介君) いや、ですから、その一事をもってしてそうではないということが新規明白な証拠であるということで判断したということを申し上げているのであって、その一つ一つについて検証するのはこれからの作業であって、神ならぬ身ですから、今の時点ですべてを私がここで言い切ることはできないということを申し上げただけでございます。
○松岡徹君 私は、森大臣は裁判長でも何でもないですし、法務行政の責任者でありますから、紛れもなく今回の事件は法務行政の今までの中で出てきたんですよ、これ、検察や警察の捜査とか。やっぱり大臣が、一つ一つ検証する言うのはいいですけれども、どの立場に、どの前提に立って検証するのかということで私は聞いているんですよ。
大臣は今でも、いや、菅家さんはまだ犯人かもしれないと思われているんですか。
○国務大臣(森英介君) そういう意味じゃなくて、やはりそのことで判断したというその根拠を申し上げているのであって、それだからといって、やっぱり一つ一つ検証しないと、これからまだ再審手続に入る前の段階で私が法務大臣の立場で申し上げるというのは裁判所との関係においてもいささか逸脱しているということを思うものですから、こういう表現になっているわけであります。
○松岡徹君 そしたら、検証の結果、またぞろ菅家さんが逮捕されるということはあり得るんですか。
○国務大臣(森英介君) ですから、今委員が言われました、どういう立場に立っているかということは、もう既に明白であるというふうに思います。
○松岡徹君 だからこそ、間違いだと、この事件は、菅家さんを有罪としてきたこの証拠は菅家さんのものではないと。すなわち菅家さんは犯人ではないということでしょう。
だから、私は、もう時間が来ましたからこれで終わりますが、是非ともこの事件で、今大臣がおっしゃったように一つ一つ検証することは大事ですけれども、大臣、これ絶対間違ってほしくないのは、検察とか警察を守るような立場で検証してほしくない。
これは、明らかにこの事件は間違いだったんです。この間違いをやったのはだれですか。DNA鑑定を採用して菅家さんを犯人にしてきたのはだれですか。それに基づいて自白を作ってきたのはだれですか。それ以外の証拠を集めてきたのはだれですか。それをみんな菅家さんの有罪根拠として立件してきたんでしょうが。皆さん方、起訴してきたんでしょう。十七年半掛けて、やっとこれが違ったということが分かった。その違ったというのは、DNA鑑定が違うかっただけではなくて、その周りの証拠もあるいは自白も違かったということでしょう。しかし、少なくともそれまでは菅家さんを有罪としてきた根拠だったんですよ。
だから、そういうことからすると、こういうことを作ってきたのはだれなのか、なぜこんなことが起きたのか。まさにこの舞台は、取調べのときとか捜査の在り方とかいうところにまで踏み込まなかったら、これ二度とできないですよ。私は、そういう視点で大臣に政治的な力を発揮してほしいというふうに思います。
私はこれで終わります、終わりますけれども、是非ともこの事件について、これを教訓にするということと、やっぱり菅家さんの十七年半のこの人生を返せという気持ちに報いるためにも、やっぱり我々は責任を持ってなぜこんなことが起きたのかということを明らかにしなくてはならないと思いますし、まさにDNAだけに頼って周りの証拠を作ってきた、自白を強要してきたということがあるんではないか。しかも、それが任意の段階で取調べでやられてきた。
取調べはすべて可視化をするべきだというふうに思っておりますので、引き続きこの件について集中的な審議をしていただくことを要望しまして、終わりたいと思います。