7月15日、「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」が開催されました。従来、北海道選出の国会議員を中心に運営されてきましたが、昨年衆参両議院において採択された「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」をふまえ、北海道以外の選出議員にも入会が呼びかけられ、私も呼びかけに応じたところです。この日の会合では、北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(写真右端)らから、アイヌ施策の推進について当議員の会への要望も受けました。
会合では、はじめに今津寛衆議院議員(自民)からあいさつがあり、昨年国会決議があがって以降、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」が計9回、精力的に開催され、現地視察やヒアリングが行われた内容が内閣官房アイヌ政策推進室から報告され、7月29日に報告書がとりまとめられるとの説明がありました。とりまとめの方向としては、アイヌ民族が先住民族であることを確認し、国連宣言の意義を考慮した上で、具体的政策として教育・啓発、民族共生の象徴となる空間の整備、アイヌ文化の振興、土地・資源の利活用、産業振興・生活向上関連施策、国の体制整備等があげられているようです。
その報告を受け、高橋はるみ・北海道知事、そして加藤忠・北海道アイヌ協会理事長から、アイヌ施策の推進について当議員の会に要望(要請文は下記参照)がありました。
特に国会決議を踏まえ立法措置を早急に求められるとともに、「アイヌ民族の日」の設定、共生の象徴となる施設の設置、全国調査の実施と個人認定方法の検討、文化振興策の充実等を強く訴えられました。
加藤理事長からは、議員の会への要望に先立ち、河村建夫官房長官に政府の窓口の設置をはじめ、立法措置・実態調査の実施、予算措置等を強く要望してこられたことが報告されました。
会には民主党の鳩山由起夫代表も出席。昨年国会決議があがって少し安心してしまったところがあったが、政治主導で立法措置を超党派で取り組みたいとの決意が述べられました。また鈴木宗男衆議院議員はじめ、多くの議員から、衆議院選挙は8月末まで行われないが、概算要求をあげて、しっかり予算に盛り込むべきとの指摘・要請がなされました。
最後に北海道・アイヌ協会からの要望をふまえ、立法措置および早急に取り組むべき施策についての要望内容を議員の会として文章化し、決議文として作成し、衆議院が解散される前に河村官房長官に提出することが確認されました。
アイヌ民族の権利確立のため、実態調査・立法措置の実現にむけ、私も努力していきたいと思います。また、これらアイヌ民族の権利確立をはじめ、総合的に人権課題に取り組む省=人権省(仮称)の設置が是非とも必要と考えます。その実現にも取り組んでいきたいと思います。
(参照)
「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」への要請
「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」は、来る7月29日の会議を最終とし、内閣官房長官へ報告書を提出する予定です。
北海道及び北海道アイヌ協会としては、報告書提出後、引き続き内閣官房に事務遂行機能などを置きながら、国において早急に、次の事項に着手されることを望んでおります。
アイヌ施策の推進につきまして、議員の皆様のご理解、ご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
平成21年7月15日
社団法人 北海道アイヌ協会 理事長 加藤忠
北海道知事 高橋はるみ
記
1 立法措置
平成20年6月6日に衆参両議員において採択された「アイヌ民族を先住民族であることを求める決議」の基本事項を踏まえ、
・アイヌ民族を日本の先住民族として認めること
・アイヌ民族に対する総合的な施策は国の責任で推進すること
・民族の共生という基本的な理念について国民理解を促進すること
・アイヌ政策を統括して推進するセクション及びアイヌ政策を継続して審議する機関を設置すること
などを盛り込んだ法律を制定すること。
2 早急に取り組むべき施策
(1)国民理解の促進
学校教育を通した理解の促進や、「アイヌ民族の日」を設定するなどの全国規模の恒常的な啓発活動により、アイヌ民族についての国民理解の促進を図ること。
(2)アイヌ民族との共生の象徴となる施設の設置
国家的見地からの国営公園等を核として、遺骨の慰霊や文化の振興、研究、展示などを一体的に行い、広く国民の理解促進が図られる、アイヌ民族との共生の象徴となる施設を設置すること。
(3)全国調査の実施及び個人認定方法の検討
生活の向上を図る施策の全国展開に結びつくよう、全国調査を実施するとともに、施策の対象となる人たちを個々に認定する手続き等に関し、透明性や客観性のある手法を検討すること。
(4)文化振興施策の充実
文化振興については、平成9年に制定されたアイヌ文化振興法に基づき進められてきているが、アイヌの伝統的生活空間(イオル)再生事業の国直轄化による整備を促進するとともに、国が主体となって(財)アイヌ文化振興・研究推進機構の推進体制を強化すること。
(5)道が推進しているアイヌ施策への支援
現在、道が国の支援を受けながら推進している各種施策に対して、今後とも一層、支援の充実に努めること。