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2010年2月 8日 (月) 更新

[発言録] 取調べの可視化法や人権侵害救済法の必要性について本会議質問

2010年2月3日
参議院本会議

 民主党の松岡徹でございます。ただいま議題になりました二〇一〇年度予算案について、民主党・新緑風会・国民新・日本の会派を代表して質問いたします。
 昨年九月に民主党を中心とした連立政権が誕生した結果、日本の政治を取り巻く状況が劇的に変化したことを国民の皆さんとともに心から喜びたいと思います。
 自公連立政権の時代は、いわゆる市場原理主義の経済政策の下、我が国は弱い人や貧しい人を切り捨てる貧困大国あるいは格差大国の道をひた走ってきました。その結果、六人に一人が貧困という実態を生み出し、また、非正規労働者も三人に一人の割合で存在し、ニートと呼ばれる若者たちは増える一方でした。このような貧困と格差の増大にストップを掛け、少しでも希望の持てる社会にしてほしいという国民の熱い期待が、自民党から民主党への政権交代を実現させる原動力になったのであります。
 予算案に関する質問に先立ち、鳩山総理大臣始め関係大臣に是非とも確認しておきたいことがあります。
 最近、私たち民主党の小沢幹事長が政治資金規正法違反の容疑で東京地検特捜部の事情聴取を受けましたが、検察庁の捜査の在り方に関連して、取調べの全面可視化法案がマスコミで話題になりました。一部では、民主党が検察庁に圧力を掛けるために法案を検討しているとの批判がなされましたが、これは完全なミスリードであり、国民の皆様に誤解を与えています。
 民主党の可視化の取組は今に始まったことでなく、二〇〇三年七月の参議院法務委員会の附帯決議で、取調べ状況の客観的信用性担保のための可視化等を含めた制度・運用について検討を進めることとされ、その附帯決議を踏まえ、私たち民主党は、二〇〇四年に取調べの全面可視化に関する条項を追加した刑事訴訟法改正案を衆議院に提出。その後、両院に議員立法を五回にわたって提出、参議院において二回にわたり可決、成立いたしました。
 昨年五月にスタートした裁判員制度においては、これまでの調書主義を打ち破ることが期待されているはずです。また、裁判員として参加する一般市民を冤罪に加担させるような誤りは絶対にあってはならないことであります。
 昨年、民主党は、裁判員制度実施に向けた環境整備等に関する意見書をまとめ、特に可視化の義務付けと全証拠リストの開示の義務付けを当時の森法務大臣に提出いたしました。一般市民を冤罪に加担させないためにも、部分的な可視化ではなく、取調べの全過程の可視化のための制度整備が裁判員制度定着の前提条件であると考えますが、千葉大臣の御所見をお伺いいたします。
 鹿児島の志布志事件、富山の氷見事件等、冤罪事件が再び明るみになるとともに、昨年は栃木の足利事件の再審が開始されたことは記憶に新しいところであります。そして、昨年、冤罪の可能性が指摘されてきた布川事件の再審開始決定が確定、再審請求中の狭山事件についても、第三次再審請求にかかわる三者協議の中で東京高裁が検察側に対して初めて証拠開示を勧告し、再審に向けた動きが見られます。
 鳩山総理は、布川事件の再審開始決定の確定に当たり、服役の長い年月が何を意味するかを裁判官一人一人、国民すべてが考えていかねばならない問題だとコメントされましたが、これら幾度となく繰り返されてきた冤罪の再発を防止するために、その構造的な原因を明らかにし、それを取り除いていくことが望まれているのではないでしょうか。これら繰り返される冤罪事件について、鳩山総理の御所見をお伺いいたします。
 そもそも、これら冤罪事件が後を絶たず生み出される最大の原因はどこにあるのでしょうか。私は、このような冤罪の原因は自白の重視、そのための捜査段階における密室での自白強要及び裁判における調書主義にあると考えます。我が国の刑事裁判は、自白調書に強く依存しています。そのことが取調べの過程で強制や誘導が行われることを誘発し、ひいては虚偽の自白がなされる危険を内蔵しているのです。
 無辜の人を裁いてはならない、このことは当然のことであり、また冤罪は真犯人を取り逃がし、犯罪被害者の方々等の期待を裏切ることにならないでしょうか。このような冤罪を二度と生み出さないという強い決意が必要だと思います。そのためには、密室での自白強要の防止、調書の偏重に基づく捜査や裁判の見直しが必要であり、いわゆる被疑者取調べの全面可視化は不可欠ではないでしょうか。鳩山総理の御所見を伺います。
 民主党は昨年の総選挙におけるマニフェストにおいて、取調べの可視化で冤罪を防止すると明記いたしました。国民のための司法制度に改革するためにも、二度と冤罪被害者を生み出さない決意を国民に示す意味でも、速やかに取調べの全面可視化を実現すべきと考えますが、千葉大臣の可視化法の今国会成立に向けた決意並びにいつごろ提案されるのかという見通しについてお伺いいたします。
 次に、予算編成に先立って行われた事業仕分についてであります。
 新たに設置された行政刷新会議が主導して、無駄な予算の洗い直しを目指し、民間の識者らも加えて、公開の場で徹底して無駄な予算にメスが入れられました。事業仕分では、概算要求額から六千七百七十億円を削減し、廃止と判定された事業は七十八事業、その九割以上が予算の計上を見送りました。その結果、無駄な予算の削減額は、当初に見込んだ金額を下回りこそすれ、約一兆円に及びました。各省庁の事業予算の中身でどんなところが無駄なのかが分かり、国民の目には実に新鮮に映りました。もちろん、初めての試みでありました。
 そこで、鳩山総理にお聞きします。総理は閣僚に対し、予算を要求する大臣でなく査定する大臣になれと訓示しましたが、その期待は果たせたのでしょうか。事業仕分の成果をどう見られておられるのですか。
 次に、仙谷行政刷新担当大臣にお聞きします。今回の事業仕分の総括をどのように行い、どういう反省点があったのですか。今後、同じような事業仕分の手法を取り入れるとすれば、どのような点を手直ししていかれるのですか、お聞きいたします。
 本年度第二次補正予算では、雇用対策のために六千百四十億円の予算が組まれました。
 また、来年度予算案では、雇用保険の適用基準を緩和する措置をとり、雇用のセーフティーネット機能を強化されています。また、雇用や中小企業対策等に使える予備費を特別枠として一兆円確保し、さらに研究開発や人材育成に取り組む中小企業を支援する制度を創設する等の施策を打ち出されました。
 雇用は、国民が生活のよりどころとなる所得を得ると同時に、自己を実現するための重要な手段です。来年度予算の雇用対策においていかなる実効性があるのか、長妻大臣に御所見をお伺いします。
 二〇〇九年十二月の十五歳から二十四歳の若者の失業率は八・四%と、他の年齢に比べて極めて高くなっております。これからの我が国を担う若者の雇用対策は重要な問題です。しかしながら、政府は、昨年の事業仕分で、自立を目指す若者を支援する若者自立塾を事業廃止するとの結論を出しました。当面、緊急人材育成・就職支援基金で来年度は対応するようですが、政府として本格的にニート等の若者の自立支援を打ち出していくべきではないでしょうか。長妻大臣の御所見をお伺いします。
 二〇〇二年に議員立法で成立しましたホームレス自立支援法は、十年の時限立法であります。中間見直しの二〇〇七年以降、厚生労働省による全国実態調査が毎年行われていますが、基本方針はほとんど変わっておりません。
 野宿に至るまでや野宿から脱する過程、そしてまた、再度野宿に至る等の過程において、ホームレス対策施設だけではなく、生活保護施設やNPO等の民間施設、病院等の多様な中間施設が存在しており、法施策の不備を民間支援団体に頼っているのが実態であり、野宿生活者が減ったというのは一面的な判断と言えます。支援団体との連携等、調査手法の見直しを検討すべきではないでしょうか、長妻大臣にお聞きします。
 野宿生活者に限定したホームレスの定義や認識、自立の概念を見直し、社会的包摂、ソーシャルインクルージョンの観点から、ホームレスを生まない社会づくりに向けて多様でトータルな支援を構築すべきです。
 今後、民間団体との連携や共働、施策実施の地域間の不均衡の是正、生活保護制度や職業訓練の在り方、住民参加型の町づくり支援等について検討することが重要です。
 二年後にホームレス自立支援法の期限切れを迎えます。いのちを守る政治を掲げる鳩山政権が新たなホームレス自立支援施策を打ち出していくべきときだと考えます。法失効後の対応も含めどのような方針で臨まれようとしているのか、長妻大臣にお考えを伺います。
 昨年十月、政府は、初めて相対的貧困率を公表しました。それによると、相対的貧困率は、一九九八年の一四・六%から二〇〇七年には一五・七%へと上昇しています。この数字を見たとき、国民の生活はどのような状況に追い込まれていると総理は御認識でしょうか。貧困の現状について政府はどのように受け止めているのか、長妻大臣に御所見をお伺いします。
 特に考えなければならないのが、母子家庭等の一人親世帯の貧困の問題です。OECD報告では、我が国の一人親家庭の貧困率は五八・七%と、二番目に高いアメリカの四七・五%を大きく引き離して、加盟国中、最悪の水準にあります。最も危惧されているのが、こうした親の貧困が子供の貧困につながる、いわゆる貧困の連鎖であります。
 政府は、こうした状況を背景に、昨年十二月、厚生労働省内にナショナルミニマム研究会を立ち上げて、生活保護の実態や相対的貧困率等について検討を始めてこられました。この検討が、今後、どのようにして政府の施策に反映されるのですか。貧困の連鎖を断ち切るために、政府としてどのような考えの下に施策や取組を進めていくのか、長妻大臣のお考えをお聞かせください。
 また、親がいない、身寄りのない子供には、来年度は子ども手当としての支給は行われないと聞いていました。政府は、こうした問題に対応して、安心こども基金を活用した対応を検討しているようですが、次代を担う子供の成長や発達を社会全体で支援するという原点にいま一度立ち返る必要があるのではないでしょうか。検討の状況、見直しの方向性について、長妻大臣にお聞きします。
 鳩山総理は昨年の所信表明演説で、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない、そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言させていただきますと、また今回の施政方針演説においても、いのちを守りたい、働くいのちを守りたい、世界のいのちを守りたい、地球のいのちを守りたいと格調高く述べられました。鳩山総理のお考えになる政治の原点、御決意に私自身大いなる感銘と共感を持ち、賛意を表すものであります。
 鳩山総理が示された政治姿勢を具体化するために重要な政策の柱は、我が国の人権政策を確立していくことではないでしょうか。
 この人権政策を具体的に確立、実施していくことは、日本国憲法第十一条の基本的人権の享有、第十四条の法の下の平等、第二十五条の生存権等の精神を実質化、具体化していくことにつながると考えますが、鳩山内閣における人権政策の重要性についての認識にかかわって、鳩山総理の御所見をお伺いいたします。
 その上で、現在の我が国の状況を考えると、残念ながら深刻な人権問題が依然として数多く発生し、人権を侵害された弱い立場の人々が泣き寝入りを強いられているという悲しむべき実情があります。
 被差別マイノリティーや弱い立場の人々に対する排除や攻撃はますます深刻化しています。鳩山総理は、障害を持った人々や在日外国人あるいは被差別部落の出身者に向けられた、インターネット上の見るに堪えない差別書き込みや、他人の戸籍謄抄本を不正に入手し、興信所、探偵社に横流しをしている事件、また、いまだにその人の出身や立場等を理由とする就職や結婚の際の差別事件が後を絶たないこと等を御存じでしょうか。差別や人権侵害によって被害者は働く道を閉ざされ、結婚の希望を打ち砕かれ、時にはいのちをも奪われる状況を御存じでしょうか。
 法務省の人権侵犯事件調査処理規程に基づく様々な人権侵害の申告が年約二万数千件以上も上がっています。このような立法事実を見るのであれば、国内人権救済機関の設置は喫緊の課題と言えますが、このような立法事実に対する鳩山総理の御所見をお伺いいたします。
 二〇〇一年、人権救済機関の必要性を示した人権擁護推進審議会の答申が出されて九年が経過してなお、法整備はいまだに実現していません。先ほど示しました差別、人権侵害の実態が存在するにもかかわらず、立法措置がなされず、政治責任、政府責任が果たされていないままであります。
 また、政府から独立した救済機関の必要性については、一九九三年の国連総会で採択された国内人権機関の地位に関する原則、いわゆるパリ原則に日本政府も賛成し、国内人権機関を創設する義務があるにもかかわらず、その後五年が経過しても放置していることに対して、一九九八年に国連自由権規約委員会から早期設置の勧告を始め、社会権規約委員会、人種差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、女性差別撤廃委員会からも同様の勧告を今日まで度重ねて受け続けています。国連人権理事会の理事国を務める我が国は、本来国際的な人権保障の先頭に立たなければならない立場にもかかわらず、自らの国際社会における役割、責任を放棄していると言えます。
 また、二〇〇五年には、民主党は、人権侵害の被害の救済及び予防に関する法律案を国会に提出、廃案となりましたが、今日時点においても民主党の正式な法案として存在していると理解しているところであります。
 今通常国会において実効ある国内人権機関を立ち上げる法制度、いわゆる人権侵害救済法の制定が必要であり、人権政策確立への試金石であると考えますが、立法不作為の政治責任と国際的責務に対する認識、マニフェストを踏まえた鳩山総理の法整備への御決意をお示しください。
 人権侵害の被害者や被差別当事者、マイノリティーや社会的弱者が置かれている実態を見れば、我が国の人権政策とそれを支える法や体制の整備はまだまだ不十分と言わざるを得ません。
 諸外国においては、積極的に政府から独立した人権委員会を設置するとともに、人権政策推進体制を体系的に整備しています。人権侵害や差別がどんな被害を生み出すのか的確に把握、対処し、憲法の言う基本的人権の具体化と人権施策を推進する行政機構の整備は必要不可欠ではないでしょうか。個別の法整備や課題解決に向けた取組ももちろん必要ですが、人権政策を推進する人権省を設置すべきだと考えますが、鳩山総理の御所見を伺います。
 一九二二年、大正十一年三月三日、差別や人権侵害がいかに人間性を踏みにじり、尊厳を傷つけることかを指摘し、人間を尊敬することにより人権社会をつくり上げること、人の世に熱あれ、人間に光あれとうたった水平社宣言は、我が国初の人権宣言と言われています。鳩山総理の言ういのちを守る政治を実現するためにも、人間としての尊厳を大切にする人権政策の確立が極めて重要な課題であると考えます。
 私たちは鳩山総理のいのちを守る政治実現を大いに期待し、私の質問を終えます。
 

○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 松岡議員にお答えをいたします。
 松岡議員が長い間、人権問題大変携わってこられたことに、心から敬意を申し上げたいと思います。
 いわゆる冤罪の再発防止についての御質問でございますが、過去に幾つかの事案におきまして無実の方が有罪判決を受けたという事態、誠に遺憾だと思っております。先ほどもお話の中にありましたけれども、長い年月を掛けて最終的に無実だということが証明されても、その長い年月が戻ってくるわけではありません。このようなことがなくなるような世の中にしていかなければなりません。刑事裁判におきまして、処罰されるべきでない方を処罰するようなことは絶対にあってはならないことだと、そのように思います。原因には様々なことが考えられるわけでありますが、捜査当局におきましては、このような事態を極めて重く受け止めて、適正な捜査の遂行にまずは努めることが重要だと、そのように申し上げておきます。
 取調べの可視化についてのお尋ねでございます。
 御案内のとおり、民主党におきましてはかなり長い間、可視化の問題、研究をしてまいったところでございます。民主党のマニフェストにおいては、被疑者取調べの過程を録画等の方法により可視化することを掲げているところでもございまして、法務省などの関係省庁においてその実現に向けて現在議論をして、検討を進めているところでございます。そのように伺っています。したがいまして、今後も幅広い観点から適切に議論をして、検討をして、結論を出していかなければならないと思っておりまして、松岡議員にも御協力を願いたいと存じます。
 事業仕分の成果についての御質問がございました。
 事業仕分はどのぐらい役に立ったのか、有効だったのか、私は非常に有意義だったと、そのように思っております。まず、国民の皆さんに今まで予算というもの、もうそれはどうせ違うところ、我々の知らないところでつくられたものだろうと、そのようにしか思われていなかった。それを国民の皆さんの目に留まるような形にしたということだけでも大変に大きなこの新政権の意義があった、そのように思っております。
 さらに、その事業仕分の実施によりまして、無駄な事業というものを取りやめる、あるいは延期するということも行われたわけでございまして、このようなことは大いにこれからも行ってまいりたいと思っておりまして、あるいは第二弾、第三弾、事業仕分をこれからも国民の視線に立って行ってまいりたいと思いますので、どうぞ御協力をお願いします。
 それから、貧困率を見て国民の生活はどのような状況だと思うかというお尋ねがございました。
 大変に日本、我々としては、これは先進国だという思いで胸を張っていたわけでありますが、いつの間にか貧困率極めて高いところになってしまったと。誠に残念だと思っておりまして、その一因は、やはりこれは弱肉強食、いわゆる市場原理至上主義というものがまかり通った結果だと思っておりまして、このようなことで格差が広がった結果、貧困率が高まったと、そのように思っております。したがいまして、その発想を百八十度転換をしていかなければならない。歯車のような人間、そして経済ではなくて、むしろ人間というものに重きを置いた経済というものをつくり出していく、社会生活を営んでいけるような、そんな新たな時代をつくり上げていくために努力をしてまいりたいと思いますので、この意味でも御協力を願えればと思います。
 人権政策の重要性についての御質問がございました。
 人々のいのちを守り、すべての人々が人間らしく幸せに生きていく社会とするためには、まずは一人一人の人権がまさに憲法にのっとって十分に保障されることがこれは大前提だと、そのように思っておりまして、必ずしもその人権が守られていない、日本は人権を大事にする国だと言われながら、果たして本当にそうなのかと思われるようなことがいろいろとあることも大変残念だと思っております。人権侵害を受けている人々の悲しみや苦しみというものを十分にかみしめながら、差別とかあるいは偏見とは無縁に一人一人の皆様方の人権が守られる、そしてすべての人が生き生きと暮らせる社会、そういう日本をつくっていかなければならない。決意を新たにしているところでございます。
 人権侵害の実情と人権救済機関の設置についてのお尋ねがございました。
 今申し上げたように、国内において、様々な差別問題を始めとして数々の深刻な人権問題がまだ後を絶たない。そういった被害を受けられた方々は大変つらい思いをされていることを我々としても認識しなければなりません。したがいまして、こういった方々、被害を受けられた人々に対するより実効的な救済を図っていくために、国内の人権機関を設置するということは大変重要な課題だと思っておりまして、大変すばらしい御指摘をいただいたと思っております。
 したがいまして、この法整備に対する御質問がございましたが、今申し上げましたように、各種人権規約に基づく委員会が我が国に対して示した見解の中で、独立した国内人権機関の整備について度々言及していることを私も存じ上げております。このような状況を踏まえて、政府から独立性を持った人権救済機関を創設することは非常に重要な発想だと思っております。できる限り早期に、人権救済機関の創設等を目的とする法案を国会に提出できるように努力をお約束をいたします。
 人権省の設置についての御質問でございましたが、お尋ねの御趣旨は、人権問題に対して、これは法務省一省だけではなくてすべての役所に横断的にもっと頑張れという御指摘をいただいたものだと思っておりまして、これは人権省と一足飛びにそこまで行くかというところはまだあるわけでございますが、いずれにしても、人権侵害による被害者の救済などの人権政策について、政府全体として大いに推進してまいりたいと思っております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。


○国務大臣(千葉景子君) 松岡徹議員にお答えをさせていただきます。
 まず、裁判員制度と取調べの可視化についてのお尋ねがございました。
 裁判員裁判におきましては、裁判の長期化を避け、裁判員の負担を過重なものとしないようにする配慮が必要だと私も考えております。特に、自白の任意性等についても、分かりやすくてできるだけ短い時間で立証をしていかなければならないことは当然だと思います。そのため、検察においても、裁判員裁判の対象事件における被疑者の取調べの必要な部分について録音、録画を行うなどはしてまいりました。
 しかし、さらに被疑者の取調べの全過程の録画等の方法により可視化することについて、その実現に向けて今取り組む決意をして作業を進めているというところでございます。省内に政務三役を中心とする勉強会等を設けて精力的に論議、検討を進めておりますので、どうぞまた応援をよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 次に、取調べ可視化に関する法案の提出時期についてのお尋ねがございました。
 今申し上げましたように、今この問題に対する精力的な議論を進めさせていただいているところでもございます。提出時期について今確定的なことを申し上げることはできませんが、どうぞ御理解をいただきまして、今後とも皆さんの協力の下にこの実現に向けて取組を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


○国務大臣(仙谷由人君) 松岡議員の御質問にお答えしたいと思います。
 事業仕分の総括についてお尋ねがございました。
 今般の事業仕分、民間の第一線の専門家の参加をいただきまして事業仕分という公開の場であの作業を行うことによりまして、予算執行の実態、それから予算執行の効率性、効果性、これを国民の目の前に明らかにすることができたと、ひいては従来型の予算編成を国民の主体的参加と監視の下で行うものに抜本的に変更することができたと考えております。今後、独立行政法人や公益法人が行う事業、あるいは特別会計などについても事業仕分第二弾を実施したいと考えております。
 そしてまた、この事業仕分の結果も踏まえまして、今ハトミミドットコム国民の声・職員の声というものを国民から広く募集をいたしておるわけでございますが、国民の声は十二月十八日から二週間で約八百件の提言や指摘や、まあ告発的なものも寄せられております。こういう国民の声をよく聞いて次の事業仕分に生かしたいと思っております。
 先般の事業仕分の経験も踏まえて、事業についての調査や分析の時間をもう少し取った方がいいのではないか、あるいは事業仕分そのものの審議の時間や方法、これについても、前回の経験を生かして、もう少し時間を長く取った方がいいのかというふうなことも含めて考えたいと思います。それから、国民の声をよく聞いて、対象事業の選定などについてもこれから創意工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
 お許しをいただいて、もう一つ感想めいたことを話をさせていただきますと、公開で予算執行の議論をするということは、本来、国会の機能ではないだろうかと。つまり、行政の監視や税金の使い方、使われ方について公開で議論するということは、決算委員会あるいは行政監視委員会の仕事ではないかという気がいたします。
 決算委員会において分科会などを設置して濃密な議論をしていただくというふうなことで、そういう議論と両々相まって行政刷新の実を上げたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。


○国務大臣(長妻昭君) 松岡議員におかれましては、日ごろ雇用、貧困問題にお取り組みをいただき、敬意を表するものでございます。
 私には七問の御質問をいただきました。
 まずは、平成二十二年度予算で実施する雇用対策についてのお尋ねがございました。
 現下の雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあると認識しております。このため、平成二十一年度第二次補正予算に引き続き、平成二十二年度予算案に各種の雇用対策を盛り込んでいるところであります。
 主なものを五つ申し上げますと、第一に、現在の厳しい経済情勢の中で企業を支援するため、休業者の休業手当等の一部を補助する雇用調整助成金について、生産量要件を緩和することにより、従来であれば助成金の支給対象から外れることになる約八十万人の方が引き続き助成金の対象者となるようにいたします。全体で二百万人を超える方の休業時の手当等を補助し、失業を防ぎます。
 第二に、今後成長が見込まれる介護、福祉、医療、情報通信等の分野への就業を促進するため、これらの分野における職業訓練の充実や雇用創出に取り組んでまいります。緊急人材育成支援事業を含め、平成二十二年度は合計で三十万人を超す訓練の定員を確保をいたします。
 第三に、仕事を探すには住まいが安定していなければできません。全国の主要なハローワークに住居・生活支援アドバイザーを配置して、総合相談と実施機関への的確な誘導を行います。住居が不安定な方に支給する住宅手当についても、補正予算での措置により、引き続き一定の条件下で、支給期間をこれまで六か月だったものを九か月に延長して実施をしてまいります。
 第四に、厳しい雇用情勢の中、特に新卒者の就職難が憂慮をされることから、企業や学校を訪問して新卒者の就職を支援する高卒・大卒就職ジョブサポーターをハローワークに倍増、千人近くに倍増して配備をいたします。また、新卒者を体験雇用する事業主を支援する新卒者体験雇用事業を活用することなどにより就職を促進します。
 第五に、今後、雇用保険法の御審議をいただきますが、非正規労働者に対するセーフティーネットを強化するため、雇用保険の適用範囲を雇用見込み六か月以上から三十一日以上に拡大することとしております。この措置により、新たに二百五十五万人の方が雇用保険の対象者となる見込みであります。
 鳩山内閣が目指す人間のための経済においては、国民が安心して働き、能力を発揮する雇用の場を得られることが何よりも重要なことと考えております。切れ目のない支援を行うためにも、本予算の速やかな成立をお願いを申し上げます。
 次に、ニート等の若者の自立支援についてのお尋ねがございました。
 厳しい雇用環境の下、ニート等の若者の自立は一層困難となっており、こうした若者が職業的に自立し、安定した職業に就けるようにするため支援を充実してまいります。
 議員御指摘のとおり、これまでの若者自立塾事業は廃止をして、平成二十二年度は新たに緊急人材育成支援事業の訓練メニューの一つとして合宿型自立支援プログラムを位置付け、まずは従来を超す六百人以上の規模を目指して切れ目のない支援を行うこととしております。その際、内容面でも、企業実習を盛り込み、ハローワークともより密接に連携するなど、これまで以上に就職に結び付きやすいものとする拡充を行います。
 また、地域の専門機関のネットワークにより、ニート等の若者に面接の仕方などについてのきめ細かい相談から情報提供まで幅広く支援を行う地域若者サポートステーション事業、これがございます。平成二十二年度は若者サポートステーションを全国百か所に拡大するとともに、ニート状態に陥るおそれの特に大きい高校中退者等の御自宅に訪問する支援、すなわちアウトリーチ支援の本格的な実施等の拡充を図るということとしております。これら施策を総合的に展開し、ニート等の若者に対する自立支援策の拡充を図ってまいります。
 次に、ホームレスの方の実態調査の手法についてお尋ねがございました。
 ホームレスの実態に関する全国調査については、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づき、毎年一月、各自治体に対して人数と居場所の調査をお願いしているところであります。しかし、ホームレスの方の実態把握については、私は不十分と考えております。従来のように屋外で生活されている方ばかりではなく、例えばネットカフェなどを転々とし寝泊まりしている方をできるだけ把握することや夜間の調査など、自治体の協力を得つつ、より良い調査手法等について検討を進めていく所存でございます。
 次に、ホームレスの方の自立支援法の失効後の対応方針についてお尋ねがございました。
 ホームレスの方の自立を促進していくためには、雇用支援はもとより、住宅、保健、福祉等の総合的な自立支援策を講ずることが重要です。この考え方に立ち、現在、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づき施策を進めているところです。
 さきの第二次補正予算においても、第一に、簡易宿泊施設等の借り上げ方式による緊急一時宿泊施設を五千人分追加確保し、第二に、ホームレスの方への相談を行う巡回相談員を百八十人増員するなどの施策を講じたところであります。
 ただし、ホームレスの方の自立支援については、行政の対応だけでなく、市民やNPOとの協力の下、地域全体で推進されていくことが重要です。この法律は議員立法であり、平成二十四年の期限後の在り方についてはまず関係者で御議論いただきたいと考えております。ただ、私としては、いのちを守る鳩山内閣の方針の下、新しい公共、地域のきずなといった観点も踏まえ、ホームレス自立支援対策をしっかり推進してまいります。その一つとして、新たに民間の効果が著しい活動に一部助成していくことも検討してまいります。
 次に、国民の生活、貧困の状況の認識についてのお尋ねがありました。
 昨年、我が国の抱える貧困の問題を直視するため、厚生労働省において初めて相対的貧困率を公表したところであり、先進国であるOECD諸国の中では高いグループにあると認識をしております。いのちを守る政策を実施する中で、結果として貧困率が低下するよう取り組んでまいります。
 また、一昨年には、帰る家すらない貧困・困窮者の方のために、民間人による派遣村が開設されました。このことに象徴されるように、貧困率の数字だけではなく、貧困は大きな社会問題になっていると実感をしております。
 私も、鳩山総理と御一緒して、今年の元旦に八百人を超える方が入所されている年越しの一時宿泊所にお邪魔しました。職や住まいを失った方々の窮状を直接お伺いし、年末年始のみならず、日常的な取組の必要性を感じているところでございます。
 そこで、貧困・困窮者の方への緊急支援として、第一に、利用者が雇用や生活支援など必要な支援サービスの相談、手続を一つの窓口でできるようにするワンストップサービスデーの実施をいたしました。第二に、失業して住宅を失った方等を対象として、家賃に充てるための住宅手当を現在支給をしております。手続は自治体がしております。第三に、雇用保険を受給できない方等を対象として、無料の職業訓練を行うとともに、一定の要件の下、訓練期間中に、単身者は月額十万円、養う御家族のいらっしゃる方は月額十二万円の生活費を給付をするというような支援もしております。今後とも、貧困の実態を把握し、対策に生かしてまいりたいと考えております。
 次に、ナショナルミニマム研究会の検討を踏まえた今後の対応についてのお尋ねがございました。
 貧困の問題については、貧困の連鎖を断ち切るべきとの御指摘もあり、平成二十二年度予算案においては子供の貧困に着目し、第一に昨年復活させた生活保護の母子加算の継続、第二にこれまで支給対象ではなかった父子家庭への児童扶養手当の支給などの対策を盛り込んだところであります。加えて、中学校終了までの子供一人当たり月額一万三千円の子ども手当の創設についても、結果として子供の貧困問題にも資するものと考えております。
 また、憲法二十五条では国が国民の最低限の生活を保障することをうたっていますが、具体的な最低限度の生活とは何かというナショナルミニマムをきちんとまだ定められていないと認識をしておりまして、それを国家として定める必要があるというふうに考えております。このため、有識者や現場に詳しい方から成るナショナルミニマム研究会を設置したところであり、現状を検証した上で、最低限度の生活の基準、ナショナルミニマムを決める作成に取り組んでまいります。引き続き様々な施策に取り組み、貧困の問題に真摯に対応をしてまいります。
 最後に、身寄りのない子供たちへの子ども手当の支給について御質問がございました。
 子ども手当は、すべての子供の育ちを社会全体で支援することを趣旨としております。したがって、本来、施設内の親のいない子供等に対しても子ども手当の恩恵が行き渡るべきであると考えております。
 しかしながら、平成二十二年度においては、施行までの期間や市町村の事務負担を考慮すれば、子供を保護し、見守る、監護する方に手当を支給するという現在の支給要件を法律上変更することは困難であることから、別途、例えば安心こども基金の活用により、施設内の親がいない子等について、施設に対し子ども手当相当額が行き渡るような措置について現在検討をしております。
 平成二十三年度以降の取扱いについては、制度の在り方を検討する中で、子ども手当の恩恵が行き渡るよう検討を続けてまいります。
 今後とも、雇用、貧困問題に全力で取り組んでまいります。

(以上)

*発言録テキストは、参議院ホームページで公開されている会議録より抜粋しています。

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