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2010年4月27日 (火) 更新

[発言録] 公訴時効の撤廃法案について再度質疑

2010年4月13日
参議院法務委員会

○松岡徹君 おはようございます。
 この法案につきましての討議といいますか審議も三日目に入りまして、全体として、今までの質疑、そして参考人質疑も聴取も行いまして、今日は三日目ということでございますが、今日がほぼ最終の実質的な質疑になるんではないかと思っておりますので、今日は千葉大臣に、主にこの間に出てきました様々な問題点といいますか課題といいますかというものについて、その取り組む方向といいますかその姿勢につきまして、大臣の考え方を聞かせていただきたいという思いで質問をさせていただきたいと思います。
 まず、これまでいろいろ出てきましたが、いわゆるこの公訴時効の撤廃というので、死刑にかかわる犯罪にかかわってはその時効を撤廃する、その他の犯罪についてはその時効の期間を延長すると、こういう法律でございます。
 これまで我が国は公訴時効制度を採用してまいりましたし、この間の質疑の中でも我が党の松野議員からもありました、公訴時効を採用してきた我が国のその趣旨といいますか、そういったものが今回の法改正によって変わるのか変わらないのかいうことについて、まず千葉大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(千葉景子君) 今回の改正の基になる大変基本的なところであろうというふうに思います。
 そもそも公訴時効制度の趣旨というのは、処罰の必要性と法的安定性、この調和を図るというところに基本がございます。すなわち、治安を守り、公共の福祉を維持するため、犯罪を犯した犯人を処罰することが必要である一方、時の経過による法的安定を図る必要も認められるというところからこの公訴時効制度というのは設けられているというふうに考えられます。
 その要素としては、時の経過によって証拠が散逸する、それから被害者を含む社会一般の処罰感情が希薄化する、そして犯罪後、犯人が処罰されることなく一定の期間が経過した場合には、そのような事実状態を尊重をすべきではないかと、こういうことなどが、一つの時間の経過とともにこういうことが問題になるわけですので、こういうことを踏まえながら、処罰の必要性とその時の経過による法的な安定というものを調和させようということでございます。
 今回の法改正において、このような公訴時効制度の趣旨について、これについては一般的に合理性があるものでございます。これを趣旨を変えよう、これ自体に変更を加えようということではないというふうに御理解をいただければというふうに思っております。
 ただ、そういう中で、人を死亡させた犯罪、そしてとりわけ死刑という大変重い処罰を求められると、こういうものについては、やはり人の命という法益が侵害されたということによってこれは回復不可能な状況が生まれるわけでございます。こういうこと、それから処罰感情の希薄化の度合いや事実状態の尊重という必要性の度合いが弱くなるということが言えるのではないかということで、そういう意味で、今回は、人の命が失われた、そして死刑に当たるという大変重い結果、重い刑罰が科せられると、こういうものについて公訴時効を撤廃をするということを提起をさせていただいているということでございまして、基本的な公訴時効制度の趣旨、これを否定をしたり、あるいは変更を加えようというものではないと理解をさせていただいております。

○松岡徹君 これまでの公訴時効制度を我が国が採用してきたその趣旨については基本的には維持をしていくということでありまして、この公訴時効制度を採用してきたときも三つの要件を挙げておりました。
 いわゆる私が大事にしたいのは、その公訴時効制度を採用してきた我が国のありようも、今回の法改正の趣旨であります処罰の必要性と法的安定という、これ、そういう意味では治安の維持ということが大事な目標だというふうに思うんですが、今回の法改正、そして公訴時効制度を引き続き採用するといったときに、本当に治安の維持は保てるのかということだと思うんですね。処罰の必要性というのは当然のように今までもありましたし、そういう意味では、法の安定、法的安定といいますか、安定性というのは、それは今までも考えられてきたことだと思うんですよね。
 そういうことからすると、例えば、この公訴時効の三つの要件の一つであります例えば証拠の散逸というものが、時とともに散逸していく危険性、そういう状況が生まれると。例えば、その当時の目撃者とかそういった方が時とともにお亡くなりになる可能性もあるし、あるいは物的な証拠も散逸する可能性があるということがありました。それはますます犯人を突き止めていくことが不可能になるということが一つだと思うんですね。この証拠の散逸というものが本当にこの公訴時効を撤廃することによって確保されるのか、散逸を防ぐことができるのかということになってくると思うんですね。
 それはどういうふうに千葉大臣としては、その点だけに関しては、証拠の散逸というこれまでの公訴時効制度を我が国が取ってきたその趣旨について、今回の法改正に伴ってこういうふうに変わってきているというふうなことがあれば、是非お聞かせいただきたいというふうに思います。

○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘のとおり、この公訴時効制度、それの一つの要件として、時の経過によって証拠が散逸をすると、こういうことが言われております。これを更に公訴時効を延長する、あるいは公訴時効を撤廃をするということになりますれば、より一層この問題というのは大変懸念をされるというところもあろうかというふうに思います。それは私も承知をしておりますし理解ができます。しかしながら、処罰をそれによってしなくてよいということではないというふうに思いますので、いずれにしても、証拠の散逸をできるだけ防ぐ、あるいは証拠の管理をきちっとしていくと、こういうことが大変重要なことになってくるのだろうというふうに思っております。
 その証拠保管の体制については、特に捜査の過程でこれは全く無関係、事件とは無関係だということが判明したようなものはできる限り還付をするとかということになろうかというふうに思いますけれども、やはり、特にこれが事件と関連性があるということで保管をすることについての徹底した管理が必要だと、それからそのための様々な仕組みの整備ということが求められるというふうに思います。
 今回特にその中で指摘をさせていただきたいのは、DNA鑑定等の試料、これについては適切に保管していくということが求められるということで、捜査機関においてこのようなDNA鑑定の試料等についてはできるだけきちっとした形で保管をするということが求められております。そのための保管のための費用、こういうことも十分に考えなければいけませんので、もうこの間も答弁をさせていただいておりますけれども、平成二十一年度の補正予算では警察における証拠品保管用冷凍庫の整備費用として約四億六千九百万円の予算措置がされている。また、平成二十二年度予算では検察庁における証拠品保管用冷凍庫の整備費用として約二千六百九十万円を計上している。こういうようなことをできるだけ積み重ねながら、証拠品の管理、保管、こういうことに万全を期していかなければいけないというふうに思っております。
 御指摘の証拠がだんだん散逸しがちだということに対しては、それができるだけ防ぐような手だてをこれからも着実に講じていく必要があるというふうに認識しております。

○松岡徹君 今の証拠の保管の方法とかそういったことは警察庁の方で質問をしていかなくてはならないと思いますので、私は法務大臣として聞きたいのは制度なんですよね。
 すなわち、公訴時効が撤廃されるということになれば、これまで公訴時効制度を採用してきたその三つの、時間がたてばたつほど証拠が散逸するという、それは真相解明に妨げになるということになりますから、そうすると保管技術が高まってきたのかということになります。それは先ほどあったようにDNAの問題等々もあるかもしれませんが。
 私は、証拠というものが、だれが保管するのかということは、警察なんですよね、一部検察になるかもしれませんが。すなわち、治安の維持とかあるいは真犯人を突き止めていくということになれば、証拠というものが非常に大事なものになってきます。この証拠の取扱いというものがどういうふうに扱われていくのかというのが非常に大事になってくると思うんですね。
 証拠が保管されているのかされていないのか。今なお様々な再審請求事案がありますし、その中で証拠が散逸している、なくなっているというのもあります。もう大臣も御存じだと思いますが、福岡の飯塚事件というのがございました。本人は死刑の判決を受けたんですが、そのときのDNAが一致したということで犯人になったんですね。あのDNAの型の鑑定の仕方はあの足利事件と全く同じやり方なんですね。それで、飯塚事件の被疑者は死刑になって、一昨年死刑が執行されたということになるんですよね。そのときにあのときの犯人の遺留物だと言われている証拠の血液がもう一度再鑑定しようといったときに、それがなくなっているんですよね。要するに、証拠物というのは警察あるいは検察だけのものなのか、事実を明らかにするというものだというふうに証拠物というものを定義付けをもう一度しっかりとしなくてはならないと思うんですよね。
 すなわち、真実を明らかにしていくものだということになれば、この議論の中でも問題になってきましたが、例えば三十年、四十年たってから被疑者を呼ばれて、被疑者に対して防御権がない、すなわち、警察が保管する証拠が一体どんなものを保管しているのかが分からないということでは、何が保管されていて何が保管されていないのか、あるいはないのかあるのかすらも分からなかったら、事実を解明するという客観的な判断ができないと思うんですよね。
 そういう意味では、防御権という視点からすれば、証拠の扱い方というものが、大事に厳重に保管するということと同時に、それをどう扱うかということでなければ、この公訴時効を撤廃すれば一つの懸念事項である冤罪が生まれる可能性が高まるんではないかということの一つの論拠として出ている、防御する側の証拠がないんですよね。あるいは、同じように散逸していくといいますか、という危険性というのがあるんですよね。そういう意味では、そういうことからいうと同じなんですよね。真犯人を突き止める側の警察や検察側の証拠としても成り立ちますし、あるいは冤罪を防止するという意味では被疑者の側の防御権の証拠にもなるということになってくるんですよね。そういう扱いにしていくべきだと。
 そのための制度設計といいますか、というものを検討していく、あるいは制度を整えていくということが私は大事だと思います。すなわち、どんな証拠が、せめて保管されているのか、あるいはそれが被疑者の側にも閲覧あるいは自由に見ることができるのかどうか、そういうことまで考えておられるのかどうか、どうですか。いかがですか。

○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘の点は、多分証拠の開示の問題等も含めた御提起ではないかというふうに受け止めさせていただきました。
 これは、公訴時効という問題にかかわりませず指摘をされているという問題であることを私も承知をいたしております。基本的に証拠というのは、これまでも立証をするための様々な証拠だと、材料だという位置付けであろうというふうには思いますけれども、確かに真実を究明をする、あるいはそれが被告人の一つのまた反証といいましょうか、防御権の手だてにもなるということもあろうかというふうに思っております。
 そういう意味で、基本的にはやはり証拠というのが立証のための一つの手だてということではありますけれども、それをできるだけ防御権という観点からも、あるいはそれから真実をきちっと解明をしていくということに寄与するという意味でも、念頭に置いてしっかりと保管をする、あるいはそれを散逸しないようにしていくということは私も大変重要なことであろうというふうに思います。また、それをどういう制度的に担保をしていくかというようなことにつきましては、また御提起もいただきつつ検討をしていかなければいけないことだというふうに思います。

○松岡徹君 これは今までのこの委員会でも様々な点で問題として、懸念される検討テーマとして指摘もあったところでありますし、私も非常に大事に思っています。
 当然のように、警察や検察の方が保管をする、適切に保管するということが求められるわけですから、当然のように信じて、前提でありますが、この法案を審議する審議会の中でもありますけれども、例えば永久に保存するとかということは物理的にも不可能ではないかというようなことも言われております。どこかのところ、要するに保管の方法を考えていこうということもありますし、それはこの間の委員会で中井大臣が来られて、証拠の中にもたくさんいろいろ種類があって、民間の倉庫を借りて保管しているところもあればというふうに言っていますけれども、そういう証拠の保管の仕方というのは、当然のようにその保管のありようというものが議論されていきます。
 当然のように、証拠の、これは有罪証拠になるだろうという視点で、例えば証拠の中でもこれは必要ない、必要あるという仕分がされていくんではないかというふうな、要するに保管する側がですよ、というような気がするんですね。すなわち、保管する側は当然のように犯人としての立証証拠としてという視点で見ますから、当然のように、仕分されていくと偏った視点での保管になってしまうという危険性があるのではないか、生まれてくるのではないかという気がするんですね。
 被疑者の側に立てば、自分の無実を証明する証拠も併せてその中にはある可能性がある。それはこれまでの他の冤罪事件、これまでの事件でもそういうことがあったということは証明しているわけでありますから、それらの証拠が確実に保管されるということが大事なことであります。
 それは、ひとえにその前提は被疑者の防御権をどう保障していくかということだと、単なる証拠物を保管するテクニック、技術というだけで議論してはならないというふうに考えているんですね。そのために、被疑者の防御権を保障するために、あるいはその証拠をどういうふうに取り扱っていくのかということを考えていきますと、極めて大事な視点だというふうに思っています。これは今後引き続き検討なりしていかなくてはならないと思いますが、私の個人的な思いとすれば、それらが当然のように整備された上で今回の法改正がされていくべきだというふうに思うんですが、是非併せてそういった検討を法務省の中でしっかりと行っていただきたいというふうに思うんですが、千葉大臣、どうですか、再度。

○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のことは大変重要なことだというふうに思います。
 基本的には、御指摘は私も理解をさせていただきますが、これまでの考え方というのが、やはり証拠というのがまずは立証の一つの手だてという形で収集をされ、そして保管をされていくということが大きな基本ではあるというふうに思っております。そういう意味で、改めて防御権ということ、それから真実の解明ということを踏まえてどう証拠というのを考えるかというのは大変私かなり大きい問題だというふうに思いますので、これはまた今後の議論を十分にさせていただく必要があるのかなというふうに思っております。
 それから、この証拠の保管について、何というんでしょうね、一つの何かシステムとか、あるいは法的、あるいは枠組みでどのくらい保管をするのかとか、あるいはその保管の方法はどうすべきかということ、こういう御指摘も大変重要なポイントであろうというふうに思いますので、私もよく勉強をこれからもさせていただきたいというふうに思います。

○松岡徹君 千葉大臣の思いというのは痛いほどよく分かりますので。
 私は、この法改正で冤罪が生まれないという保証はないわけでありまして、冤罪が生まれる原因の大きな要因の一つに取調べというものがあります。それは調書主義といいますか、取調べのときに取った調書が非常に重要視されるということがこれまでの日本の裁判のありようでございましたから、取調べに力が入るというのはそのとおりであります。しかし、その自白を裏付ける客観的な証拠というものが併せてなければ駄目なわけでありますね。取調べをなくせということでは私はないと思います、大事な捜査の一つの手法だと思っておりますが、しかし、この取調べのときに強圧的な、あるいは誘導的な取調べが行われるということがあってうその自白をしてしまうということが起きてきているんですね。それが一つの冤罪の大きなきっかけになっています。その自白を裏付ける証拠が非常に希薄な、どれも大体そうですね、冤罪事件の結果を見てみれば、足利事件の場合もそうでありますけれども、それを裏付ける客観的な証拠が非常に希薄な証拠でしかなかったということが冤罪の構成としては大きな要因になっていると思うんですね。
 だから私は、この公訴時効が撤廃されて三十年後に、君はちょっと来てくれといって取調べを受けたときにどのような防御権を持たされているのかということについては、私は、三十年前、何月何日、あなたは何時ごろどこにおったと言われたって、記憶なんかなかなか、個人の記憶なんか出てこないですよ。それを取調べでもう延々とやられると、分からない、そこでうその自白を誘導してしまう可能性があるということから考えると、私は証拠というのは非常に大事だと思うんですよ。だから、その証拠というものの保管と、そしてそれが被疑者の側にもやっぱりしっかりと行き渡るような、そして真実を明らかにしていくという、こういうルールを作らなかったら私は駄目だと思うんですよね。
 だから私は、取調べの全面可視化というのは、取調べという公権力の行使を公正に行っているということの証明にしかすぎないんですよね。それは、調べる側、調べられる側に対しても同じことなんです。すなわち、取調べというのは法の下に指定された公権力の行使ですから、それが公正に行使されているという状況を証明するだけにすぎないわけでありますから、取調べの可視化というものは非常に大事な私はセットの法律だというふうに思いますし、同時に、せめてどんな証拠が保管されているのかということの標目を、被疑者の側、弁護する側にもどんなものが保管されているかということを、あるいはどんな証拠があるかということをやっぱり出すことが大事だというふうに思うんです。
 特に証拠の開示のところでいえば、他の事件でもそうですけれども、弁護のする側が証拠の開示を求めても、保管している警察の側、検察の側はそんな証拠は見当たらないという回答で証拠の開示がされていないという事件はほかにたくさんあるんですよね。そういう意味では、証拠が弁護する側、被疑者の側に同じ事実を解明する証拠としての取扱いがされていないというところに問題があります。
 したがって、公訴時効の撤廃というこの法改正は、そういったことによって冤罪を生み出してきた要因を加速する可能性があるというふうに思えてならないわけであります。私たちは、当然のように、そういう意味では、可視化法が同時にこの公訴時効撤廃の法案と併せて提案されて成立するというのがまさに治安の維持あるいは社会正義を実現していく唯一の方法だというふうに私は思うんですが、そういう意味で、残念ながら今回可視化法は提案されていませんので、そういった視点で私は証拠の扱いあるいは取調べの可視化についての考え方を申し上げました。
 公訴時効を撤廃するという今回の法改正の趣旨から見ても必要な制度設計だと思うんですが、千葉大臣、お考えをちょっとお聞かせいただきたい。

○国務大臣(千葉景子君) 御指摘の点については、私も共通なほぼ認識を持たせていただけるところが大だというふうには思っております。
 今お話がありましたように、まずは自白あるいは供述に頼ると、こういうこれまでのどちらかといえば刑事司法、こういうことから、できるだけ客観的な証拠の裏付けと、こういうことに重きを置くということがまず第一に大変重要だろうというふうに思っております。
 そういう意味では、時効が延長される、あるいは撤廃をされるということを別にいたしましても、まずは初動で客観的なできるだけ証拠をきちっと捜査で収集をするというようなことを徹底をするということがまず大変重要なことだろうというふうに思います。
 また、御指摘の点は、大きくは二つ御指摘があったというふうに思います。それは、証拠の開示の問題、それから取調べの可視化の問題であろうというふうに理解をさせていただきます。
 これも、公訴時効の今回の延長、廃止ということによって、より一層証拠の散逸とか、それからいざというときの防御が大変事実上困難になるという点などがあろうかというふうに思いますが、この延長あるいは時効の撤廃ということ、ないとしても、証拠の開示をいかにすべきか、それから可視化、取調べについて透明化を図るということは私は大変重要なことだろうというふうに思っております。
 そういうことも含めて、既に取調べの可視化ということについては、その実現に向けて今精力的に検討、そして精査をさせていただいているという状況でございますので、この公訴時効の問題と必ずしも軌を一にしてスタートをするということにはならないかもしれませんけれども、これは当然実現をすべき課題、公訴時効の問題なくしてもやらなければいけない問題だという認識の下で、これから是非早期のまとめに向けて取組をしてまいりたいというふうに思っております。

○松岡徹君 私も全くそのとおりであるというふうに思っておりますので、時期がずれたというのは非常に残念な思いでございますけれども、一日も早い成立を願っております。
 今回の公訴時効撤廃でもう一つ、例えば証拠の散逸という前に、捜査する側ですね、捜査技術が進展していくということに伴う要因もあるんだというふうに言っています。今、千葉大臣もおっしゃったように、例えばDNAの検査、鑑定の方法が犯人逮捕の有力な証拠となり得るということでございます。
 このDNAそのものの検討とか、DNA鑑定そのものが犯人を割り出すのではなくて、これはどの型なのかということを識別するだけの機能であって、根本のこの生体情報はだれのものかということは、そこまではDNAは特定できないんですよね。この失敗をしたのが足利事件だと思うんですが。
 そういう意味では、科学技術が進展していくと、新たな証拠として採用できるようなものがあるというふうにDNAの例を出されましたけれども、これまでのような血液型とか指紋とかという以外の新たな証拠といいますか、そういった新たな技術というジャンルでどんなものを想定しているのか、DNA以外ですね、何かお考えがあったらお聞かせいただきたいんですが。

○国務大臣(千葉景子君) 今の段階では私も理解、それから承知をしているのは、やはりDNA鑑定というのがかなり大きな捜査手法になっているということは言えるのではないかというふうに思います。
 ただ、これも、今御指摘がありましたように、これだけで何か犯人を特定をするとか、そういうものではないわけでして、やはり一つの有力な型を同じくするということで裏付けの証拠ではあるけれども、これに頼る、あるいはこれだけに依存をするという認識があってはならないのだというふうに思います。先ほど言ったような客観的な様々な証拠や他の科学的な捜査の手法などを大いに取り入れていく必要があるだろうというふうに思います。
 ただ、ちょっと現時点で私も具体的に、DNA鑑定等、その他科学的なあるいは新しい捜査の手法ということ、まだまだ十分に承知をしておりません。いろいろ捜査機関などでもいろんな研究はされているというふうには承知をいたしておりますけれども、具体的にこういうものが有力な捜査の手法あるいは証拠になるんだということまではまだまだ言えない状況ではないかというふうに思っておりますが、今後、様々な客観的な捜査の在り方、こういう中で検討がされていくものだというふうに思います。

○松岡徹君 まさにDNA鑑定というのはそういうものだというふうに思いますので、これ自身が捜査技術だとは思っていないんですよね。これが犯人のものだというふうに特定できる、そこにまで持っていく、DNA鑑定する前のところがやっぱり捜査技術だと思うんですよね。
 私は懸念しているのは、今回の法改正で、捜査技術をどう高めていくかということが大事な捜査する側の課題となってくるということはそのとおりであります。だからこそ、捜査技術を高めていこう、DNAがまるで捜査の一つの手段のように言われていますけれども、決してそうではない。それ以外の捜査技術を高める方法とは一体何なのかというのが全然見えてこないんですよね。見えてこないのに、例えば防犯カメラとか設置する、あるいは携帯電話の履歴とか高速道路の通行履歴とかそういったものが出てくるんですよね。この捜査技術は、一つ間違えばプライバシーの侵害や人権侵害につながっていくということになるんですね。
 私は、今日は答えを求めませんが、捜査技術というのはそういうことだと思うんですね。捜査技術を高めるということだけですべてに渡すといいますか、そんなことを無視していいですよということではないということで御指摘を申し上げておきたいというふうに思うんです。
 治安を維持するため、今回の法改正に伴って捜査技術を高めるためという理由だけで町じゅうに防犯カメラがどんどんできていくとか、あるいは携帯履歴とかメール履歴が、そういうふうにプライバシーが侵害されていくような状況を生み出していくということは、これは本意ではないというふうに思っていますので、その辺は是非とも私の方から指摘だけはしておきたいというふうに思っています。
 それで、もう時間もありませんので最後になりますが、犯罪被害者の方たちをどう救済するか、今回の法改正の大きな一つにもなりました。千葉大臣もその改正案を提案するときの理由に、被害者たちの感情とかあるいは世論の高まりということをおっしゃっています。被害者の方たちの感情といいますか思いというのはどこにあるかというのを簡単に、千葉大臣の考え方、お聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(千葉景子君) 私から被害者の皆さんのなかなか内心、本当の感情というのをせんさくさせていただくというのは大変僣越なことではないだろうかというふうに思います。ただ、被害者の皆さんのいろいろなお声を聞きますと、一つは、やはりきちっと犯人を見付けて、そしてきちっと処罰をしてもらう、しかし、かといって、長きにわたって時間が経過をする中で、一つの安定した状況を余りまた改めて掘り出して、その安定した精神的な状況をそのままそっとしておいてほしいんだと、こういう感情もお持ちだということもお聞かせをいただいております。
 それから、やはり被害の皆さんにとっては、非常に孤独といいましょうか、そういう中で、その精神的な本当にダメージみたいなものをどうやって回復していくか、それから周りが支えていくのか、それから経済的にもやはり厳しくなる、そういうものをどうやって回復、支えていくかと。本当に大変複雑な、そして思い、心情、そして状況があるのではないかというふうに私は思います。
 そういう意味では、そういう被害者の皆さんの様々な、ある意味では複雑であり、そしてなかなか言えない、そういうものをきちっと受け止めたいろいろな総合的なこれから施策、そういうことが求められていくのではないかというふうに思っておりますので、そういう面は犯罪被害者等基本法、基本計画、こういうもの、より一層中身の充実したものにしていくというようなことを通じて、是非積極的に努力をしていきたいというふうに思います。

○松岡徹君 もう時間もなくなりましたので、要望だけ申し上げておきたいと思います。
 今、千葉大臣がおっしゃったように、今回の法改正に至る大きな背景の一つに、被害者の人たちの思いがあったと、被害者の思いは、処罰感情だけで言っているんではないと、処罰感情は死ぬまでなくならないということは理解してほしいというふうに言っているんですね。すなわち、社会正義を貫くような社会であってほしい、それが第二、第三の私たちのような被害者を生み出さないということだと、そういう思いであると思うんですよね。それをやっぱりしっかりと受け止めるためにも、社会正義をどう貫くか、逃げ得は許さないということは大事なことだと思います。
 しかし、あわせて、犯罪被害者の人たちが一身に受けている様々なこの社会の弱さといいますか配慮のなさといいますか、それによって生まれる様々な状況、経済的な状況、千葉大臣が今おっしゃったように、そんなものがあります。
 犯罪被害者等基本法に基づく基本計画が来年度五年目ということで、改正の議論がいよいよ始まったというふうに聞いていますので、私はそのメンバーに法務省も入っていると思いますので、是非ともその中に積極的に、今回の公訴時効を撤廃したその趣旨の中に、犯罪被害者がやはり社会正義を貫いてほしいという思いと同時に、あわせて、犯罪被害者をどういうふうに救済していくのか、そのような社会になるのかということは大事なことだと思っています。
 犯罪被害者とはだれのことを言うのか、殺されていなくても障害を負ってずっと暮らしている人たちも犯罪被害者なのか、被害者の家族というのはどこまでのことを言うのかとか、あるいは性犯罪による被害者、心の殺人と言われている性犯罪の被害者の人たちの救済の手だては本当にこれで十分なのか、被害者の被害というのはどんな状況なのかということをしっかりと目を向けて、救済という内容をやっぱり豊富化してほしい、これを機会に豊富化してほしいということを法務省として積極的にこの来年度の基本計画策定に当たった議論の中に反映していただきたいと。その決意だけを是非とも千葉大臣からいただいて私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。

○国務大臣(千葉景子君) この犯罪被害者の皆さんに対する救済というのは、多分政府一体となって取り組む大きな課題であろうというふうに思いますが、私としても、その一翼をしっかり担って、そして私の管轄をするそういう側面については全力できちっと救済に向けた施策をしっかりと講じていきたいというふうに思います。

○松岡徹君 終わります。

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