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2010年4月 2日 (金) 更新

[発言録] 裁判所職員定員法改正案について質疑

2010年3月25日
参議院法務委員会

○松岡徹君 おはようございます。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 この法案も平成十四年からスタートをしまして、十年間で約五百人の職員を増やす、裁判官を増やそうということでございまして、もういよいよゴールが見えてきております。そこで、当初のこの増員についての目的でございますけれども、その状況がどうなったのか、簡単に御質問をしていきたいというふうに思っています。
 そもそも、この法案を、この法律、裁判所職員の定員法、増員計画について、元々のスタートの問題意識といいますか、目的というのは何だったのかというのを改めて御確認をさせていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) おはようございます。
 今委員から、これまでの増員のそもそもの目的ということをお尋ねでございます。
 平成十四年以降、今委員御指摘のとおり、これは裁判の迅速化、専門化へ対応すると、そういうことのために今後十年間で約五百名の増員が必要であるという意見を申し上げまして、十四年度から計画性を持った増員を実施しているところでございます。
 具体的には、迅速化への対応ということは、最終的には裁判官の手持ち件数を減少させまして審理期間を短縮する、他方で、専門性への対応につきましては、同じく手持ち事件を減少することによって合議率等も向上してそういった専門性へも対応してまいると、こういったことを申し上げてきたわけでございます。
 これまでの増員をいたしました結果、例えば民事訴訟事件、一審の地裁でございますが、審理期間は、平成十二年に八・八か月であったものが平成二十一年には六・五か月に短縮しております。また、民事訴訟事件、一審の未済事件のうち二年を超える長期未済事件につきましても、平成十二年末の時点で約一万二千件ありましたが、これ、平成二十一年末では約六千二百件程度まで減少しております。
 さらに、専門性への対応ということに関しましても、従来、審理期間の長期化が目立っておりました専門訴訟につきましても、医事関係訴訟では、平成十二年に三十五・六月であったものが平成二十一年には二十五・二月に短縮するというところでございます。
 ちょっと申し上げ過ぎましたですか、失礼いたしました。

○松岡徹君 ちょっと今日は時間がありませんので細かな追及はまた後ほどに譲っていきたいと思いますが、気になるのは、専門化とか迅速化というところで幾つか例出されました。本当に裁判官を増やしたからそういう効果が出たのかという検証はしっかりしていかなくてはならないというふうに思うんですよね。
 問題は、一人の裁判官が抱える事件数は当時何件くらいであって、今現在はどれぐらいの事件数を担当しているのか、分かったらお知らせいただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えいたします。
 平成十三年当時、これ、東京地裁の民事通常部ということでございますが、平成十三年当時には一人当たり約百八十件担当しておりました。その後、事件増ということもございまして、平成二十一年には一人当たり約二百七十件程度になっております。

○松岡徹君 事件数としては増えているんですよね。この増えているというのをどう見るのかということであります。
 そういう意味では、事件数が、様々内容はあると思いますけれども、この状況を、増えているという状況をどういうふうに見られているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今委員御指摘のように、地裁、地方裁判所の民事訴訟事件数だけを取りましても、平成十三年の約十六万件であったものが二十一年には約二十四万件と増加しております。さらに、家庭裁判所でも、家事事件が平成十三年の約四十六万件から二十一年には約七十六万件と増加しております。
 もとより、これらの事件増によりまして裁判官の事件処理に対する負担が非常に増加しておるということは事実でございますが、他方で、これまでこれの事件増に応じた増員、さらに各地方への人員の配置ということをやってまいりまして、裁判官の負担そのものは数字的には増えております。
 しかしながら、これらの特に訴訟事件の増加の中には、いわゆる過払い金という事件が最近急増しておりまして、ここ数年の事件増はその過払い金関係の増加が大きく寄与しているものと理解しておりまして、そういうようなこともありまして、事件処理の状況そのものを見ますと、この事件増にもかかわらず、裁判官が非常に努力をいたしまして、審理期間あるいは未済事件数共に大きな破綻もなく処理しておるというふうに考えております。

○松岡徹君 民事の件数が非常に増えているんですよね。そういう意味では刑事事件の方は減少傾向にあるということで。ただ、単純に数字で割ったら今言ったように一人当たりの受持ち事件数が二百七十件ぐらいになる、当初のスタートから見れば増えている、裁判官を増やしているのにどうなっているんだと、こういうことになるわけですね。しかし、迅速化ということからすれば短縮されているということなので、その数字だけで測るわけにいきませんが、もう一つの側面で、司法過疎といいますか、要するに、地方において下級裁判の裁判官が抱える事件数の割合と、例えば都市部、東京とか大阪とか、そういう都市部の下級裁判所の裁判官が抱える事件数の差はあるんですか。現状はどうなっているか。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 地方と都市部では取り扱っている事件が、例えば東京地裁ですと非常に事件が多うございますので、民事部に配属された裁判官は民事訴訟事件のみを取り扱うというような形でございます。
 これに対しまして、地方の例えば支部などでございますと、一人の裁判官が民事訴訟、刑事訴訟だけではなく家事事件、少年事件等も一人で扱うということでございますので、件数だけを比較しますとかなり違うという面もございますけれども、我々の裁判所といたしましては、各裁判官の負担を考えます際には、民事訴訟あるいは刑事訴訟あるいは家事事件といったもののその負担量というものを検証いたしまして、各裁判官の負担はできる限り平等になるように配慮をしているところでございます。

○松岡徹君 質問に答えていないので、要するに違いは何なのかと。違いはあるとおっしゃいましたけれども、中身を聞きたいと。あるいは数字でそれが示されるのかどうか。
 これはやっぱり今までの課題でございまして、弁護士を増やす、裁判官を増やしても、地方は非常に司法過疎といいますか、そういった状況が解決できないということになっていれば、この増員計画は一体何だったのかというふうになるわけですよね。そういう意味で、こればかり追及できませんので、質問できませんのでこの程度にさせてもらいますけれども。
 あわせて、実は途中で、去年スタートした裁判員制度がございます。この裁判員制度でも毎年三十人の、合計百五十人の裁判官が増員されているということであります。これは、目的が、裁判員制度がスタートする去年までに達成しようということで、裁判員制度を円滑に進めていくための人的配置という目的だったと思うんですが、一応これは終わっています。そういう視点からすれば、裁判員制度の課題といいますか、これからの運営についてもまだまだたくさんの環境整備の課題は私たちはあると思っています。
 しかし、一方で、裁判官が五年間で百五十人配置されたということでございますので、これはその当初の目的といいますか、どのように百五十人増員されたことについて評価をしているのか、今日的評価ですね、裁判員制度を円滑に進めるという観点からこの百五十人の増員達成についてはどういうふうに評価されているのか、大臣にちょっとできればお聞かせいただきたいなと思うんですが。

○国務大臣(千葉景子君) 裁判員制度、導入をされましてから、今のところ裁判員裁判自体は順調にといいましょうかスタートをし、そして裁判が行われているという状況と認識をいたしております。そういう意味では、増員を図ったということがそれなりに適切に効果を発揮をしている、あるいはその基盤の整備に一つの寄与をしているのではないかというふうには認識をいたしております。

○松岡徹君 もっと検証をしていく必要があるというふうに思っておりますので、引き続き是非とも検証の議論をしていきたいというふうに思っています。
 もう一つ、裁判官を増やしながら、一方で裁判官の方の要するに交流、人事交流といいますか、これがあるんですよね。裁判官の方が各省に配置をされていく、特に局付けとか言われて行くんですが、裁判官の職員が法務省に今トータルで百三人出向といいますか、行かれているというふうに聞いています。それとは別に、判検交流と言われている人事もございます。
 そういう意味で、この百三人の交流、人事交流というのは、一体目的は何なのかということをまずお知らせいただきたい。各省にそれぞれ裁判官が行っておられるんですが、その中でも法務省には百三人一応籍を置かれているということでございます。聞くところによると、大体二年から三年で替わるということですが、これがいつごろから始まって何の目的でされているのかということがよく分かりません。それをちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。

○国務大臣(千葉景子君) いわゆる裁判官とそして他の省庁、そして法務省との言わば交流というんでしょうか、これについてのお尋ねであろうというふうに思っております。
 この裁判官と言わば検察官といいましょうか、法務省との間での異動、交流、これが開始された時期とかあるいは経緯、あるいはそれを基礎付けている法令、こういうものは必ずしも定かではございません。根拠規定みたいなものは特段にございませんし、それから、開始された時期、経緯等は、今特段の、当時といいましょうか、資料がございませんので、定かではございません。
 いろいろとこのところ御意見があるということは私も十分に承知をしております。
 どのような理由で行われているかということですが、司法制度、特に民事、刑事の基本法令の立案等、法律的な知識、経験を要する法務省の所掌事務を行うために、法律専門家である裁判官の実務経験を有する者を任用するというようなことも一つの理由になっているようでもございますし、それから、裁判官以外の法律専門職としての経験、その他の多様な外部経験を積むことは、多様で豊かな知識、経験を備えた視野の広い裁判官を確保するという、今度はその目的のために裁判官が他の職務を経験するということもこれは意義のあることではないかと。
 法務省の側、それから裁判官としての視野を広くするというような両面からこの交流というものが続けられているというふうに承知をいたしておりますし、また検察官にとっても裁判官の職務を経験することが視野を広げて見識を高めるのに役に立つのではないかと、こういうことも言われているようでございます。
 しかし、一方で、やはり職務の公正さというようなことを疑問視をすると、こういう御意見があることも確かでございまして、今後も私も、是非この意義、それからいろいろと御指摘の問題点、こういうものを含めて、また皆さんの御意見をいただきながら検討、検証をしていく必要があるのかなというふうには思っております。

○松岡徹君 裁判官を増やして、その裁判官が各省に出向すると。実は昨日も今日の質問をするのに法務省の方に来ていただきました。局付けという名刺を持った方が二人来られました。これは裁判官の立場なんですよね。局付けと名刺に付いているのは、ほとんどこれ裁判官の方なんですよね。これが全部各省にみんな行っているんですね。法務省だけが突出していまして、平成二十一年度で百三人なんですよね。次に多いのが外務省で十人、その次は金融庁で七人等々、大体あとは一けた台の前半ですが、各省に出向していると。ちょっと違和感を覚えたんですよね。質問をするのに裁判官の方が局付け名刺を持って私のところに質問取りにくると。おかしいんですよね。
 そういう意味では判検交流も同じなんだと思うんですが、一体何でこんなことがいつごろから起きているんだと聞いたら、いつごろから起きたのか定かではありませんと。そして、これの法的根拠は何だと言ったら、根拠になるのは何だと言ったら、裁判所職員法とかに対象になることができるとか書いているんですが、三権分立という立場からすれば、行政官庁に司法の側の人が行って、たとえ訴訟の担当であっても訴状を書くとか、自らは戻ったら判決を書かなあかん立場にあるにもかかわらず訴状を書くというのはどうなのかというふうに思うんですよね。
 こういった実態が一方でありながら裁判官を増やす、増やして法務省に出向すれば足らなくなりますからその分補充しなくてはならぬと。一体何のために職員を増やしてきたのかということを考えますと、やっぱりここら辺はちょっとチェックをする必要があるんではないか、整理をする必要があるというふうに思うんですね。今大臣おっしゃっていただきましたように、我々も有能な人材だと思っておりますから、どう活用するかということについては、そのこと自身は否定はしませんが、やっぱりしっかりとその辺は整理をしていく必要があるというように思います。
 改めて、判検交流の方も、判事の側の人が検事になる、検事の人が判事になると、こういう交流が行われているんですよね。これも一体いつから、そしてそれをしていくための実効とは何なのかというのが全く分からないんですよね。国民の側からいったら出来レースやないかというふうになってしまうんで、それが本当に公正な裁判をつかさどるということになるのかどうか、あるいは正義を貫いていく法務省としての検察の立場というものが本当にそれで貫かれるのかどうかということを考えていきますと、これはやはり是正をしていく必要があるんではないかというふうに思うんですね。
 是非、検証をするにしても、こういった状況はおかしい、是正をしていく必要があるのかないのか、こういう見解について大臣の見解をその辺はお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(千葉景子君) 御指摘をいただいた問題については、私も共通なというか、認識としては同感をするところ大ではございます。
 先ほどの裁判官と各省庁との交流ですね、これはちょっと法務省のことを差しおいて言うのはなんですけれども、いろんな形で裁判官が今外部の、行政機関ばかりではなくて、いろんな一般的な企業であるとかあるいはいろいろな職務を経験をすると、こういうことは一つのプラスの面があるのではないかというふうには思います。
 ただ、それが一ところに何か非常に集中をするというようなことはいささかやはり疑問を持たれるのではないかというふうに思いますし、判検交流も、今お話がございましたように、やはり司法の公正さとかそれから職務の本当に公正さということを疑問視する、そういうふうに見えるということをやっぱり私たちも重く受け止めていかなければいけないというふうに思っております。
 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、やはりこの判検交流、あるいは裁判所と法務行政、ここの行ったり来たり、あるいは交流というものについていろいろな今後検証をし、そして適切に職務の公正さとか司法の独立、こういうものを疑われるとかあるいは疑問視されるようなことがやはりないようにしていかなければいけないのではないかという認識を持っております。

○松岡徹君 この辺で終わりたいと思いますが、やっぱり根幹だと思うんですよね。
 ちなみに、裁判官の方が法務省に百三人一応籍を置いていると。法務省から裁判所の方に行くというのはあるんですか、人事。百三人来て、その分。

○国務大臣(千葉景子君) 法務省というよりは、その中での検事が裁判所に行くということはございます。

○松岡徹君 いずれにしても、こういう実態がいつから始まって、何を根拠に、何を目的に、一般論で言えば分かりますが、そういうことではないと。しっかりと検証して、正すべきは正していく、整理すべきは整理していくと。ましてや、司法の独立というものが疑われることのないような体制をしっかりとしていく必要があるんではないかというふうに思っていますので、引き続きこの点については、今法務大臣がおっしゃっていただいた検証をしっかりしていただいて、正していくという方向を是非とも今後引き続き努力をお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

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